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再びの異世界
王宮騎士団
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僕は大きなテーブルに座って周囲を見回した。うっ、騎士や、兵士たちの視線が突き刺さる。僕は得意の日本人的愛想笑いで切り抜けようと、一番近くに座っている騎士に微笑んで言った。
「皆さん、お疲れ様です。すみません、突然お邪魔してしまって。僕のあるじがこちらに挨拶するとの事で一緒に来たのですが。あ、僕、フォーカス様の従騎士のシン タチバナです。」
僕が挨拶すると周囲が騒ついたのが分かった。そっか、こんな格好しているから、従騎士だと分からなかったに違いない。僕は更に愛想笑いをパワーアップして言った。
「僕は黒騎士団の範疇しか存じませんが、王宮騎士団は精鋭の集まりだと聞いています。皆さんはきっと素晴らしい騎士なのでしょうね。」
隣の騎士は視線を周囲に飛ばしていたが、咳払いをすると僕に話し出した。
「ゴホン。お褒め頂きありがとうございます。こちらこそ名高いフォーカス様の従騎士にお会いできて光栄です。武運名高いフォーカス様だけでなく、従騎士であるあなたも有名ですよ。あ、失礼しました。私はルキア シーベットです。王宮騎士団で近衛をしております。」
そう言って微笑む騎士は近衛だけあって、見目も麗しかった。僕がボーッとなっていると、あちこちから席を立って挨拶に騎士たちが来てくれて、僕はそれこそコメツキバッタの様に、挨拶に追われた。
僕たちが挨拶を交わしていると、ジュリアンが王宮騎士団長と共に戻ってきた。騎士団長が咳払いするとさっきまでにこやかに笑っていた騎士たちが一瞬で真顔になり、緊張感を滲ませた。
僕がジュリアンの側に寄ると、ジュリアンは僕を騎士団長に紹介した。
「団長、こちらが話に出たシン タチバナだ。今はリール公爵が後見していて、夫人は末っ子の子息の扱いだ。」
騎士団長は片眉を上げてニヤリと笑うと言った。
「そうか、ルカだな?あいつの考えそうなことだ。公爵夫人はさぞかしお喜びであろうな。」
僕は腰を折って王宮騎士団長に礼を取ると言った。
「フォーカス様より紹介いただきました、シン タチバナです。フォーカス様の従騎士を務めさせて頂いてます。異界からの侵入者の私を、王を始めとして皆様に良くしていただいております。今日は謁見の帰りにて、この様な異端の格好で伺ってしまい申し訳ありません。」
騎士団長はニヤリと笑うと言った。
「良い。噂の従騎士どのに一目会えてこちらも喜んでおる。それに、お陰でむさ苦しいこの場所も華やかになろうぞ。まぁ、フォーカスの心境は穏やかではないだろうがな。ハハハ。」
「皆さん、お疲れ様です。すみません、突然お邪魔してしまって。僕のあるじがこちらに挨拶するとの事で一緒に来たのですが。あ、僕、フォーカス様の従騎士のシン タチバナです。」
僕が挨拶すると周囲が騒ついたのが分かった。そっか、こんな格好しているから、従騎士だと分からなかったに違いない。僕は更に愛想笑いをパワーアップして言った。
「僕は黒騎士団の範疇しか存じませんが、王宮騎士団は精鋭の集まりだと聞いています。皆さんはきっと素晴らしい騎士なのでしょうね。」
隣の騎士は視線を周囲に飛ばしていたが、咳払いをすると僕に話し出した。
「ゴホン。お褒め頂きありがとうございます。こちらこそ名高いフォーカス様の従騎士にお会いできて光栄です。武運名高いフォーカス様だけでなく、従騎士であるあなたも有名ですよ。あ、失礼しました。私はルキア シーベットです。王宮騎士団で近衛をしております。」
そう言って微笑む騎士は近衛だけあって、見目も麗しかった。僕がボーッとなっていると、あちこちから席を立って挨拶に騎士たちが来てくれて、僕はそれこそコメツキバッタの様に、挨拶に追われた。
僕たちが挨拶を交わしていると、ジュリアンが王宮騎士団長と共に戻ってきた。騎士団長が咳払いするとさっきまでにこやかに笑っていた騎士たちが一瞬で真顔になり、緊張感を滲ませた。
僕がジュリアンの側に寄ると、ジュリアンは僕を騎士団長に紹介した。
「団長、こちらが話に出たシン タチバナだ。今はリール公爵が後見していて、夫人は末っ子の子息の扱いだ。」
騎士団長は片眉を上げてニヤリと笑うと言った。
「そうか、ルカだな?あいつの考えそうなことだ。公爵夫人はさぞかしお喜びであろうな。」
僕は腰を折って王宮騎士団長に礼を取ると言った。
「フォーカス様より紹介いただきました、シン タチバナです。フォーカス様の従騎士を務めさせて頂いてます。異界からの侵入者の私を、王を始めとして皆様に良くしていただいております。今日は謁見の帰りにて、この様な異端の格好で伺ってしまい申し訳ありません。」
騎士団長はニヤリと笑うと言った。
「良い。噂の従騎士どのに一目会えてこちらも喜んでおる。それに、お陰でむさ苦しいこの場所も華やかになろうぞ。まぁ、フォーカスの心境は穏やかではないだろうがな。ハハハ。」
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