女嫌い令息の指南役は処女令嬢!?

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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観察と実行※

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 愛想のない男は返事のひとつも惜しむのかと肩をすくめて、ビクトリアは指先で男の顔をなぞった。自分とはまるで違うその手触りに夢中になって、頬から顎の少しチクチクするざらつきを楽しんだ。

 見た目よりも厚い唇を指でなぞると、我慢出来なくなって自分の唇を軽く触れさせた。思ったよりも柔らかで、ビクトリアは吸ったり突いたりしてその感触を楽しんだ。

 口づけは好きだわ。挨拶でするものとは違って、こんな雰囲気で触れ合う唇はその先の期待感を高まらせる。


 男の唇がため息と共に開いたのを感じて、ビクトリアは思い切って舌を伸ばした。女嫌いらしいこの男が自分を突き飛ばさない様に、ゆっくりとその隙間を撫でて愛撫を深めていく。

 意外にも男は身体をこわばらせることも無く、自然にビクトリアと口づけを深めた。ビクトリアの真似をする様に優しく触れ合う舌が心地良くて、いつの間にか男の手が自分の身体に巻き付いている事にも気付かなかった。


 それに気づいた時には、女嫌いな癖にそつが無さ過ぎるとビクトリアはどこかしら違和感を覚えた。けれどビクトリアに迫ってくる男たちがいつも強引に貪ってくる事に嫌気がさしていたせいで、遠慮がちなその軽い舌の触れ合いをやめられなかった。

 気に入ったからと言って一晩中口づけだけしている訳にいかないのだわ。ビクトリアは少し残念な気持ちで顔を引き剥がすと、計画通り男の身体を堪能する事にした。

 男は息を乱しつつも、ビクトリアの出方を待っている様だった。最初の印象よりも素直な生徒の様だわ。


 「貴方はじっとしていてね?勝手に私に触れてはダメよ。女嫌いの貴方はまず触れられる事に慣れなくちゃ…。」

 得意な悪女のハリボテを繰り出して、ビクトリアは鼻歌でも飛び出す勢いで男のガウンを肌けさせた。

 …素敵だわ。随分と鍛えられている厚みのある胸元は、蝋燭の揺らぎに陰影を作って彫刻の様だった。ビクトリアはすっかり夢中になって自分の細い指先を首から胸、そして腹へと往復させた。

 女の身体は柔らかだけど、男の身体は硬さと張りがあって見かけより滑らかだわ。指南を忘れてビクトリアは夢中になった。今まで姉たちに吹き込まれていたあれこれが、目の前で教材となって横たわっているのだ。


 ツンとした胸のてっぺんは思いの外小さくて、愛撫するのはやりにくそうだ。やっぱり胸は女の方が弄りやすいのかもしれない。少し大きめに感じる自分の胸の尖りが薄いドレスから透けて見えて、ビクトリアは男と女のその違いを見比べた。

 その間中、ビクトリアは男の小さな粒を弄り倒していたので、男が小さく呻いて初めてビクトリアは顔を上げた。不味いわ。指南しないで観察に勤しんでしまった。


 ビクトリアは慌てて男の胸に唇を寄せてやわやわと口づけた。顔を寄せると先ほど感じた男の匂いがムッとする様でぼんやりしてしまう。ああ、最高に良い匂い。

 しばらく男の胸の印をつついて舌を尖らせて舐めまわしたけれど、男に咳払いと共に押しのけられてしまった。

「…それはもう良い。くすぐったいだけだ。子猫にでも舐められてるみたいだ。」


 ビクトリアは自分が子猫と一緒にされたのかと少し腹立たしい気持ちになりながら、次の段階に進む事にした。いよいよ男の生のアレにお目にかかれるのだわ。お姉様達の収集した卑猥な絵を教材に何度も説明されたせいで、頭の中に情報は入っている。

 どう考えても美しい見かけとは言えない代物だけれど、お姉様達曰くはとても愛しく感じる様になるって仰ってたわ。お姉様達じゃなければ眉唾物だと思ったでしょうけど、愛するお姉様達の言葉は信じたい。


 ビクトリアは少し緊張しながら男のガウンの紐を解いた。スルリと重なった生地が外れて、主張する例のアレが目に飛び込んで来た。

 裸だったの!?自分もほとんど変わらない姿だと言う事をすっかり忘れてしまっていたビクトリアは、いきなりそびえ立つ生身の男自身を目にして身体を強張らせた。

 これをどうするって言うの?


 一瞬頭の中が真っ白になってしまったけれど、ビクトリアは目をぱちくりして深呼吸した。うーん、想像以上に大きいわ。これが女の股の間に入るとか嘘でしょう?

 …そうなのね、この男は規格外のサイズのせいで女っ気が無いのだわ。

 それはちょっと可哀想かもしれない。でも取り敢えず挿入は回避してるから、私は命拾いしたってところね。ああ、良かった。

 ホッとしたせいで、ビクトリアは目の前の時々ヒクヒクと蠢く逸物に手を伸ばす勇気が出た。ここから白いものを出せば、取り敢えず指南の役目は果たせるわ。

 頑張らなくっちゃ。


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