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生まれ変わる

欲望を叫ぶ身体※

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 目を合わせたまま、じりじりと近づいてくる弦太はもう僕の知っている幼馴染の顔を取り払っていた。目の前にはオメガを欲しがるアルファの男がいた。

 弦太の放出してるだろう惹きつけられる何か、多分フェロモンに僕の身体中がザワザワした欲望を焚き付けられている。後ろの窄みは普段使用しているパットでは心配になるくらい染みている気がして、それも気が気じゃない。


 「陽太、発散するか?そのままじゃ無理だろう?アルファのフェロモンに慣れた方が良いのはその通りだし、知らない誰かに頼むより俺を使ってくれて良いから。むしろ、俺にしてくれ。…駄目か?」

 そこまで言われて断るには僕はもう色々と限界が来ていた。さっきから立っているのがやっとで、思いの外弦太のアルファフェロモンが僕に効いてるみたいだ。


 「せめてシャワー浴びさせて…。僕、後ろがもうぐずぐずになってて…。」

 戸惑う僕の言葉に、弦太がこめかみをピクピク反応させたのが分かった。額に指を広げて何かぶつぶつ言ってる?

「…まじか。それ無自覚だとしたら、そこから教育しなくちゃなのか?」

 僕は弦太の隣を通って浴室へ向かおうとしたけれど、太い腕が僕を遮った。

「一緒に浴びよう。昔はよく一緒に入ったろ?それに確認したい事があるし。」


 これ以上ここで足止めされたくなくて、僕は不承不承小さく頷くと先に立って浴室へ向かった。スツールまで置いてある広めの洗面所に震える指を自覚しながらどんどん脱いでいくと、弦太は入り口に寄り掛かって僕のそんな姿をじっと観察している。

「恥ずかしいから見ないで…。」

「…やっぱりな。陽太のオメガフェロモンはあからさまに誘惑してくる様な鋭いアレはない。どちらかと言うと心地良いと言う方が合ってる。だけどそうして服を脱ぐとヒタヒタと潮が満ちてくる様に俺の感覚を侵食してくるんだ。

 その甘くてクセのある匂いに絡め取られる…。」


 陽太はそう言いながら、すっかり脱いだ僕の全裸をまじまじと見つめている。

「…そうなの?ねぇ、僕は普通の痩せ型のベータの身体だよ。全然鑑賞に堪える身体じゃないのは一番自分が分かってる。だからそんな目で見られると…。」

「そんな目で見られると勘違いするって?案外自分の事は分かっていないもんさ。昔水泳で鍛えた陽太の腰は女みたいに細くて、その割に尻は丸くて柔らかそうだ。色っぽいかそうじゃないかで言えば十分に色っぽい。

 …まぁ公平に、俺の裸も見るか?」


 そう言ってガチむちな筋肉のついた身体を僕の前に曝け出した。先輩はモデルの様な筋肉質だけど、弦太のそれは何ていうか想像よりもずっと分厚かった。日に焼けたその厚みのある身体を称賛する様に目で辿り下せば、弦太の脚の間のそれは見事にそっくり返っている。

 思わず顔を逸らすと、弦太は少し笑いながら僕より先に浴室へ入った。

「怖がらせたか?まぁ、陽太のフェロモンが効くんだからしょうがない。」


 水音を立てながらシャワーを浴びる弦太の横顔を盗み見しながら、僕は自分の身体を見下ろした。僕のそれなりのモノがそれなりに起き上がっていて、決して弦太を揶揄う様な状況でも無かった。

 湯気のこもり始めた浴室へ足を踏み入れると、弦太の太い腕がまた伸びてきて僕を攫った。頭からシャワーを浴びせ掛けられて、僕は少し咽せて文句を言おうと目の前の弦太を見上げた。


 そこには1ミリも笑みのない欲望に染まった弦太の顔があって、僕はその瞬間幼馴染との今までの関係を失うのだと知ってしまった。素っ裸の身体を引き寄せられてお湯が降ってくる中、僕は弦太の手の中でキスを受けていた。

