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カップルの定義

キヨくんの話

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「何で、そんな離れた所に居るんだ?」

キヨくんは少し笑いを含んだ声で僕に尋ねた。僕の部屋にキヨくんが居ることにテンパってる僕は、当然の様にベッドへ座ったキヨくんに対して、どこに座るのが正解か分からなくて、結局窓際のデスクチェアに座ったんだ。

狭い部屋には、年の離れた親戚からのお下がりのセミダブルのベッドのせいで、勉強机しか置けない。父さんが壁につけてくれた棚に沢山置いていたフィギュアや小物も少し残して片付けたので、殺風景だ。


キヨくん部屋を見回して言った。

「もっと色々置いてあるかと思った。玲って細々したもの好きだったろ?ぬいぐるみとかも。俺、そんな玲、子供心に可愛いなって思ってたんだ。…ね、こっち来て。俺たち付き合ってるんじゃないの?」

僕はコクコク頷くと、立ち上がって、キヨくんの隣に座った。するとキヨくんがよっこらせとベッドの奥へとずって行き、脚を開いて壁際に寄りかかった。そして両手を広げて僕に言った。


「やっぱり、こっちかな。普段玲とくっつけないから、二人きりだけの時はくっついていたい。ダメ?」

そう言って、僕をじっと見つめるから、僕は黙ってベッドに乗り上がると、キヨくんの脚の間に前を向いて座った。キヨくんに後ろからぎゅっと抱きしめられると、もう何だかドキドキで死にそう。

キヨくんは僕の首筋に唇を押し付けてささやいた。

「なんか濡れてる…。さっきシャワー浴びたの?」


僕は頷いた。するとキヨくんは大きくため息をついて、少し横へずれた。僕は何か気になったんだろうかと、不安な気持ちでキヨくんに振り返った。するとキヨくんが顔を赤らめて言った。

「やっぱりこの格好じゃ話するの無理だから、話し終えるまでちょっと離れてていい?玲の匂いドキドキするから。」

僕はキヨくんの顔が赤いのを見て、多分釣られたんだろう。顔が熱い。僕は両手で頬を覆いながら、キヨくんが話出すのを待った。


「話ってのはさ、出来たら一緒の大学行けたらいいなって思って。どうかな。」

それから僕たちは、お互いが考えていた大学のリストを書き出した。結構共通する進学希望先があったけど、僕はふと顔を上げて言った。

「でも、キヨくんて理系でしょ。同じ大学になっても、そもそも校舎とか全然別な大学もあるよね?」

僕がそう言うと、キヨくんはそっかとため息をついた。そして僕をじっと見て言った。


「うちの姉貴が大学行った時、家出たの知ってる?ここって、家から無理くり通えなくはないけど、下手すると大学によっては二時間近く掛かるだろ?だから、俺たち敢えてそういう大学選んで、一緒に住むのはどうかなって思ったんだ。
親もシェアハウス、玲とするって言ったら絶対反対しないだろうし。」

僕はキヨくんの大胆な提案に、只々呆然としてしまった。するとキヨくんはにっこり笑って言った。


「俺はそう考えてるってこと。玲も考えてみて。俺の話はそれだけ。…ね、さっきみたいに、こっち来てくっつこう?」



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