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動乱 編
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ルシファーを連れて家に戻って来た。
苺花と十花の視線が突き刺さるが、無理やり納得してもらい。
リビングで、皆でテーブルを囲んでの説明会となった。
水の大精霊、土の大精霊、苺花、十花、レイ、俺、中島、ルシファー。
「それで、ルシファー。 君が、異なる次元の世界から来たのは知ってるけど。
君は、元の世界に還る気は無いのかな?」
水の大精霊が尋ねる。
「正確に言うと。 還る気が無いではなくて。 還る世界が無くなったと言った方が正しいですね。」
「無くなった?」
「私の世界は、神によって滅ぼされましたので。」
「あぁ~、成程。」
「ちょっと待って! 神によって滅ぼされたって?」
芳乃が口を挟む。
「芳乃君。 君たちが想像する神と言うのは、どう言った存在だと思っている?」
土の大精霊が尋ねる。
「神話や御伽でしか聞いた事は無いけど。 世界の平和?秩序?的な物を護る存在?」
「まぁ、地球での伝承や口伝では、そう言った扱いになっているのものが多いね。
でもね、芳乃君。 元々、我々には善性も悪性も無いんだよ。」
「え?」
「僕たち精神世界の存在は、基本的に善も悪も無く。 自己の存在意義の為に存在するんだ。」
土の大精霊の言葉に唖然とする芳乃。
「それじゃぁ、聞くけど。 善と悪って何が違うの?」
愕く芳乃に水の大精霊が尋ねる。
「えっと。 人を殺したり、物を盗んだり、相手を騙したり?」
「それって、誰が決めたの?」
「それは、法律で決められた事で。」
「その法律を作ったのは?」
「そりゃ・・・。」
政治家たちが。 と、言いかけて気が付いてしまう。
そう、法律を作ったのは、市民が選んだ政治家たちで。
つまりは、人が人を縛り、人を裁く法律と言う物を作った。
「でも・・・大精霊たちは・・・。 この地球を守ってくれているんじゃ?」
表情を引き攣らせながらも、土の大精霊に尋ね返す芳乃
愕く芳乃に対して、苺花と十花は冷静だった。
その芳乃を見て、土の大精霊が言葉を続ける。
「それも、微妙に違うかな。
僕たちは、この星が気に入ってるから、星に住まう人たちと共存している。
と、言った方が良いかな?」
「共存? 精霊が?」
「そう。 気に入ってるから、気紛れで守っている。 気に入らなくなったら、さっさと他の次元軸にある他の世界に移り住む。」
そう言った、土の大精霊の表情は。 悪意でも善意でも無い穏やかな表情だった。
「神。邪神。魔神。精霊。悪魔。
いずれも、人が勝手に善だの悪だのと勝手に作った呼称に過ぎません。
その本質は善でも悪でも無く。
人によって、自分に都合が良いなら神と為り。 自分に都合が悪いと悪魔に為る。 それが真実です。」
ルシファーが言い聞かせるように言う。
「それじゃあ、ルシファーの世界を滅ぼした神って?」
「人が勝手に名前を付けて、神と呼んで崇めた者です。
その神と呼ばれた《モノ》が人の裏切りに合い。 自分を裏切った人類を滅ぼすべく、私たち天使を使役して人類を滅ぼうとした。
しかし、私は数人の人間に心を惹かれました。
その者を護りたいがために神と呼ばれた者を裏切り堕天した。
同じく人の心に触れ、人を守ると志す天使たちと人類を守るべく戦ったのですが。
神側の軍勢により、全ての種族が根絶やしにされました。」
言い終えて、肩を落として大きな溜め息を吐くルシファー。
「それで、ルシファー。 この先、どうするつもり?」
肩を落とすルシファーに、水の大精霊が尋ねる。
「そうですね。 還る場所も無いのですし。」
そう言って、視線をレイに向ける。
ルシファーの視線に、レイが戸惑った表情を見せる。
「迷惑でなければ、此処に厄介させていただきませんか?。」
「「「えっ!?」」」
芳乃、苺花、十花が揃って驚きの声を上げる。
「そこに、人の形をした精神世界の者も居ますし。
私が厄介に為っても然程変わりは無いのでは?」
レイを見て言うルシファー。
「あ。やっぱり解かります?」
「ええ。見た所。 貴方は、芳乃さんとの繋がりを持っているようですし。
私が居れば、繋がりが薄れた時でも、貴方の存在を私が繋ぐ事が出来ますよ。」
「繋がりが薄れるですか?」
「そうです。 芳乃さんが離れた所に居た時に実体を無くせば。 貴方の存在は霧散するのでしょう?
