上 下
22 / 67
剣姫 編

20

しおりを挟む
「おおおおぉぉぉぉ! っと!」

結構な高さまで来て、漸く制動を掛ける。

俺の声に、飛竜ワイバーンたちが、こっちに向かって来る。

風の精霊シルフ!」

風の精霊シルフに、俺の飛行イメージを伝える。

左右から襲い来る飛竜ワイバーンを上下に躱して、正面からの飛竜ワイバーンを下降して躱す。

追い打ちで、上から襲ってきた飛竜ワイバーンを左への鋭角ターンで躱す。

「おほっ!」

自分でイメージしておいて何だけど。

かなり楽しい。

普通なら感じる、風圧や加速圧なども特に感じない。

たぶん精霊たちが、俺の身体に負担がかからないようにしてくれているのだろう。

何度か、飛竜ワイバーンたちの攻撃を躱している内に飛行の仕方に慣れてくる。

飛竜ワイバーンの数は全部で5匹。

「よっしゃ。 反撃開始としますか。」

独り言ちて、飛竜ワイバーンの方に向きを変えて飛ぶ。

火の精霊サラマンダー。」

右手に、火の剣が現れる。

正面から、飛竜ワイバーンが口を開けて迫って来る。

「GAYAAA!」

飛竜ワイバーンの目前で、鋭角的に上昇してからの直下降。

飛竜ワイバーンの背中に火の剣が刺さると同時に、尾の方に向かって引き裂く。

「GURAAAAA。」

地面に向かって飛竜ワイバーンが落ちて行く。

「1匹。」


飛竜ワイバーン2匹が後ろから追いかけてくる。

両手に火の剣を出し、空中での急停止からの振り向きさまに、自分の身体を回転させながら飛竜ワイバーンを切り付ける。

「「GYAAAAA!!」」

2匹が地上に落ちて行く。

「3匹。」

4匹目が、正面から口を開けて襲ってくる。

擦れ違い様に、火の剣で飛竜ワイバーンの首を刎ね飛ばす。

「4匹目。」

その瞬間、上空から飛竜ワイバーンが襲い掛かって来る。

地上に向かって直下降する。

飛竜ワイバーンが真後ろに来る。

少しだけ角度を変え急停止で動きを止めながら、頭上に火の剣を掲げる様に突き出す。

俺の頭上を飛竜ワイバーンが通過して行く。

頭上に掲げた火の剣が飛竜ワイバーンの下腹部を切り裂く。

「GYAA。」

「終了。っと。」

そして、地上を見下ろす。

今更ながら、この高度で戦っていたのかと自分で感心する。

元から高い所は好きだが。

「もう。なんか色々と麻痺してんな・・・。」


 * * * * * * *


飛び出すと同時に、苺花まいかは符を2枚取り出す。

炎術えんじゅつ範囲50。解。」

苺花まいかの言葉に合わせて符が消えて、豚人オークたちと大鬼オーガたちを高さ5メートル範囲50メートルの炎が包み込む。

苺花まいかの符術攻撃で、豚人オークで生き残りは2匹。

大鬼オーガは、さすがにダメージを受けてはいるが、7体全部が生き残っている。

水色の刀身を構えて、苺花まいかが残りの豚人オークを擦れ違いざまに首と胴体を薙ぎ払う。

「GEIGYA」

「GYAGYA。」

2体の豚人オークが地面に倒れる。

「GRUAAA!」

「GOAAA!」

大鬼オーガ2匹が、苺花まいかに攻撃を仕掛ける。

1匹は横薙ぎに、手にした棍棒を振るい。

もう1匹は、上から叩きつける様に棍棒を振るう。

「ふっ!」

苺花まいかは短く息を吐き跳躍する。

身体強化と剛力の術式の効果も相まって、苺花まいかの身体は10メートルくらいは跳んでいた。

飛翔斬ひしょうざん!」

苺花まいかが水色の刀身を振るうと、目に見えない斬撃が大鬼オーガの身体を断ち切る。

飛翔連斬ひしょう れんざん!」

跳躍の到達点に達して、自由落下に入る苺花まいかだが。

落下途中でもクルリと身体を回転させながら技を放つ。

「「GYAAAAA!!」」

見えない斬撃は、大鬼オーガ2体の胴体を上下に分かつ。

タン。っと地面に着したかと思うと、苺花まいかは勢いを殺さない様に、3体の大鬼オーガの元に駆け寄る。

五月雨さみだれ。」

1匹の大鬼オーガが、苺花まいかと相対した瞬間に小間切れの肉片と化す。

荒御雷あらみかづち。」

2匹の大鬼オーガに、天から雷が降り注いで命を奪う。

残身ざんしん。」

敵を倒して、静かに佇む苺花まいか

頭上を見れば、芳乃よしのの方も最後の飛竜ワイバーンを片付け終わっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

~まるまる 町ごと ほのぼの 異世界生活~

クラゲ散歩
ファンタジー
よく 1人か2人で 異世界に召喚や転生者とか 本やゲームにあるけど、実際どうなのよ・・・ それに 町ごとってあり? みんな仲良く 町ごと クリーン国に転移してきた話。 夢の中 白猫?の人物も出てきます。 。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

処理中です...