【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです

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激闘 編

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 * * 九州地区 * *

「さて。待たせたな。」

「なに。実力を出し切れず、負けたと言われても腹立たしいのでな。

言い訳が立たぬようにしただけよ。」

「ふっ。感謝する。 が。手は抜かんぞ。」

「抜いた時点で、お主の負けよ。

それと、謝っておこう。 お主は、私と一緒の存在だ。

格下と見誤って悪かった。」

しばし流れる沈黙。

「ふふ。はははっ」

「ふははははっ!」

そして、二人揃って笑い声を挙げる。

「酒でも酌み交わしたい気持ちだな。」

ハデスが言う。

「そう言うな。 名残惜しくなるだろう。」

答えるディアブロ。

「始めるか。」

「始めようぞ。」

二人の言葉が重なって言い放たれると同時に。

双方とも、手の平に魔力を溜めていく。

右手に炎の魔力。左手に水の魔力。

そして、手の平を身体の前に持ってきて混ぜ合わせる。

今から双方が使う魔法は、奇しくも同じ魔法だった。

相反する魔力同士を混ぜ合わせて発動させる消滅魔法。永遠の終わりエンド・オブ・エターナル

この魔法を発動させるには、相反する魔法魔力を混ぜ合わせて開放する。

相反する魔法魔力が、ほんの少しでも片方に傾けば発動すらしない。

微細な魔力コントロールと、注ぎ込む魔力量で破壊力が決まる。

もの凄い魔力の波が2人を中心に集まっていく。

しかし、二人の表情は一切崩れない。

それ程までに、魔力をコントロールするのに集中しているのだ。

数舜? 数秒? 数十秒? いや、数分?

時間の流れが、遅いのか?早いのか?

その感覚すらも、今の二人には判っていないだろう。

まるで打ち合わせでもしていたかのように。

二人揃って、お互いを確認し合う。

「「永遠の終わりエンド・オブ・エターナル」」

二人の声が揃って発せられ。

お互いの魔法と魔法が2人の中央で衝突する。

衝突した魔法は、激しくお互いの魔力を侵食し合いながら縮小した。

と、思った瞬間には。 一気に膨張して周囲を巻き込み空間を削り取りながら、範囲内の全てを飲み込み消えた。

そう。消えた。

ハデスも、ディアブロの姿も無く。

勿論、次元の亀裂すら残ってはいなかった。



 * * 北海道地区 * *


ベルンハルトは、ベルファ四天王が一人。 サイの怪人。獣王ザックを相手に苦戦していた。

(くそったれっ! 魔法も剣も効きやがらねえ!)

そう。獣王ザックの皮膚は固く。 魔法で強化した魔法剣でも、純粋な物理攻撃も効果はなった。

ならば、魔法攻撃はどうかと試してみたが。 魔法耐性でも持っているのではないかと思えるほどに魔法攻撃も効かなった。

ちらりと、タキの方を見れば。

タキも同じく、海賊騎士クリスに苦戦をしていた。

『タキ! 何で光学兵器を使わねえ!?』

タキの戦闘を見ていたベルンハルトが、獣王ザックの攻撃を躱して距離を取って。

レーザーブレードも、レーザーガンも使わずに、コンバットナイフみたいな武器で戦っているタキに念話で話す

『うおっ!? なんだ!? これ!?』

「ぐあっ!」

突然、頭の中に直接聞こえた声に焦るタキ。

一瞬のスキができて、海賊騎士クリスから攻撃を受けてしまう。

『悪い!。 念話って魔法だ。 声に出さないで会話する手段だ。 思考を直接、思考に介入させて会話する魔法だと解釈してくれ』

『便利だなっ! クソッ!

