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ちっちゃな身体じゃ物足りない?
僕は人質
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「くそっ!仕掛けた火球が探知できなくなって探っていたらこの始末だ。どう考えても見つかったな。このチビは一体何処の子供だ?隊長の息子の方が良かったが、無事に逃げるにはこいつを保険にするしかない。」
そうぶつぶつ言いながら、裏切り者の下男は僕を抱えてあちこちを曲がった。この砦の作業用の裏道とでも言う様な少し暗い湿った路は、ほとんどひと気が無い。時々仲間の下男たちの姿を見ると、柱の陰に隠れてやり過ごしていた。
僕は男を刺激しない様に、無になるべく黙っていたけれど、それがかえって男を怪しく思わせたようだった。
「…普通、泣くんじゃないのか?」
そう言って僕を覗き込むので、僕はドキドキしながら目をぱっちり開けて男をガン見して言った。
「あちょぶ?おにごっこ?…じゃっく、どこー?」
無垢な赤ん坊作戦だ。僕をじっと見つめた男は何も言わずに倉庫のような場所に入ると鍵を閉めた。それから積んである木箱の中から逃走用に用意してあったんだろう、リュックの様なものを背中にピッタリ巻き付けると、ぼんやり突っ立ていた僕をもう一度抱き抱えると、扉から道を見回してそっと出た。
あれ…。今もしかして逃げるチャンスだったのかな。僕はもう一度男に抱えられながら、落ちない様に男の腕に捕まりながら考え込んでいた。
でも僕がここで上手く逃げても、この男をまんまと逃走させてしまう。僕の位置情報はパーカスが握っているのだから、このままこの男と一緒に行動していた方が、役に立つのでは無いかな?僕は男の荒い息を聞きながら、そんな事を考えていた。
だいぶ砦の端に来ていたのか、男は荷馬車の集まっている場所に到着すると、僕を抱えたまま荷馬車からダダ鳥を外し始めた。不味いな。これは大逃走劇の始まりなのでは?砦から出てしまうぞ?
しかも逃走中に僕は振り落とされる前に、このダダ鳥のコレクションになりそうだ。ねっとりとしたダダ鳥の視線が追いかけてくるのを感じながら、僕は男に言った。
「おにごっこ、おちまい!僕、かえりゅ!」
ああ、僕の幼い心に引っ張られて、思わず本音が出てしまった。もうちょっと言い方があった気がするのに!
するとハイエナ族の男は、目を細めて妙に優しい猫撫で声で僕に尋ねた。
「お前の父親は誰だ?」
丁度その時、僕のおとーさんが目と鼻の先まで来ているのを感じた。タイミング的には最高だ。僕はにっこり笑って言った。
「ぱーかちゅよ!」
そう言って、僕を抱える男の手の甲目掛けて、炎の魔法で攻撃した。
「熱っ!」
驚いた男が僕を放り出して、慌てて袖に燃え移った火を消しながら、僕を睨みつけた。
「お前、魔法が使えるのか!生意気な!」
そう言って袖にまだ炎が燃えたまま、男が何かを取り出して僕に向けた。あ、やばい。やられると思って目を瞑って縮こまった瞬間、男の身体が後方へと吹っ飛んだ。
近くに来た荒い息を感じて顔を上げようとした瞬間、僕はふわりと抱き上げられていた。
「バルトしゃん…。」
バルトさんが見たことのない怖い顔で、何度も起きあがろうとする男を魔法で吹っ飛ばしていた。バルトさんの直ぐ後からパーカスと数人の騎士達が駆けつけていた。
「バルト、もうやめんか。死んでしまっては自白が取れないじゃろうが。テディ、大丈夫か。怪我は無いかの。いやはや、バルトの足の速さには敵わんの。」
そうパーカスが言いながら僕らに近づいて来た。パーカスもだいぶ息が切れている。きっとずっと走って追いかけてきてくれたんだろう。
僕はパーカスに手を伸ばして抱っこしてもらおうとしたけれど、なぜか身体の自由が利かない。バルトさんが僕を離そうとしてくれないんだ。…今度はバルトさん?
バルトさんは僕を険しい表情で見つめて言った。
「テディ、なぜあんな無茶をしたんだ!あの男に炎の魔法で攻撃するなど!お陰で危ない所だった。一歩遅ければ、君が火だるまになっていたかもしれないんだぞ!?」
僕は地面に蹲ってあの男に攻撃されそうなあの瞬間を思い出していた。確かにそうだ。僕に悪意のある眼差しを向けたあの男の瞳には、殺意が宿っていたのではないのか?