 大きな手のひらで顔を固定されて、乱暴に口の中を弦太の舌で掻き混ぜられると、僕は思わず背伸びして濡れた背中にしがみついた。この行き場のない欲望を発散できるのは、目の前のアルファの男だと囁いている。


 全身をまるで確認する様に撫でられて、僕はぐったりと弦太に寄り掛かった。いつの間にかシャワーは止められていて、寄り掛かった僕の後ろの窄みを優しく、でも確実に捉えた弦太の指がなん度も往復して、その間中浴室に僕のあられも無い喘ぎ声が響く。

「はぁ…。凄い熱くて蕩けてる。なのにこんなに狭い…。ちょっと普通じゃないな。」

 そう掠れた声で言いながら弦太の指先が僕の窄みを拡げようと引っ張る度に、僕はビクビクとその甘い感触に悶えた。


 普通のオメガとはあそこが違うのかと、僕はのぼせた頭で弦太の肩に額を押し付けて呻いた。

「僕のそこ、普通のオメガと違うの?どうしよう。…怖い。でもおもちゃはちゃんと挿れられたけど…。」

「最近までベータだった陽太は、実際アルファのそれを受け入れるのはキツかったはずだ。でもオメガはアルファを十分に受け入れられる。だから多分、陽太はまだベータ寄りの身体だって事さ。

 オメガも最初からアルファを受け入れられる身体になるわけじゃないからな。ヒートとかを繰り返して完成するんだ。多分それで考え方は合ってると思うけど…。」


 そう言いながら弦太はその太い指を僕の中へとゆっくり挿れて来た。さっきから疼いている僕の身体はそれを歓喜を持って受け入れている。ベータの時はこれほど直ぐに感じなかったその気持ち良さに、恐怖さえ覚える。

 性奴隷になってしまうかもしれないという恐ろしい考えまで一瞬頭を過ぎった程だ。

「あっ、あぁっ、怖いっ!」

 僕が感じたままそう呻くと、弦太は僕の顔に何度か唇を押し当てながら囁いた。

「怖くない。大丈夫だ。俺は陽太の嫌がる事はしない。そうだろ?まずは自分の身体に慣れた方が良い。ベータの時とオメガの時とどう違うのか、知った方が良いだろう?」


 もう立ってられないと踏んだのか、僕は軽々と抱き抱えられてバスタオルに包まれてベッドへ運ばれた。綺麗なシーツの上にそっと下ろされると、僕は思わず張りのある真っ白なシーツを指の腹で撫でた。

「汚したくない。絶対濡れちゃう…。」

 オメガの身体は周囲を汚すと一人遊びで知っていたせいか、何ともムードも何もない事を言ってしまった。けれど弦太は少し笑うと洗面所から大判のタオルを持って来た。


 「ベッドは二つあるから別に濡れても大丈夫なんだけど、陽太が気になるならこれ敷こうか。」

 そう言ってテキパキともう一台のベッドに敷き詰めた。何だか雰囲気をぶち壊したせいで、それはそれで居た堪れない。我に返ってしまったのは僕だけみたいで、弦太の股間は一向に我に返らないみたいだ…。

 僕が弦太の股間を凝視していたせいか、弦太は少し笑って自分のそれを手にして言った。

「さぁ、こいつもやる気満々だし、陽太君の身体の検分といきますか。…なんてな。俺も緊張してるんだぜ。陽太とこうなる事を考えなかった訳じゃないけどな。」


 一瞬いつものよく知る幼馴染の弦太の素顔を見た気がしたけれど、目を合わせたらもう僕を味わいたいと願うアルファの男しか見えなかった。僕はタオルの敷かれたベッドに移ると、突っ立っている弦太を見上げてコクリと唾液を呑み込んで口を開いた。

「教えて…。僕の身体の違いを。こんな事弦太にしか頼めないから…。」

 凄みのある笑みを浮かべた弦太が、ベッドを軋ませて僕の上にのし掛かって来た。弦太のむせ返る濃い匂いに何処かぼんやりしながら、僕は弦太の厚みのある唇が近づくのを見つめた。
















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