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動乱 編
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「もう一つ。 この魔物達の動きが停まっているのは、貴方たちの仕業ですか?」
更に芳乃が尋ねる。
「止まっている訳では無いですね。 肉体的運動法則を果てしなく遅くしているだけです。
そうですねえ。 結界ですか? この空間は?
この空間内部全域に干渉させて、ある一定以上の条件を満たさない生物の動きが制限されるようにしてます。」
これに答えたのは男性ではなく。白髪眼鏡の女性が答える。
「さっきから、外との連絡が取れないのは貴方たちのせい?」
アリシアが聞く。
「ん? 多分、それは違いますね。 私達が現れたのは、ついさっきで。
私が干渉を入れたのは、こっちの世界に具現したのと同時です。
それ以前の、結界内の干渉の事柄は私の責任ではないです。」
アリシアの言葉に白髪眼鏡の女性が答える。
「最後に。 君たちは、敵か?味方か?」
芳乃が問う。
「随分と単直に聞くんだな。」
「正直。 かなり危ない状況なんでね。余裕が無い。」
「敵か味方かと問われれば。 敵ではない。 けど、味方でも無い。 としか答えようが無いかな。」
「それで十分です。」
正直、芳乃とて完全に信用したわけではない。
それでも。 下手に味方などと言う輩よりはマシだと思う程度だ。
「それで、俺たちは、どうしたら良い?」
男性が尋ねる。
「どうしたらと?」
男性の質問の意味が分からずに戸惑う芳乃。
「いやね。 このまま白髪眼鏡の女性が能力を解除すると。 なんやら他の次元の来客たちが元の速さで動き出すんだよねぇ。
まぁ、俺たちは、何とでもなんるんだけど。
君たちは、そうじゃないんだろう?」
ハッキリ言って、傍目から見ても芳乃達の状態はボロボロだ。
体力的にも精神的にも疲弊しているのが解かる。
「手を貸して貰えると?」
「あぁ~。悪い。 俺たちには制約が掛かっていてね。
その星の命在る生物から、直接命を奪う事は許されていないんだ。」
「それは、例え他の次元から来た異形のモノでも?」
「そうだ。」
「それじゃあ。 魔物達の動きを、このままの状態でいる事は可能ですか?」
ミスティーが問う。
「可能よ。 2~3日くらいで良いなら支障は出ないし。」
シノンが、さらっと怖い答えを返す。
「でも。 その必要は無さそうよ。 ほら。」
そう言って、金髪眼鏡の女性が指さす方に視線を向けると。
転移魔法で、異層結界内部に直接転移して来た魔王ハデスが。
魔王ハデスは、周囲を見渡すと。
「芳乃・・・。 この状況は?」
* * * * * * *
「うえぇ。 神人が出てきちゃったよ。」
「問題ない。 アイツで無ければ支障は無い。」
「強気だねぇ。」
「事実を言ったまでだ。 アイツに関連しているなら。
俺たちの存在に感応して、あの神人の能力が解放されて。
俺たちの居る、この次元空間まで来ているだろうさ。
ここに、来れないって事は、アイツが絡んでいないと言う事だ。」
「ふむふむ。 んじゃ、俺たちの計画は実行継続っと?」
「そうだ。」
「んじゃ、次の行動の準備っと。」
「頼むぞ。」
「あいよ。」
* * * * * * *
「そう言う事なら任せて置け。
済まぬが、もう少しだけ、この状態のままを頼めるか?」
芳乃から簡単に説明を受けて、シノンに向かって言うハデス。
「良いわよ。 お手並み拝見っと。」
シノンが返事を返す。
「次元空間閉鎖。 異層空間強化。」
ハデスの言葉で、次元空間が閉じられ、異層空間が強化される。
「冥王ハデスの名に置いて。 異界の異形の者共の命を昇華する。 鎮魂歌。」
ハデスの事と共に、異界の異形の者たちを黒い影が包み込み霧と為って消えて行く。
「ふう、さすがに魔力をゴッソリと持って行かれたな。」
少し疲弊したように言うハデス。
「ほらよ。」
男性がハデスの肩に手を置くと、一瞬でハデスの失った魔力が回復するのがわかる。
「なっ!魔力が、一瞬で戻った!?」
「確か、魔力を持つものは、魔力を使い過ぎると身体に変調が起こるのだろう?」
「助かる。 それで、お主は一体何者だ?」
「ん~。 説明すると長くなるんだが。」
「話が長くなるなら。 家に戻ってからにしないか?」
芳乃がハデスと男性の会話に割り込む。
「そうだな。」
「俺たちも、お邪魔して良いのか?」
「当然。ってか。 むしろ来てくれないと困る様な気がする。
精霊たちが騒がしくて仕方がない。 大精霊に会って貰えと騒いでる様子だし。」
「大精霊ね。 自称神様じゃないのが、その通りだと嬉しいのだが。」
「大丈夫じゃないか? あいつら自分の事を神だなんて思ってないし。
むしろ、星と共存とか言ってたし。」
「そうか。 それは会うのが楽しみだ。」
「七五三 芳乃。
漢数字の七五三と書いて七五三。 芳醇な香りの芳に。乃ちと書いて芳乃。」
そう言って、右手を差し出す芳乃。
「イクル。 元の地球の日本名では小鳥遊 生来。
小鳥が遊ぶと書いて、小鳥遊。 生きるの生に、未来の来で、生来だ。」
そう言って、握手を交わす二人。
更に芳乃が尋ねる。
「止まっている訳では無いですね。 肉体的運動法則を果てしなく遅くしているだけです。
そうですねえ。 結界ですか? この空間は?