僕は唇を震わせて言った。
「…らって、男、にがちたくなかっちゃ!ぼくも、いっちょ、行きちゃくなかっちゃ!」
僕がバルトさんの腕の中で緊張の糸が切れてわんわん泣いていると、バルトさんの手が僕の背中を何度も優しく撫でるのが感じられた。
ヒョイとパーカスにバルトさんから引き抜かれて、僕は慣れた腕の中へと移動した。
「バルトの心配も分かるが、テディは自分で出来る最上の事をしたのじゃ。とは言え、自分の事をあまりにも軽んじている面は私も説教せねばならないがのう。
テディ、怪我はないか?さっきあの男に火の魔法を放った様に見えたが、近かったからのう。火傷はしてないかの?」
そうパーカスに問われて、僕は泣きじゃくりながら、自分の足首が少し痛むのを感じた。
「足、ちょっといちゃい…。」
するとパーカスは優しく微笑んで、少し赤らんだ場所に魔法をかけた。
「チチンプイプイ、チチンプイ。どうじゃ良くなったかの?」
僕は皆の前で子供じみた僕のお気に入りの呪文を唱えてくれた事に、パーカスの優しさを感じた。だって、周囲の騎士達がどんな顔をしていいのか分からず、目線を彷徨わせているもん。
僕はふふっと笑うと、顔を拭いてもらってパーカスに身体を預けた。はぁ、疲れた。しかし何か忘れてる様な…。僕はハッとしてパーカスに尋ねた。
「じゃっく、どこ?」
パーカスは歩きながら無事ジャックが保護された事を教えてくれた。僕はおじさん騎士のハーバーさんが騎士や兵士達に裏切り者の心当たりが無いと言っていたのを思い出して、実際は下男だったので良かったなと思っていた。
だから気持ちの良い振動で、しかもすっかり安堵したせいで、あっという間に眠ってしまったのも、まぁいつものちびっこの身体の所業なんだけどね…。
次に目を覚ましたのは、辺境の我が家だった。結局事情聴取は僕が眠ってしまったこともあって、日を改めて行うことになったらしい。もちろんあのハイエナ族の男は砦で厳しく調べられるのだろうけど。
僕は一緒に朝ごはんを食べながら、この砦の事件が僕が思っているより大きな出来事としてこの国に受け止められていることをパーカスから聞いた。
「この国は200年侵略を防ぎ、他国との戦争も無かったのじゃよ。今回の様な事は無いとは言わんが、多いとは言えないの。じゃから、騎士団長も随分険しい顔をしておったわ。
そもそもテディが火球を事前に見つけてくれなければ、実行された暁には、わが国を震撼させたのは間違いないじゃろう。問題なのは、この砦内の話で済むかと言う事じゃの。他の国境でも総点検になるじゃろうが、寝た子を起こすことになるやもしれん。」
僕は首を傾げた。寝た子って誰のことを言ってるのかな。この国?それとも敵国?急に僕の平和な異世界生活が脅かされる気がして、僕は眉を顰めて呟いた。
「…ハイエナ族?のあのちと。どうちて、悪いことちゅる?頭よくて、まほおつかえりゅのに…。」
するとパーカスは苦笑して言った。
「テディは、この竜の国しか知らぬからのう。才能があるからこそ、前戦へと送られる国もあるのじゃよ。さあ、心配しても詮無きことじゃ。食事を終えたら、来客を迎える準備をせねばならんからのう。まったく、面倒な事よ。」
僕はハッとして顔を上げた。お客様?誰か来るの?えー!早くお片付けしなくっちゃ!
そうぶつぶつ言いながら、裏切り者の下男は僕を抱えてあちこちを曲がった。この砦の作業用の裏道とでも言う様な少し暗い湿った路は、ほとんどひと気が無い。時々仲間の下男たちの姿を見ると、柱の陰に隠れてやり過ごしていた。
僕は男を刺激しない様に、無になるべく黙っていたけれど、それがかえって男を怪しく思わせたようだった。
「…普通、泣くんじゃないのか?」
そう言って僕を覗き込むので、僕はドキドキしながら目をぱっちり開けて男をガン見して言った。
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あれ…。今もしかして逃げるチャンスだったのかな。僕はもう一度男に抱えられながら、落ちない様に男の腕に捕まりながら考え込んでいた。
でも僕がここで上手く逃げても、この男をまんまと逃走させてしまう。僕の位置情報はパーカスが握っているのだから、このままこの男と一緒に行動していた方が、役に立つのでは無いかな?僕は男の荒い息を聞きながら、そんな事を考えていた。
だいぶ砦の端に来ていたのか、男は荷馬車の集まっている場所に到着すると、僕を抱えたまま荷馬車からダダ鳥を外し始めた。不味いな。これは大逃走劇の始まりなのでは?砦から出てしまうぞ?
しかも逃走中に僕は振り落とされる前に、このダダ鳥のコレクションになりそうだ。ねっとりとしたダダ鳥の視線が追いかけてくるのを感じながら、僕は男に言った。
「おにごっこ、おちまい!僕、かえりゅ!」
ああ、僕の幼い心に引っ張られて、思わず本音が出てしまった。もうちょっと言い方があった気がするのに!