私と規約すれば、貴方が実体を捨てた時でも、貴方の存在は消える事は無く保つ事が出来ます。」
「あら! 本当ですか!?」
「はい。 で、どうします芳乃さん?」
意地の悪い顔をして尋ねてくるルシファー。
レイが、芳乃と性行為して実体を保てるのは約七日間。
実体化している時は、芳乃とどれだけ離れても問題は無いのだが。
離れている時に、実体化を解除すると、レイの思念は霧散して消えて無くなる。
その為に、芳乃とレイは、出来るだけ近くに居るようにはしている。
が。 今回の様に、離れて行動しないといけなくなる場合も想定すると。
ルシファーを同居させる事で回避できる。
苺花と十花の方に視線を向ける。
「アタシは構わないよ。」
「私も異存ありません。」
最後に、レイの方を見ると。 大きく頷いて見せた。
「宜しくな。 ルシファー。」
そう言って、芳乃はルシファーに近づいて右手を差し出す。
「こちらこそ。 宜しく。」
ルシファーも右手を出して、芳乃の右手と握手を交わす。
苺花と十花の視線が突き刺さるが、無理やり納得してもらい。
リビングで、皆でテーブルを囲んでの説明会となった。
水の大精霊、土の大精霊、苺花、十花、レイ、俺、中島、ルシファー。
「それで、ルシファー。 君が、異なる次元の世界から来たのは知ってるけど。
君は、元の世界に還る気は無いのかな?」
水の大精霊が尋ねる。
「正確に言うと。 還る気が無いではなくて。 還る世界が無くなったと言った方が正しいですね。」
「無くなった?」
「私の世界は、神によって滅ぼされましたので。」
「あぁ~、成程。」
「ちょっと待って! 神によって滅ぼされたって?」
芳乃が口を挟む。
「芳乃君。 君たちが想像する神と言うのは、どう言った存在だと思っている?」
土の大精霊が尋ねる。
「神話や御伽でしか聞いた事は無いけど。 世界の平和?秩序?的な物を護る存在?」
「まぁ、地球での伝承や口伝では、そう言った扱いになっているのものが多いね。
でもね、芳乃君。 元々、我々には善性も悪性も無いんだよ。」
「え?」
「僕たち精神世界の存在は、基本的に善も悪も無く。 自己の存在意義の為に存在するんだ。」
土の大精霊の言葉に唖然とする芳乃。
「それじゃぁ、聞くけど。 善と悪って何が違うの?」
愕く芳乃に水の大精霊が尋ねる。
「えっと。 人を殺したり、物を盗んだり、相手を騙したり?」
「それって、誰が決めたの?」
「それは、法律で決められた事で。」
「その法律を作ったのは?」
「そりゃ・・・。」
政治家たちが。 と、言いかけて気が付いてしまう。
そう、法律を作ったのは、市民が選んだ政治家たちで。
つまりは、人が人を縛り、人を裁く法律と言う物を作った。
「でも・・・大精霊たちは・・・。 この地球を守ってくれているんじゃ?」
表情を引き攣らせながらも、土の大精霊に尋ね返す芳乃
愕く芳乃に対して、苺花と十花は冷静だった。
その芳乃を見て、土の大精霊が言葉を続ける。
「それも、微妙に違うかな。
僕たちは、この星が気に入ってるから、星に住まう人たちと共存している。
と、言った方が良いかな?」
「共存? 精霊が?」
「そう。 気に入ってるから、気紛れで守っている。 気に入らなくなったら、さっさと他の次元軸にある他の世界に移り住む。」
そう言った、土の大精霊の表情は。 悪意でも善意でも無い穏やかな表情だった。
「神。邪神。魔神。精霊。悪魔。
いずれも、人が勝手に善だの悪だのと勝手に作った呼称に過ぎません。
その本質は善でも悪でも無く。
人によって、自分に都合が良いなら神と為り。 自分に都合が悪いと悪魔に為る。 それが真実です。」
ルシファーが言い聞かせるように言う。
「それじゃあ、ルシファーの世界を滅ぼした神って?」
「人が勝手に名前を付けて、神と呼んで崇めた者です。
その神と呼ばれた《モノ》が人の裏切りに合い。 自分を裏切った人類を滅ぼすべく、私たち天使を使役して人類を滅ぼうとした。
しかし、私は数人の人間に心を惹かれました。
その者を護りたいがために神と呼ばれた者を裏切り堕天した。
同じく人の心に触れ、人を守ると志す天使たちと人類を守るべく戦ったのですが。
神側の軍勢により、全ての種族が根絶やしにされました。」
言い終えて、肩を落として大きな溜め息を吐くルシファー。
「それで、ルシファー。 この先、どうするつもり?」
肩を落とすルシファーに、水の大精霊が尋ねる。
「そうですね。 還る場所も無いのですし。」
そう言って、視線をレイに向ける。
ルシファーの視線に、レイが戸惑った表情を見せる。
「迷惑でなければ、此処に厄介させていただきませんか?。」
「「「えっ!?」」」
芳乃、苺花、十花が揃って驚きの声を上げる。
「そこに、人の形をした精神世界の者も居ますし。
私が厄介に為っても然程変わりは無いのでは?」
レイを見て言うルシファー。
「あ。やっぱり解かります?」
「ええ。見た所。 貴方は、芳乃さんとの繋がりを持っているようですし。
私が居れば、繋がりが薄れた時でも、貴方の存在を私が繋ぐ事が出来ますよ。」
「繋がりが薄れるですか?」
「そうです。 芳乃さんが離れた所に居た時に実体を無くせば。 貴方の存在は霧散するのでしょう?
私と規約すれば、貴方が実体を捨てた時でも、貴方の存在は消える事は無く保つ事が出来ます。」
「あら! 本当ですか!?」
「はい。 で、どうします芳乃さん?」
意地の悪い顔をして尋ねてくるルシファー。
レイが、芳乃と性行為して実体を保てるのは約七日間。
実体化している時は、芳乃とどれだけ離れても問題は無いのだが。
離れている時に、実体化を解除すると、レイの思念は霧散して消えて無くなる。
その為に、芳乃とレイは、出来るだけ近くに居るようにはしている。
が。 今回の様に、離れて行動しないといけなくなる場合も想定すると。
ルシファーを同居させる事で回避できる。
苺花と十花の方に視線を向ける。
「アタシは構わないよ。」
「私も異存ありません。」
最後に、レイの方を見ると。 大きく頷いて見せた。
「宜しくな。 ルシファー。」
そう言って、芳乃はルシファーに近づいて右手を差し出す。
「こちらこそ。 宜しく。」
ルシファーも右手を出して、芳乃の右手と握手を交わす。
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