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白薔薇学園ゲーム
結局俺が主人公っぽい※ 【完】
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真琴の腕の中で、冬馬はぼんやり考え込んでいた。隠れキャラの真琴に嫌われるなんて、やっぱり徳永は主人公じゃないのかもしれない。だとしたらやっぱり自分が主人公なのだろうか。
それともこうして主人公だなんだと色々考えるのがそもそもおかしいのかもしれない。今感じるこの体温は現実で、映像の中のものではないんだから。
「何だ…。大人しいな。まぁ良かったよ。徳永に連れ出されてたら、流石に俺もフォロー出来なくてあいつの思い通りになってた可能性もあるからな。
でも冬馬の正論に何も言い返せなかったな、あいつ。ちょっとは心入れ替えると良いけどね。」
冬馬は真琴の声に安堵の気配を感じて、周囲の言うように真琴は自分に過保護なんだと改めて自覚していた。抱き寄せられている身体からそろそろと手を伸ばして、冬馬は真琴の肩を掴んで仰向いた。
自分からキスするのは中々勇気がいる。たとえ相手が自分の事を好きだと言ってくれていたとしても。
片手で真琴の首を引き寄せると、唇は重なった。いつもなら真琴が馬鹿みたいに貪るくせして、今回は冬馬の様子を見ているのか好きにさせてくれる。
恐る恐る舌を伸ばして真琴の口の中を撫でると、ピクリと真琴の肩が動いた。それでも真琴は冬馬をせっつく事なく、ゆっくりと味わう様なキスは冬馬を虜にした。
こんな風に主導権を握るキスも良い。真琴が自分のものだと言う気がする。
不意に顔を引き剥がされて、冬馬はハッと目を開いた。目の前の真琴が冬馬の肩を押して俯いている。冬馬が戸惑っていると、真琴がゆっくり顔を上げて冬馬を睨みつけてきた。
「…まったく、どう言う事?自分からそんな風にキスしてくるとか、俺図に乗っちゃうよ?」
冬馬は目の前の世慣れた風に見える真琴が等身大の高校生に思えて、クスッと笑った。
「図に乗れば良いじゃん。俺、お前だけで良いって言ってるんだから。」
黙り込んだ真琴は、冬馬を見つめながらみるみる顔を赤くした。そんな真琴が可愛く思えて冬馬は調子に乗ってしまった。
「ほんとお前、俺のこと好き過ぎでしょ。」
途端に見た事のない怖い様な笑みを浮かべた真琴は、少し首を傾げて囁いた。
「…ああ、ほんと無理。冬馬、そうとなったらさっさと寮に帰ろ。そうだ、途中でコンビニで何か食べ物買わなくちゃな。あと何が必要かな。」
真琴が何を心配してるのか分からなくて、冬馬が疑問を浮かべた顔をしていたに違いない。すると真琴は楽しげに笑うと冬馬の耳元で囁いた。
「今日は抱き潰して良いんだろ?金曜日だし。」
「ちょ、待って。て、手加減してくれるよな!?」
冬馬の悲鳴混じりの懇願は、真琴の部屋に連れ込まれるなりひん剥かれたせいだ。真琴はやっぱり怖い笑顔で頷いた。
「ああ、もちろん。冬馬は初めてだろう?凄い気持ち良くしてやりたいから、時間掛けて致すつもりだ。」
それは正しい返事なのかと疑問を感じながらも、冬馬は腹を括るしかないとすっかり抵抗を手放して真琴に抱きついた。
「…俺、真琴が好きだ。徳永に真琴の事聞かれた時無視した事もあったんだ。真琴が俺の側から離れてくとか考えたら、何だか耐えられなくて。俺の方がよっぽど独占欲凄いかもな。」
「…くそ。可愛すぎだろ。やばい、マジやばい。もう犯す。我慢できない。」