俺の思考も! そっちに! 届くのかっ!』

連続で攻撃してくる、海賊騎士クリスの攻撃を必死に往なしながら答えるタキ。

『届いてるぞ! 何でレーザー系の武器を使ってないんだっ!』

お互いに、攻撃を躱しながら問答する。

『海賊騎士クリスの鎧は! 対レーザー装備なんだよっ! 純粋な物理攻撃しか効かないっ!』

『こっちのサイ野郎はっ!?』

『獣王ザックは! 耐物理攻撃が・・・あっ!』

『なんだ!? どうかしたのかっ?』

『選手交代だっ! 獣王ザックの相手は俺がするっ! ベルンハルトは海賊騎士クリスを頼むっ!』

そう言うと、地面を思いっきり蹴り宙に跳びあがりながら、腰からレーザーガンを抜き出して、獣王ザックに向かい撃ち放つ。

「獣王ザックは耐物理装甲なんだっ! 

魔法が何で通用しないかは不明だが!

俺のレーザー系は有効だっ!」

コンバットナイフを、背中の鞘代わりの装甲に仕舞いながら言う銀河刑事タキ。

「そう言う事は先に思い出せっ!」

タキの言葉に、思わず怒鳴って返すベルンハルト。

「悪いっ! いつも、一人で戦ってたから。 いつもの感覚で戦ってた!」

そう言いながら、獣王ザックに向かい再びレーザーガンで攻撃開始するタキ。

「って事だ。 まぁ、同じ騎士同士。 堂々と勝負しようぜっ!」

と言うと同時に、無詠唱魔法の石の弾丸ストーン・ブリットを海賊騎士クリス目掛けて放つ。

「ごうっ!!」

威力自体は無詠唱なので威力は格段に落ちているが。

それでも、5ミリくらいの鉄板なら貫通する威力だ。

海賊騎士クリスの鎧を貫通せずに、多少の傷だけで済んでいるのは、かなりの強度が在るのだろう。

「おらよっ!」

続けざまに接近して、クリスに剣での横薙ぎ。

「ぐっ!」

辛うじて、ベルンハルトの攻撃を受け止める海賊騎士クリス。

「どこが!正々堂々だっ!」

「ん? 俺は正々堂々なんて言っちゃないぜ? 堂々とは言ったけどなっ! 氷弾アイス・ブリット!」

今度は無詠唱だが、魔法名だけは発して発動させる。

氷弾アイス・ブリットは海賊騎士クリスの左腕に当たって、肘から下の部分を凍り付かせる。

「があっ!」

「だから、堂々と不意打ちした。 魔法も効くようだな。 安心したぜ。」

「貴様っ!」

「殺し合いしてんだ。 卑怯とか言うなよ。」

ニヤリと口角を上げて言うベルンハルト。

「上等っ! 宇宙海賊四天王が一人! 海賊騎士クリス!」

名乗りを上げながら、半身上段で構えるクリス。

「世界魔術師協会。五天が一人。 ベルンハルト。」

対してベルンハイトは、両手左下段に構える。

両者の間合いは3メートル。

ほぼ、どちらも一歩で、お互いの間合いに入る。

動いたのは同時。

ザシュ!

ギンッ!

ズンッ!

「見事・・・。」

海賊騎士クリスが切り下げた体制で呟く様に言う。

「あんたもな・・・。」

地に倒れて言うはベルンハイト。

首筋からは、血が流れ出ている。

「ぐふっ!」

ズンッ! と地に伏す海賊騎士クリス。

「よっこらっせっと。」

フラフラと立ち上がりながら首筋を抑えるベルンハルト。

治癒ヒール。」

回復魔法を唱えて、自分の首の傷を塞ぐ。

「もうちょっと深ければ逝ってたな。」

ベルンハルトの顎から首にかけて傷が。

魔法強化した制服の襟立が、ベルンハルトの首を守ってくれたのだ。

後少し深ければ、首の骨ごと切られていただろう。

倒れたのは、首が振られて脳震盪を起こしたため。

「タキはっと。」

タキの事を思い出して、タキの方を見れば。

「レーザーバズーカ! クラッシュ!」

何処から、どうやって手にしたのか不明だが。

肩にバズーカを担ぎ、獣王ザックに向けて放っていた。

ズゴーーーンッ!

土煙が舞い上がり、そこには獣王ザックの姿はなかった。

空中からは、獣王ザックの肉片と思われる破片が降り落ちていた。
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