異世界に飛ばされた僕の従騎士生活

再びの異世界

ルカside訪問

明日は王宮への呼び出しが掛かっているという事で、私は可愛い義弟と親友の顔を見にジュリアンの屋敷に出掛けた。もちろん二人の邪魔はしたくなかったので、ちゃんと事前に訪問の約束をしたんだ。だが、私は自分の見通しが甘かったと思い知った。

屋敷に着いた私は趣味の良いサービスルームに通されたものの、なかなかお声が掛からなかった。三杯目の紅茶をサーブしてくれる執事に、私が物説いたげな視線を送ると、彼は心の読めない笑顔を貼り付けて言った。


「ルカ様、もう間もなくお二方はいらしゃいます。お待たせいたして申し訳ありません。身支度に時間が掛かっていらっしゃられるご様子でしたので。」

私はなるほどと頷いて、執事を放免してやった。あの二人は私が来るのも忘れて、あるいはジュリアンがワザと？イチャイチャしていたらしい。全くあれから6日間もあったのに、まだ足りないというのだろうか？私はそんな二人が少し羨ましく感じたものの、現れたらどう揶揄ってやろうかと悪戯心がムクムクと湧き上がってきていた。

そして執事の言う通りに彼らは二人揃ってやってきた。私は二人のあまりの変わり様に驚きを隠せなかった。


あんなに面やつれしていた青白い顔をしていたジュリアンは、すっかり以前と変わらない、いやむしろ今の方がよっぽど健康的な美丈夫ぶりを発揮していた。そしてその美丈夫の蕩ける眼差しの先に居たのは、この短い間にすっかり色気を増した気怠げなシンがいた。

とろんとした眼差しは少し眠いのか、こちらは謁見の間で見た時の元気な可愛さは影を潜めて、どちらかというと面やつれして、見てるこちらが二人の閨を覗いてしまった様な気分にさせる、目を逸らしたくなる雰囲気があった。

私はジュリアンを睨むと言った。


「おい、ジュリアン。まさかシンを寝かしてないんじゃないだろうな⁉︎お前が精力旺盛なのは良いとして、流石にシンにそれを押し付けたらシンが倒れかねないぞ？」

ジュリアンは片眉を持ち上げて、顔を赤くしたシンをチラッと見ると、私の目を見てにこやかに言った。

「もちろんたっぷり寝かしている。ただ、精力旺盛なのは私だけじゃないってことだ。まぁ、私はシンさえ側にいれば身体の調子がすこぶる良いので、そこは非常に感謝するべきところなのだがな。」

私は口をあんぐりと開けて、シンを見つめた。シンは罰が悪そうな顔をして、しかしニッコリと妖艶に微笑んで言った。


「…ええ。ジュリアンの言ってることはあながち嘘ではありません。ルカ様、だからジュリアンを責めないで下さいね？」