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動乱 編

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「当たり前だろうが。 我ら精霊は星と共に共存する者。

 星との共存で会って、人との共存はしておらん。

なれば。 人としての代表者は、この場ではお前のみ。

 お前が、こ奴らと話をするのは当然であろう。」

「拒否権は?」

「しても良いわよ。 その後に、どうなっても知らないけどね。」

ジンが意地悪い笑みを浮かべて言う。

「はぁあああ・・・。」

深いため息と共にうつむ芳乃よしの

魔王ハデスに視線を戻して前に出る。

芳乃よしのが魔王ハデスの方に歩き出した瞬間。後ろの虎頭、下半身蛇男、天使の女性が芳乃よしのに警戒を向ける。

「良い。 武器を収めよ。」

魔王ハデスの言葉に、3人が懸念の視線を向ける。

「武器を収めよと言っておる。 我らに危害を加える気なら。 とうに全滅しておる。

 我らは、せいぜい1人道連れに出来ればいいのに対してな。」

魔王ハデスの言葉に従い。 3人が手にした武器を消す。

文字通りに、手に持っていた武器が消えたのだ。

「魔王ハデスさん。 初めまして。 七五三しのしめ 芳乃よしのと言います。」

魔王ハデスに向かい、軽く頭をさげる芳乃よしの

「冥界の魔王ハデスだ。」

じっと芳乃よしのを見据えたまま言う。

「それでは。 まずは、幾つかお聞きしたい事が。

 もし、ハデスさん達が、こちらの世界で暮らす気なら必要な事なので。

できれば嘘偽りなく、お答えしていただきたいのですが。」

「判った。 冥界の魔王ハデスの名に置いて誓おう。」

「それでは、最初に。

 ハデスさんは、こちらの世界ほしで暮らすとして。 この世界ほしを御自分の支配下に置こうとする気は?」

「随分と、直球で来るな。」

クツクツと笑いながら言うハデス。

「腹芸は得意じゃないので。」

苦笑で返す芳乃よしの

「美徳では在るが、良策では無いな。 少しは覚えると良い。

 そして、質問への返答だが。 俺たちには支配の意思は無い。」

「そうですね。 僕も、そう思うんですけど。 どうにも性分でして。

そして、その返答は、貴方たちの御連れの方にも適応されますか?」

「うむ。 部下の者たちにも誓わせよう。」

「それでは次に。

こちらの世界ほしでは、気に入らないからと言って。

他人に危害を加える事は、この星の多くの国では法的に禁じられています。

 勿論、殺人などは重罪に為ります。

魔王ハデスさんの世界ほしでは、どうだったかは判りませんが。

 この星では、無闇に他人を傷つけないと約束できますでしょうか?」

「正直。俺にも感情と言う物が在るのでな。

 感情に任せて、他人を害すことも在るやもしれん。

が。 普通に接してくれている分には、無闇に傷付ける様な事はしないと約束しよう。」

「十分です。 しないと断言する人よりは、よほど信用できます。」

「ククッ。 十分に腹芸をしておるでは無いか。」

「得意じゃないってだけで。 しないとは言っていませんので。」

にこやかに言葉を返す芳乃よしの

「それじゃ。 細かい事は、僕の家で話し合うとして。」

そう言って。 今でも、何かを叫んでいる勇者の方に視線を向ける。

「シノシメ。 あ奴は手強いぞ。」

芳乃よしのに向かって言う魔王ハデス。

「でしょうねぇ・・・。 自分の星の平和のために。 他の次元を巻き込んでも良いと考える様な人ですし。

 あぁ、あと。 僕の事は芳乃よしのと呼んでくださって構いませんよ。」

「そうさせて貰おう。 どうにも、シノシメと言うのは呼びにくくてな。」

苦笑で返す魔王ハデス。
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