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ロービンside頭痛の種

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もう昼近いと言うのにベッドから起き上がれないでいるマモルの側に近づいた。ベッドに腰掛けてそのサラリとした長い黒髪を撫でると、マモルは瞼を震わせた。

「…ん。ろーびん?」

少し寝ぼけた舌ったらず声は私の胸を鷲掴みにする。このままベッドに共に潜り込んでマモルを可愛がりたい。若い頃ならそうしていただろうが、流石に今は目の下にクマが出来ているマモルに無理強いは出来なかった。


「マモル、お昼は食べないといけないよ。体力回復しなければ。デービズ殿下にはリチャード殿下と一緒に諭して、5日間ここに立ち入り禁止にしたよ。本当はもっと長くても良かったが…。」

そう私が眉を顰めてブツブツ言っていると、マモルはクスクス笑って言った。

「ふふ。ロービンは僕があっという間に体力回復するポーション持ってるの知ってるくせに、ね?ワザとなんだね?」

私は釣られて微笑むと、起き上がるマモルを抱き起こして言った。


「そうは言ってもあのポーションはロクシーにしか作れないんだろう?いざという時に無いと困るじゃ無いか。」

すると悪戯っぽい眼差しでマモルは私を見上げると、棚の鍵を開けて中からピンク色の液体が入った小さな瓶を取り出してひと息で飲み干した。

するとさっきまでのクマは消えて、顔色の良いマモルがベッドからスルリと全裸で立ち上がった。そして窓辺で大きく伸びをすると私に振り向いて言った。


「僕ね、この前ロクシーが来ている間に、また一つ魔法を覚えたんだ。なかなか習得するのも、実際作るとなると魔力も必要だからようやくって所だけど、ポーション作れるようになったんだ。僕には必須だからね。でもこれって、きっとこの国のためにもなるよね?」

そう言って明るく笑うと、私の側に近寄って来た。

「とは言え、流石にデービズ殿下の精力旺盛さには参るよ。回復する暇がなくって。あれが若さかな。」

私は少し面白くなくて、マモルにガウンを着せ掛けながら呟いた。


「…私だって負けていないよ。」

するとマモルは吹き出していった。

「確かに昔のロービンは酷かったものね。僕の世界ではロービンみたいなタイプはむっつりスケベって言うんだ。えーと、凄くエッチが濃厚って事。ほら、僕がギブアップするまで愛撫してくれるでしょ?」

マモルはこんな昼間っから、明け透けな事を言って煽って来る。私は昔とまるで変わらない姿を見せるマモルが、どれくらいしどけなく見えているのか全然分かっていないと溜息をついた。


するとマモルは私の首に手を絡めて囁いた。

「ロービンは僕の前じゃこんなに表情豊かなのに、他の人には全然冷たいんだから。最近じゃ、そこが良いなんて憧れてる獣人達が増えてるみたいだよ?だってこんなに素敵な騎士様だものね。」

私はマモルの赤い唇にくすぐる様に唇を押し当てて言った。

「…私にはマモルだけだからね。確かにそう考えると、デービス殿下は可哀想な面もあるんだ。ロクシーと番うまで後5年しか無いだろう?そしたら多分マモルと愛し合うのは出来なくなるだろうから。私は少なくとも15年はマモルの柔らかな肌に触れていられた。」


するとマモルは目を見開いて言った。

「え?あと5年で僕もうここに居ないの?僕、ロクシーと番っても、竜の谷と、ここと行き来しようと思ってたのに!だって僕たちこの国の守り神でしょう?僕少しでも長く皆と過ごしたいよ…。」

そう寂しそうに呟くマモルもまた、我々とは違う無限の時を生きる覚悟を滲ませていたのだった。私はぎゅっと華奢な身体を抱きしめて甘い匂いを吸い込んで囁いた。


「今夜はデービス殿下に負けない様にマモルを喜ばしたいよ。良いかい?」

私の腕の中でクスクス笑いながら、マモルは私の肩に頭を乗せて甘く呟いた。

「うん。僕もロービンを可愛がりたい。…やっぱり後でポーション作った方がいいね?」

私達は従者がお昼の食事だと扉の向こうで声を掛けて来るまで、抱き合って窓の景色を見ていた。ああ、マモルと共にあれば私はいつでも笑って幸せで居られるんだよ。









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