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新しい生活
弓の達人カークの筋肉
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僕がカークさんの腕を触らせて欲しいとお願いすると、カークさんとジャック兵士長は一瞬固まった後、二人揃ってゆっくりフォーカス様の方を向いた。フォーカス様は片眉を上げて僕の方を見つめると、ゆっくり頷いた。
「ウォホン、シン君、カークの腕を触る理由はなんだ?」
兵士長はフォーカス様の態度に少しホッとした表情で僕に尋ねた。
「は?はい。弓を引く人の腕を触るとどこの筋肉をどのくらい使っているかがよく分かるんです。僕とどのくらい違うか比べてみたくてお願いしました。」
「ふむ。そんなことが触っただけで分かるのか?面白い。さぁやってくれ。」
僕はカークさんの両腕を念入りに触らせてもらった。何なら曲げたり伸ばしたりもしてもらって。更に肩、背中まで撫でて触った。何ならちょっと触りまくってしまったかもしれない。僕は集中し過ぎたようで、大きく息を吐き出すと、頷いた。
「ありがとうございました。大変参考になりました。カークさんは腕だけでなく、背中の筋肉が素晴らしいですね。」
僕がカークさんを見上げると、カークさんは赤くなったり、何なら青くなったりとじんわり汗をかいていた。
「…カークさん?」
カークさんとジャック兵士長の顔色が妙に悪く感じて、二人の視線を辿るとフォーカス様がこちらに歩いてくる所だった。
「フォーカス様!フォーカス様も触ってみてくださいっ。本当は裸の方がよく分かるんですけど!」
僕はフォーカス様にカークさんの筋肉の事を教えてあげたくて満面の笑みで大きな声で呼びかけた。フォーカス様は少し歩みを止めた後、妙に早足で僕の側にやって来た。
「…シン、裸と言ったか?」
「はい!カークさんは弓をひく筋肉がよく発達していて、特に背中の背筋がすばらしいです。
裸で見たらもっと分かり易いですけど。一度見てみたいです。」
あれ?カークさんとジャック兵士長が随分遠くに後退りしてる。
「…シン。研究熱心なのはいいのだが、お前のその行動は時に誤解を生むので気をつけるように。
特に裸が見たいなどと言うのは…。まぁ良い。今度ゆっくり教えてやろう。」
最後の方は僕にしか聞こえないような囁き声だったけれど、何だか不穏な空気を感じる。
僕はまた何かやらかしてしまったのかもしれない。この世界と日本では色々捉え方が違うので、失敗した事が数え切れないほどある。最近は減ってきたんだけど、今日は浮かれ過ぎたかも…。とはいえ、弓を引くこのチャンスを逃したくはない。
「…フォーカス様、弓を引いても良いですか⁉︎」
僕の顔を見つめたフォーカス様は、苦笑すると僕の髪を撫でて頷いた。
「ウォホン、シン君、カークの腕を触る理由はなんだ?」
兵士長はフォーカス様の態度に少しホッとした表情で僕に尋ねた。
「は?はい。弓を引く人の腕を触るとどこの筋肉をどのくらい使っているかがよく分かるんです。僕とどのくらい違うか比べてみたくてお願いしました。」
「ふむ。そんなことが触っただけで分かるのか?面白い。さぁやってくれ。」
僕はカークさんの両腕を念入りに触らせてもらった。何なら曲げたり伸ばしたりもしてもらって。更に肩、背中まで撫でて触った。何ならちょっと触りまくってしまったかもしれない。僕は集中し過ぎたようで、大きく息を吐き出すと、頷いた。
「ありがとうございました。大変参考になりました。カークさんは腕だけでなく、背中の筋肉が素晴らしいですね。」
僕がカークさんを見上げると、カークさんは赤くなったり、何なら青くなったりとじんわり汗をかいていた。
「…カークさん?」
カークさんとジャック兵士長の顔色が妙に悪く感じて、二人の視線を辿るとフォーカス様がこちらに歩いてくる所だった。
「フォーカス様!フォーカス様も触ってみてくださいっ。本当は裸の方がよく分かるんですけど!」
僕はフォーカス様にカークさんの筋肉の事を教えてあげたくて満面の笑みで大きな声で呼びかけた。フォーカス様は少し歩みを止めた後、妙に早足で僕の側にやって来た。
「…シン、裸と言ったか?」
「はい!カークさんは弓をひく筋肉がよく発達していて、特に背中の背筋がすばらしいです。
裸で見たらもっと分かり易いですけど。一度見てみたいです。」
あれ?カークさんとジャック兵士長が随分遠くに後退りしてる。
「…シン。研究熱心なのはいいのだが、お前のその行動は時に誤解を生むので気をつけるように。
特に裸が見たいなどと言うのは…。まぁ良い。今度ゆっくり教えてやろう。」
最後の方は僕にしか聞こえないような囁き声だったけれど、何だか不穏な空気を感じる。
僕はまた何かやらかしてしまったのかもしれない。この世界と日本では色々捉え方が違うので、失敗した事が数え切れないほどある。最近は減ってきたんだけど、今日は浮かれ過ぎたかも…。とはいえ、弓を引くこのチャンスを逃したくはない。
「…フォーカス様、弓を引いても良いですか⁉︎」
僕の顔を見つめたフォーカス様は、苦笑すると僕の髪を撫でて頷いた。
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