何だか物騒な言葉が耳元で聞こえて来て、冬馬は恐る恐る顔を上げた。荒い息をした真琴が顔を顰めて冬馬を睨んでいる。
「本当、急に素直になるとか俺をどうしたい訳?…もうこんなだけど。」
そう言って真琴は冬馬の手を自分の股間に押し付けた。すっかり育ち切った臨戦体制のそれがそこに鎮座していて、冬馬は顔を赤くした。自分がどうも真琴の理性をぶち切った気がしたけど、冬馬も真琴の興奮をドキドキして喜んでもいた。
だからその手を積極的に動かしたのはしょうがないと思うし、二人が口の周りを濡らしながら息をつかせぬキスをして、ベッドの上で半裸になりながら押し付けあって第一ラウンドを終了したのもしょうがない事だっただろう。
すっかり汚れた身体を部屋の狭いシャワーブースで流しながら恥ずかしさと戸惑いの中、真琴に後ろの準備をされ終わった頃には冬馬はぐったりとベッドに転がっていた。
「…あり得ない。もう無理。」
そう冬馬が涙目で突っ伏していると、シャワーを終えた真琴が冬馬にのし掛かってその背中に優しく唇を押し付けた。
「大丈夫?慣れないと辛いよな?でも、後は気持ちいいばかりだからな?」
冬馬はジトっと真琴を横目で見て口を尖らせた。
「…真琴嘘つかない?」
「真琴、嘘つかない。ハイ、ワタシウソツカナイ。」
「…ふふ、何で片言なの。」
思わず笑った冬馬に、笑みを浮かべた彫りの深い顔を近づけて、真琴は柔らかく唇を押し付けた。それが合図の様に冬馬は自分の手を真琴の首に巻きつけてその情熱を受け取った。
絡め合った舌や、胸を弄る真琴の指先に喘がされて、冬馬は自分の敏感すぎる身体にすっかり振り回されていた。真琴に吸い付かれた胸の先から股間に鋭い快感が電気の様に流れるのを感じて、自分の太腿を覆い被さった真琴に擦りつけた。
「冬馬我慢できない?もうちょっとだけ待って…。少しづつ解すから痛かったら言って。」
そう言われてから、真琴にあちこちにキスされながら自分の後ろにゼリーを塗りつけられて少しづつ指を挿れられるのを感じた。最初違和感しか感じなかったそれはあっという間にもどかしさに変化して、感じやすい身体そのままに冬馬の身体は真琴の指を深く呑み込んだ。
「んっ、あ…!あ、なぁっ、あ、ああっ!」
ゆるゆると身体の奥を撫でていたその指が押し付けて揺さぶる頃には、冬馬は涙を滲ませてよがっていた。その強烈な快感に慣れなくて苦しいほどだった。
「なぁ、冬馬がそんなに良さそうで、俺もうパンパンなんだけど。初めてなのにそんなに敏感で、冬馬可愛すぎて死にそう。いや、死ぬな、俺。」
そう真琴はブツブツ言っていたけれど、冬馬は自分の事で精一杯だった。真琴が冬馬のシンボルを咥えて愛撫しながら指の数を増やして慣らしていく頃には、達せられないその欲求不満に怒りさえ覚えるほどだった。
「真琴はやく、挿れていいから、逝かせてっ!」
そう悲鳴混じりに懇願すると、真琴は怖い顔をしながら冬馬の太腿を身体に押し付けて歯を軋ませた。
「マジで無理。もう可愛い顔して煽るだけ煽るとか、冬馬の自暴自棄だから。」
それから真琴の立派なそれが小刻みに揺さぶって入ってくるのを感じた時に、初めて冬馬は自分から挿れて欲しいと強請った事を正直後悔していた。きつい、いや、無理じゃ…。
そんな冬馬の心境の変化を感じたのか、真琴は宥める様に冬馬にキスして酸欠状態にしてしまった。ぼんやりして力の抜けた冬馬にグッと押し入って来た真琴のそれは容赦無く突き進んで、あの苦しいほどの快感の場所をグリグリと擦り続けた。