するとハイエナ族の男は、目を細めて妙に優しい猫撫で声で僕に尋ねた。
「お前の父親は誰だ?」
丁度その時、僕のおとーさんが目と鼻の先まで来ているのを感じた。タイミング的には最高だ。僕はにっこり笑って言った。
「ぱーかちゅよ!」
そう言って、僕を抱える男の手の甲目掛けて、炎の魔法で攻撃した。
「熱っ!」
驚いた男が僕を放り出して、慌てて袖に燃え移った火を消しながら、僕を睨みつけた。
「お前、魔法が使えるのか!生意気な!」
そう言って袖にまだ炎が燃えたまま、男が何かを取り出して僕に向けた。あ、やばい。やられると思って目を瞑って縮こまった瞬間、男の身体が後方へと吹っ飛んだ。
近くに来た荒い息を感じて顔を上げようとした瞬間、僕はふわりと抱き上げられていた。
「バルトしゃん…。」
バルトさんが見たことのない怖い顔で、何度も起きあがろうとする男を魔法で吹っ飛ばしていた。バルトさんの直ぐ後からパーカスと数人の騎士達が駆けつけていた。
「バルト、もうやめんか。死んでしまっては自白が取れないじゃろうが。テディ、大丈夫か。怪我は無いかの。いやはや、バルトの足の速さには敵わんの。」
そうパーカスが言いながら僕らに近づいて来た。パーカスもだいぶ息が切れている。きっとずっと走って追いかけてきてくれたんだろう。
僕はパーカスに手を伸ばして抱っこしてもらおうとしたけれど、なぜか身体の自由が利かない。バルトさんが僕を離そうとしてくれないんだ。…今度はバルトさん?
バルトさんは僕を険しい表情で見つめて言った。
「テディ、なぜあんな無茶をしたんだ!あの男に炎の魔法で攻撃するなど!お陰で危ない所だった。一歩遅ければ、君が火だるまになっていたかもしれないんだぞ!?」
僕は地面に蹲ってあの男に攻撃されそうなあの瞬間を思い出していた。確かにそうだ。僕に悪意のある眼差しを向けたあの男の瞳には、殺意が宿っていたのではないのか?
僕は唇を震わせて言った。
「…らって、男、にがちたくなかっちゃ!ぼくも、いっちょ、行きちゃくなかっちゃ!」
僕がバルトさんの腕の中で緊張の糸が切れてわんわん泣いていると、バルトさんの手が僕の背中を何度も優しく撫でるのが感じられた。
ヒョイとパーカスにバルトさんから引き抜かれて、僕は慣れた腕の中へと移動した。
「バルトの心配も分かるが、テディは自分で出来る最上の事をしたのじゃ。とは言え、自分の事をあまりにも軽んじている面は私も説教せねばならないがのう。
テディ、怪我はないか?さっきあの男に火の魔法を放った様に見えたが、近かったからのう。火傷はしてないかの?」
そうパーカスに問われて、僕は泣きじゃくりながら、自分の足首が少し痛むのを感じた。
「足、ちょっといちゃい…。」
するとパーカスは優しく微笑んで、少し赤らんだ場所に魔法をかけた。
「チチンプイプイ、チチンプイ。どうじゃ良くなったかの?」
僕は皆の前で子供じみた僕のお気に入りの呪文を唱えてくれた事に、パーカスの優しさを感じた。だって、周囲の騎士達がどんな顔をしていいのか分からず、目線を彷徨わせているもん。
僕はふふっと笑うと、顔を拭いてもらってパーカスに身体を預けた。はぁ、疲れた。しかし何か忘れてる様な…。僕はハッとしてパーカスに尋ねた。
「じゃっく、どこ?」
パーカスは歩きながら無事ジャックが保護された事を教えてくれた。僕はおじさん騎士のハーバーさんが騎士や兵士達に裏切り者の心当たりが無いと言っていたのを思い出して、実際は下男だったので良かったなと思っていた。
だから気持ちの良い振動で、しかもすっかり安堵したせいで、あっという間に眠ってしまったのも、まぁいつものちびっこの身体の所業なんだけどね…。
次に目を覚ましたのは、辺境の我が家だった。結局事情聴取は僕が眠ってしまったこともあって、日を改めて行うことになったらしい。もちろんあのハイエナ族の男は砦で厳しく調べられるのだろうけど。
僕は一緒に朝ごはんを食べながら、この砦の事件が僕が思っているより大きな出来事としてこの国に受け止められていることをパーカスから聞いた。
「この国は200年侵略を防ぎ、他国との戦争も無かったのじゃよ。今回の様な事は無いとは言わんが、多いとは言えないの。じゃから、騎士団長も随分険しい顔をしておったわ。
そもそもテディが火球を事前に見つけてくれなければ、実行された暁には、わが国を震撼させたのは間違いないじゃろう。問題なのは、この砦内の話で済むかと言う事じゃの。他の国境でも総点検になるじゃろうが、寝た子を起こすことになるやもしれん。」
僕は首を傾げた。寝た子って誰のことを言ってるのかな。この国?それとも敵国?急に僕の平和な異世界生活が脅かされる気がして、僕は眉を顰めて呟いた。
「…ハイエナ族?のあのちと。どうちて、悪いことちゅる?頭よくて、まほおつかえりゅのに…。」
するとパーカスは苦笑して言った。
「テディは、この竜の国しか知らぬからのう。才能があるからこそ、前戦へと送られる国もあるのじゃよ。さあ、心配しても詮無きことじゃ。食事を終えたら、来客を迎える準備をせねばならんからのう。まったく、面倒な事よ。」
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