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幼馴染再び
おやつの時間
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凄まじいジャンケンの怒号が飛び交い、結果二人の男子が僕の前に並んだ。一人は他校生のひょろりとした私服の高校生らしき男子で、もう一人は同じ高校の二年生だった。
流石に箕輪くんも、衆人環視の中で僕に辱めを受けさせる事は可哀想に思ったのだろう。渋い顔のキヨ君と何か話していたと思ったら、端っこのテーブル席でおやつタイムにしてくれた。そうは言っても、皆の視線が僕たちのテーブルに向かってくるのはどうしようもなかった。
僕はもう、さっさとこのイベントを終わらせようと頑張ることにした。箕輪君が他校生に渡したチョコバナナは小ぶりのバナナだったので、僕は三口でいけると踏んだ。
目の前の他校生は急に冷静になった様子で、顔を赤らめながら僕に言った。
「あの、実は僕昨日もここに来てて。君があまりにも可愛くて思わず今日も来ちゃったんです。だから、こうやって話が出来て嬉しいです。あ、僕田中です!高3です!」
話してみれば、ひょろりとした背の高い他校生は、優しげな雰囲気だった。僕はホッとして、微笑んで言った。
「僕、友達にお腹が空いたって言ったら、こんな事になっちゃって。多分直ぐ食べ終わっちゃうかもしれないけど…。」
他校生こと、田中君は緊張気味に僕にチョコバナナを差し出した。僕は早く食べ終わろうと、精一杯大きな口を開けてパクリとバナナを食べた。田中君が緊張していたのか、手が動いてバナナが逃げたのでそこまで口に入らない。
僕はこんな罰ゲームの様ではあったけれど、実際お腹が空いていたので思わず美味しいと呟いてしまった。田中君は急にニコニコして、僕に話しかけた。
「美味しい?何か小動物に餌付けしてる気持ちだ。思ったより楽しい。」
僕はゴクリと飲み込みながら悪戯心が出て、田中君に言った。
「もっと食べさせてください、ご主人様。」
途端に周囲が騒ついて、田中君も顔が赤くなってしまった。僕は何か余計なことを言ってしまったのかと、周囲を見回しながらも田中君の差し出すバナナをもう一口食べた。
その時バナナの身が割れて割り箸から落ちそうになってしまったので、僕は割り箸を持った田中君の手を取って、慌てて舐める様に溢れそうなバナナを受け止めた。
机に落下しなくてホッとしたけれど、僕の口の周りは明らかにベトベトになってしまった。僕は指についたチョコレートと口の周りについたチョコレートをぺろぺろと舐めていたんだけど、なぜか教室の空気が可笑しな感じだ。
目の前の田中君は僕を凝視しているし、周囲のテーブルのお客は僕と目を合わそうとしない。僕が首を傾げていると、キヨ君がウェットティッシュを持ってやって来て言った。
「お客さま、これで手をお拭きください。玲、これで拭け。」
僕は親切にもそう言ってくれたキヨくんの顔がなぜか凄く怒ってる気がして、ありがとうと言うのが精一杯だった。
流石に箕輪くんも、衆人環視の中で僕に辱めを受けさせる事は可哀想に思ったのだろう。渋い顔のキヨ君と何か話していたと思ったら、端っこのテーブル席でおやつタイムにしてくれた。そうは言っても、皆の視線が僕たちのテーブルに向かってくるのはどうしようもなかった。
僕はもう、さっさとこのイベントを終わらせようと頑張ることにした。箕輪君が他校生に渡したチョコバナナは小ぶりのバナナだったので、僕は三口でいけると踏んだ。
目の前の他校生は急に冷静になった様子で、顔を赤らめながら僕に言った。
「あの、実は僕昨日もここに来てて。君があまりにも可愛くて思わず今日も来ちゃったんです。だから、こうやって話が出来て嬉しいです。あ、僕田中です!高3です!」
話してみれば、ひょろりとした背の高い他校生は、優しげな雰囲気だった。僕はホッとして、微笑んで言った。
「僕、友達にお腹が空いたって言ったら、こんな事になっちゃって。多分直ぐ食べ終わっちゃうかもしれないけど…。」
他校生こと、田中君は緊張気味に僕にチョコバナナを差し出した。僕は早く食べ終わろうと、精一杯大きな口を開けてパクリとバナナを食べた。田中君が緊張していたのか、手が動いてバナナが逃げたのでそこまで口に入らない。
僕はこんな罰ゲームの様ではあったけれど、実際お腹が空いていたので思わず美味しいと呟いてしまった。田中君は急にニコニコして、僕に話しかけた。
「美味しい?何か小動物に餌付けしてる気持ちだ。思ったより楽しい。」
僕はゴクリと飲み込みながら悪戯心が出て、田中君に言った。
「もっと食べさせてください、ご主人様。」
途端に周囲が騒ついて、田中君も顔が赤くなってしまった。僕は何か余計なことを言ってしまったのかと、周囲を見回しながらも田中君の差し出すバナナをもう一口食べた。
その時バナナの身が割れて割り箸から落ちそうになってしまったので、僕は割り箸を持った田中君の手を取って、慌てて舐める様に溢れそうなバナナを受け止めた。
机に落下しなくてホッとしたけれど、僕の口の周りは明らかにベトベトになってしまった。僕は指についたチョコレートと口の周りについたチョコレートをぺろぺろと舐めていたんだけど、なぜか教室の空気が可笑しな感じだ。
目の前の田中君は僕を凝視しているし、周囲のテーブルのお客は僕と目を合わそうとしない。僕が首を傾げていると、キヨ君がウェットティッシュを持ってやって来て言った。
「お客さま、これで手をお拭きください。玲、これで拭け。」
僕は親切にもそう言ってくれたキヨくんの顔がなぜか凄く怒ってる気がして、ありがとうと言うのが精一杯だった。
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