それは終わりのない悦びと苦しさの紙一重の快感で、冬馬は堪えられずに喘ぎ声を上げながら攻め上げられていった。同時に真っ赤に腫れた股間を扱かれて、絶頂に弾けた。
それから真琴にガツガツと抉られて、ますます訳が分からなくなった冬馬は息をする事も出来なかった。身体全身が少し震えているのに自分ではどうしようもなくて呆然として目を閉じていると、瞼に真琴がキスを落とした。
「冬馬、最高だった。最後本気出しちゃってごめんな。もっと手加減するつもりだったんだけど、冬馬が良すぎて無理だった。冬馬大丈夫?良くなかった?」
最後は笑い混じりのその揶揄う様な真琴の声音に、冬馬はようやく目を開けて呟いた。
「…だいじょばない。良くなかった訳ないって分かって聞いてるの意地悪だろ。」
クスクス笑いながら、真琴は冬馬の胸を弾いた。
「確かに、あんなに喘いだら隣に聞こえるかもな。まぁ、この寮室は壁が厚くてそう滅多な事じゃ声なんて聞こえないか。」
そう真琴に揶揄われつつも、冬馬は力の入らない指をベッドについた真琴の指に絡めた。
もしこの世界が攻略ゲーム仕様だったとしても、冬馬は好きな相手と恋人になった。それ以外に大事なことはあるだろうか。もし自分が主人公だったとしても、隠れキャラの真琴とハピエンになっただけのストーリーだ。
これから自分が他の攻略者と親密度を上げなければ問題も起きないはずだし。何たって目の前のこいつはちょっと俺の事を好き過ぎるから。
「何?そんな顔してると、もっと冬馬を味わいたくなるんだけど。」
ちょっと掠れた声で呟く真琴に、冬馬は口を尖らせて答えた。
「その前に飢え死にしそう。何か食べさせて。真琴以外の食べ物。」
楽しく笑いながら冷蔵庫を漁りにいく真琴の後ろ姿を見つめながら冬馬は口元をにやけさせた。ふふ、なんか良いな、こんな感じも。
冷蔵庫の奥に入っていたいくつかの睡眠薬のカプセルを手に取った真琴は、それをゴミ箱に放り込んだ。
「…必要無かったな。良かった、冬馬が素直に落ちて来てくれて。」
「何か言った?真琴?」
真琴は炭酸のボトルを取り出すと、テーブルに置いたコンビニで買った食料を手に冬馬のところに戻った。
「いや、冬馬はカレーとパスタどっちが食べたいんだっけ?」
自分の弟を白薔薇学園の箱庭の攻略ゲームの主人公に見立てて楽しんでいた冬馬の姉は、親友の真琴とハピエンを迎えた後、どうしても花柳生徒会長とマッチさせたくてもう一度リスタートさせた。
けれどもどんなに頑張っても結局真琴とハピエンになってしまうし、しかも会長との仲を嫉妬した真琴によって睡眠姦という目も当てられないヤンデレ展開になってしまって、流石に弟を主人公にした手前罪悪感を感じた。
だから冬馬に俺の結果はどうなったのかと聞かれた時、やる気がなくなったと誤魔化すしか無かった。
そう、結局藤原冬馬は、親友の橘真琴から逃れられない運命だった。そして冬馬が受け入れる限りそれは永遠にハピエンなのだ。
【 完 】
最後まで読んでいただきありがとうございました😭
総ハーレム仕様のストーリーを書いていたはずなのに、親友の執着愛になってしまいました。他の人とあれこれ出来るタイプの冬馬じゃなかったですし(だからモテモテ!)、愛の重い親友が思いの外ベッタリでこんな展開になってしまいました🤭
冬馬さえ真琴を受け入れてくれさえすれば怖いことなど何も起きない仕様です!頑張れ冬馬❣️と言う気持ちで完結しました。
楽しんで頂けたのなら嬉しいです😊
★毎日連載中の【特別な魔物】はちょっと長くなりそうな感じです。思いの外、魔物になってしまった主人公の絵都がエロいです。その淫靡さも楽しんで頂けたらと思います。よろしくお願いします。