この空間内部全域に干渉させて、ある一定以上の条件を満たさない生物の動きが制限されるようにしてます。」
これに答えたのは男性ではなく。白髪眼鏡の女性が答える。
「さっきから、外との連絡が取れないのは貴方たちのせい?」
アリシアが聞く。
「ん? 多分、それは違いますね。 私達が現れたのは、ついさっきで。
私が干渉を入れたのは、こっちの世界に具現したのと同時です。
それ以前の、結界内の干渉の事柄は私の責任ではないです。」
アリシアの言葉に白髪眼鏡の女性が答える。
「最後に。 君たちは、敵か?味方か?」
芳乃が問う。
「随分と単直に聞くんだな。」
「正直。 かなり危ない状況なんでね。余裕が無い。」
「敵か味方かと問われれば。 敵ではない。 けど、味方でも無い。 としか答えようが無いかな。」
「それで十分です。」
正直、芳乃とて完全に信用したわけではない。
それでも。 下手に味方などと言う輩よりはマシだと思う程度だ。
「それで、俺たちは、どうしたら良い?」
男性が尋ねる。
「どうしたらと?」
男性の質問の意味が分からずに戸惑う芳乃。
「いやね。 このまま白髪眼鏡の女性が能力を解除すると。 なんやら他の次元の来客たちが元の速さで動き出すんだよねぇ。
まぁ、俺たちは、何とでもなんるんだけど。
君たちは、そうじゃないんだろう?」
ハッキリ言って、傍目から見ても芳乃達の状態はボロボロだ。
体力的にも精神的にも疲弊しているのが解かる。
「手を貸して貰えると?」
「あぁ~。悪い。 俺たちには制約が掛かっていてね。
その星の命在る生物から、直接命を奪う事は許されていないんだ。」
「それは、例え他の次元から来た異形のモノでも?」
「そうだ。」
「それじゃあ。 魔物達の動きを、このままの状態でいる事は可能ですか?」
ミスティーが問う。
「可能よ。 2~3日くらいで良いなら支障は出ないし。」
シノンが、さらっと怖い答えを返す。
「でも。 その必要は無さそうよ。 ほら。」
そう言って、金髪眼鏡の女性が指さす方に視線を向けると。
転移魔法で、異層結界内部に直接転移して来た魔王ハデスが。
魔王ハデスは、周囲を見渡すと。
「芳乃・・・。 この状況は?」
* * * * * * *
「うえぇ。 神人が出てきちゃったよ。」
「問題ない。 アイツで無ければ支障は無い。」
「強気だねぇ。」
「事実を言ったまでだ。 アイツに関連しているなら。
俺たちの存在に感応して、あの神人の能力が解放されて。
俺たちの居る、この次元空間まで来ているだろうさ。
ここに、来れないって事は、アイツが絡んでいないと言う事だ。」
「ふむふむ。 んじゃ、俺たちの計画は実行継続っと?」
「そうだ。」
「んじゃ、次の行動の準備っと。」
「頼むぞ。」
「あいよ。」
* * * * * * *
「そう言う事なら任せて置け。
済まぬが、もう少しだけ、この状態のままを頼めるか?」
芳乃から簡単に説明を受けて、シノンに向かって言うハデス。
「良いわよ。 お手並み拝見っと。」
シノンが返事を返す。
「次元空間閉鎖。 異層空間強化。」
ハデスの言葉で、次元空間が閉じられ、異層空間が強化される。
「冥王ハデスの名に置いて。 異界の異形の者共の命を昇華する。 鎮魂歌。」
ハデスの事と共に、異界の異形の者たちを黒い影が包み込み霧と為って消えて行く。
「ふう、さすがに魔力をゴッソリと持って行かれたな。」
少し疲弊したように言うハデス。
「ほらよ。」
男性がハデスの肩に手を置くと、一瞬でハデスの失った魔力が回復するのがわかる。
「なっ!魔力が、一瞬で戻った!?」
「確か、魔力を持つものは、魔力を使い過ぎると身体に変調が起こるのだろう?」
「助かる。 それで、お主は一体何者だ?」
「ん~。 説明すると長くなるんだが。」
「話が長くなるなら。 家に戻ってからにしないか?」
芳乃がハデスと男性の会話に割り込む。
「そうだな。」
「俺たちも、お邪魔して良いのか?」
「当然。ってか。 むしろ来てくれないと困る様な気がする。
精霊たちが騒がしくて仕方がない。 大精霊に会って貰えと騒いでる様子だし。」
「大精霊ね。 自称神様じゃないのが、その通りだと嬉しいのだが。」
「大丈夫じゃないか? あいつら自分の事を神だなんて思ってないし。
むしろ、星と共存とか言ってたし。」
「そうか。 それは会うのが楽しみだ。」
「七五三 芳乃。
漢数字の七五三と書いて七五三。 芳醇な香りの芳に。乃ちと書いて芳乃。」
そう言って、右手を差し出す芳乃。
「イクル。 元の地球の日本名では小鳥遊 生来。
小鳥が遊ぶと書いて、小鳥遊。 生きるの生に、未来の来で、生来だ。」
そう言って、握手を交わす二人。
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