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二度目の砦生活

戦況の悪化

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今日は兵士長に剣の仕上がり具合を見てもらう日だ。

ここ半年ほど、僕は剣を中心に鍛錬を続けてきた。手のマメも硬くなって剣を振るのも様になって来たんじゃないかな。

剣に白魔法を乗せるのは、弓と同じで集中して祝詞を口の中で呟く。
身体が熱くなったら斬りつける。これは人で試すわけにいかなかったので、ダミー人形を下僕に作ってもらった。

数体立ててもらって試したんだけど、思った通り僕の力以上に斬りつける威力が出た感じ。
周囲の人形にもカマイタチ的な切り傷が出来てたから弓の時の様に周囲に影響が出た。


でもこれ、味方が入り乱れてたら味方も切れちゃわないかな?

そう青ざめた僕は魔法士の副団長の指導のもと、魔の加護のある者だけに効果がある様にできないかなと色々試した。

結局、要はイメージだった。確かに最初の弓掛けで試した時もイメージありきだった。
剣を振るう時も、魔の加護のある者への攻撃をイメージする事で魔の加護のない者には飛び火しない事が分かった。


「この作戦はひとつ弱点がある。それが何か分かるか、シン君。」

ローディ副団長が僕を紫を感じる紺色の瞳で見つめて言った。

「…もし、敵に魔の加護を受けてない兵士がいた場合、その敵も飛び刃からは無傷という事でしょうか。」

「そうだ。だから1回目の戦いでは大丈夫かもしれないが、何度も戦っているとそれが発覚する恐れがある。
まぁ、ただ夜の国は基本魔の加護ありきの国なので、加護なしの敵兵を見つけるのは至難の技だろうがね?」

副団長はそう言って笑った。
そして急に真剣な眼差しで前方を見つめた。前回戦った戦場がある方向だ。


「シン君も感じてるかい?夜の国の魔の波動が一段と強くなった。そろそろ次の戦が始まる気がする。
今回は前回より手強い気がする。秘密兵器のシン君の事も多分バレてるだろう。

私やシン君に出来ることは効果的に力のある魔法を使うことだ。シン君も何か思いついたら些細な事でも僕に言ってくれ。
頼りにしてるよ。」

そう真面目な顔で言うと、ローディ副団長は手を挙げて立ち去った。

僕は副団長との訓練を思い出しながら、前回の戦のことを考えていた。
前回はただ夢中で参加したけれど、今回はもう少しうまくやれるはずだ。

弓隊として参加した後でも合流して、ジュリアンの側で剣を使って従騎士としてお守りできるかもしれない。

ローディ副団長の見つめた砦の向こうを僕も何か黒いモヤがごく僅かだが、広がっていくのを感じながら睨んだ。

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