それともこうして主人公だなんだと色々考えるのがそもそもおかしいのかもしれない。今感じるこの体温は現実で、映像の中のものではないんだから。
「何だ…。大人しいな。まぁ良かったよ。徳永に連れ出されてたら、流石に俺もフォロー出来なくてあいつの思い通りになってた可能性もあるからな。
でも冬馬の正論に何も言い返せなかったな、あいつ。ちょっとは心入れ替えると良いけどね。」
冬馬は真琴の声に安堵の気配を感じて、周囲の言うように真琴は自分に過保護なんだと改めて自覚していた。抱き寄せられている身体からそろそろと手を伸ばして、冬馬は真琴の肩を掴んで仰向いた。
自分からキスするのは中々勇気がいる。たとえ相手が自分の事を好きだと言ってくれていたとしても。
片手で真琴の首を引き寄せると、唇は重なった。いつもなら真琴が馬鹿みたいに貪るくせして、今回は冬馬の様子を見ているのか好きにさせてくれる。
恐る恐る舌を伸ばして真琴の口の中を撫でると、ピクリと真琴の肩が動いた。それでも真琴は冬馬をせっつく事なく、ゆっくりと味わう様なキスは冬馬を虜にした。
こんな風に主導権を握るキスも良い。真琴が自分のものだと言う気がする。
不意に顔を引き剥がされて、冬馬はハッと目を開いた。目の前の真琴が冬馬の肩を押して俯いている。冬馬が戸惑っていると、真琴がゆっくり顔を上げて冬馬を睨みつけてきた。
「…まったく、どう言う事?自分からそんな風にキスしてくるとか、俺図に乗っちゃうよ?」
冬馬は目の前の世慣れた風に見える真琴が等身大の高校生に思えて、クスッと笑った。
「図に乗れば良いじゃん。俺、お前だけで良いって言ってるんだから。」
黙り込んだ真琴は、冬馬を見つめながらみるみる顔を赤くした。そんな真琴が可愛く思えて冬馬は調子に乗ってしまった。
「ほんとお前、俺のこと好き過ぎでしょ。」
途端に見た事のない怖い様な笑みを浮かべた真琴は、少し首を傾げて囁いた。
「…ああ、ほんと無理。冬馬、そうとなったらさっさと寮に帰ろ。そうだ、途中でコンビニで何か食べ物買わなくちゃな。あと何が必要かな。」
真琴が何を心配してるのか分からなくて、冬馬が疑問を浮かべた顔をしていたに違いない。すると真琴は楽しげに笑うと冬馬の耳元で囁いた。
「今日は抱き潰して良いんだろ?金曜日だし。」
「ちょ、待って。て、手加減してくれるよな!?」
冬馬の悲鳴混じりの懇願は、真琴の部屋に連れ込まれるなりひん剥かれたせいだ。真琴はやっぱり怖い笑顔で頷いた。
「ああ、もちろん。冬馬は初めてだろう?凄い気持ち良くしてやりたいから、時間掛けて致すつもりだ。」
それは正しい返事なのかと疑問を感じながらも、冬馬は腹を括るしかないとすっかり抵抗を手放して真琴に抱きついた。
「…俺、真琴が好きだ。徳永に真琴の事聞かれた時無視した事もあったんだ。真琴が俺の側から離れてくとか考えたら、何だか耐えられなくて。俺の方がよっぽど独占欲凄いかもな。」
「…くそ。可愛すぎだろ。やばい、マジやばい。もう犯す。我慢できない。」
何だか物騒な言葉が耳元で聞こえて来て、冬馬は恐る恐る顔を上げた。荒い息をした真琴が顔を顰めて冬馬を睨んでいる。
「本当、急に素直になるとか俺をどうしたい訳?…もうこんなだけど。」
そう言って真琴は冬馬の手を自分の股間に押し付けた。すっかり育ち切った臨戦体制のそれがそこに鎮座していて、冬馬は顔を赤くした。自分がどうも真琴の理性をぶち切った気がしたけど、冬馬も真琴の興奮をドキドキして喜んでもいた。
だからその手を積極的に動かしたのはしょうがないと思うし、二人が口の周りを濡らしながら息をつかせぬキスをして、ベッドの上で半裸になりながら押し付けあって第一ラウンドを終了したのもしょうがない事だっただろう。
すっかり汚れた身体を部屋の狭いシャワーブースで流しながら恥ずかしさと戸惑いの中、真琴に後ろの準備をされ終わった頃には冬馬はぐったりとベッドに転がっていた。
「…あり得ない。もう無理。」
そう冬馬が涙目で突っ伏していると、シャワーを終えた真琴が冬馬にのし掛かってその背中に優しく唇を押し付けた。
「大丈夫?慣れないと辛いよな?でも、後は気持ちいいばかりだからな?」
冬馬はジトっと真琴を横目で見て口を尖らせた。
「…真琴嘘つかない?」
「真琴、嘘つかない。ハイ、ワタシウソツカナイ。」
「…ふふ、何で片言なの。」
思わず笑った冬馬に、笑みを浮かべた彫りの深い顔を近づけて、真琴は柔らかく唇を押し付けた。それが合図の様に冬馬は自分の手を真琴の首に巻きつけてその情熱を受け取った。
絡め合った舌や、胸を弄る真琴の指先に喘がされて、冬馬は自分の敏感すぎる身体にすっかり振り回されていた。真琴に吸い付かれた胸の先から股間に鋭い快感が電気の様に流れるのを感じて、自分の太腿を覆い被さった真琴に擦りつけた。
「冬馬我慢できない?もうちょっとだけ待って…。少しづつ解すから痛かったら言って。」
そう言われてから、真琴にあちこちにキスされながら自分の後ろにゼリーを塗りつけられて少しづつ指を挿れられるのを感じた。最初違和感しか感じなかったそれはあっという間にもどかしさに変化して、感じやすい身体そのままに冬馬の身体は真琴の指を深く呑み込んだ。
「んっ、あ…!あ、なぁっ、あ、ああっ!」
ゆるゆると身体の奥を撫でていたその指が押し付けて揺さぶる頃には、冬馬は涙を滲ませてよがっていた。その強烈な快感に慣れなくて苦しいほどだった。
「なぁ、冬馬がそんなに良さそうで、俺もうパンパンなんだけど。初めてなのにそんなに敏感で、冬馬可愛すぎて死にそう。いや、死ぬな、俺。」
そう真琴はブツブツ言っていたけれど、冬馬は自分の事で精一杯だった。真琴が冬馬のシンボルを咥えて愛撫しながら指の数を増やして慣らしていく頃には、達せられないその欲求不満に怒りさえ覚えるほどだった。
「真琴はやく、挿れていいから、逝かせてっ!」
そう悲鳴混じりに懇願すると、真琴は怖い顔をしながら冬馬の太腿を身体に押し付けて歯を軋ませた。
「マジで無理。もう可愛い顔して煽るだけ煽るとか、冬馬の自暴自棄だから。」
それから真琴の立派なそれが小刻みに揺さぶって入ってくるのを感じた時に、初めて冬馬は自分から挿れて欲しいと強請った事を正直後悔していた。きつい、いや、無理じゃ…。
そんな冬馬の心境の変化を感じたのか、真琴は宥める様に冬馬にキスして酸欠状態にしてしまった。ぼんやりして力の抜けた冬馬にグッと押し入って来た真琴のそれは容赦無く突き進んで、あの苦しいほどの快感の場所をグリグリと擦り続けた。
それは終わりのない悦びと苦しさの紙一重の快感で、冬馬は堪えられずに喘ぎ声を上げながら攻め上げられていった。同時に真っ赤に腫れた股間を扱かれて、絶頂に弾けた。
それから真琴にガツガツと抉られて、ますます訳が分からなくなった冬馬は息をする事も出来なかった。身体全身が少し震えているのに自分ではどうしようもなくて呆然として目を閉じていると、瞼に真琴がキスを落とした。
「冬馬、最高だった。最後本気出しちゃってごめんな。もっと手加減するつもりだったんだけど、冬馬が良すぎて無理だった。冬馬大丈夫?良くなかった?」
最後は笑い混じりのその揶揄う様な真琴の声音に、冬馬はようやく目を開けて呟いた。
「…だいじょばない。良くなかった訳ないって分かって聞いてるの意地悪だろ。」
クスクス笑いながら、真琴は冬馬の胸を弾いた。
「確かに、あんなに喘いだら隣に聞こえるかもな。まぁ、この寮室は壁が厚くてそう滅多な事じゃ声なんて聞こえないか。」
そう真琴に揶揄われつつも、冬馬は力の入らない指をベッドについた真琴の指に絡めた。
もしこの世界が攻略ゲーム仕様だったとしても、冬馬は好きな相手と恋人になった。それ以外に大事なことはあるだろうか。もし自分が主人公だったとしても、隠れキャラの真琴とハピエンになっただけのストーリーだ。
これから自分が他の攻略者と親密度を上げなければ問題も起きないはずだし。何たって目の前のこいつはちょっと俺の事を好き過ぎるから。
「何?そんな顔してると、もっと冬馬を味わいたくなるんだけど。」
ちょっと掠れた声で呟く真琴に、冬馬は口を尖らせて答えた。
「その前に飢え死にしそう。何か食べさせて。真琴以外の食べ物。」
楽しく笑いながら冷蔵庫を漁りにいく真琴の後ろ姿を見つめながら冬馬は口元をにやけさせた。ふふ、なんか良いな、こんな感じも。
冷蔵庫の奥に入っていたいくつかの睡眠薬のカプセルを手に取った真琴は、それをゴミ箱に放り込んだ。
「…必要無かったな。良かった、冬馬が素直に落ちて来てくれて。」
「何か言った?真琴?」
真琴は炭酸のボトルを取り出すと、テーブルに置いたコンビニで買った食料を手に冬馬のところに戻った。
「いや、冬馬はカレーとパスタどっちが食べたいんだっけ?」
自分の弟を白薔薇学園の箱庭の攻略ゲームの主人公に見立てて楽しんでいた冬馬の姉は、親友の真琴とハピエンを迎えた後、どうしても花柳生徒会長とマッチさせたくてもう一度リスタートさせた。
けれどもどんなに頑張っても結局真琴とハピエンになってしまうし、しかも会長との仲を嫉妬した真琴によって睡眠姦という目も当てられないヤンデレ展開になってしまって、流石に弟を主人公にした手前罪悪感を感じた。
だから冬馬に俺の結果はどうなったのかと聞かれた時、やる気がなくなったと誤魔化すしか無かった。
そう、結局藤原冬馬は、親友の橘真琴から逃れられない運命だった。そして冬馬が受け入れる限りそれは永遠にハピエンなのだ。
【 完 】
最後まで読んでいただきありがとうございました😭
総ハーレム仕様のストーリーを書いていたはずなのに、親友の執着愛になってしまいました。他の人とあれこれ出来るタイプの冬馬じゃなかったですし(だからモテモテ!)、愛の重い親友が思いの外ベッタリでこんな展開になってしまいました🤭
冬馬さえ真琴を受け入れてくれさえすれば怖いことなど何も起きない仕様です!頑張れ冬馬❣️と言う気持ちで完結しました。
楽しんで頂けたのなら嬉しいです😊
★毎日連載中の【特別な魔物】はちょっと長くなりそうな感じです。思いの外、魔物になってしまった主人公の絵都がエロいです。その淫靡さも楽しんで頂けたらと思います。よろしくお願いします。
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感想ありがとうございます🩷
新作ありがとうございます!
私もニマニマしながら読みたいと思います!家で!
ハーレムゲーム、どうなる事やらですね!
いつも感想とても励みになります💖ニマニマ😊