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敵
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既に、アキトの身体は限界に来ようとしていた。
魔王ゼアルと打ち合いだして15分。
アキトの身体の怪我は、ソニアの回復魔法で回復はされているが。
失った体力と気力。 それに、流れ出た血液などは回復されない。
「くっっそ!」
「どうした勇者。 限界か?」
詰まらなそうな表情で言う、魔王ゼアル。
「詰まらぬ。 終わりにするか。」
そう言って、アキトを大きく弾く魔王ゼアル。
弾かれた勢いで、アキトの態勢が大きく崩れる。
「終わりだ。」
アキトに向かって、魔王ゼアルの持つ剣が振り下ろされた。
ギンッ! っと言う音と共に.
魔王ゼアルの剣を受け止めた、赤い色の刀身の刀。
「良く頑張ったな。アキト。」
赤い刀身の刀を持つ男性がアキトに言う。
一瞬、誰だか判らずに、アキトは迷うが。
すぐさま服装で、目の前の男性が誰かを理解した
「イクルさん?」
「おう。」
短く返事を返す生来。
生来は、魔王ゼアルの剣を受け止めた態勢で、魔王ゼアルの剣を大きく弾く。
生来の膂力によって、大きく後方に弾かれた魔王ゼアル。
「魔王ゼアルさん。 ちょ~っと、待っててくれない。
存分に楽しませてやるからさぁ~。」
生来の言葉に、嬉しそうに口角を上げて、剣を下に降ろす魔王ゼアル。
「えっ?何で?」
服装は確かに生来と同じだ。
間違いようもない。
でも、目の前の男性は、生来にしては若すぎる。
どう見ても、20代前半くらいの年だ。
「ん~。まぁ、ちょっと色々あってな。 若返った。」
苦笑しながら、アキトに伝えるイクル。
生来を見る、アキトの眼に涙が浮かぶ。
「イクルっ!」
アレスが。
「イクルさん!」
スタンが。
「イクル!」
イライザが。
「バカっ! 生きてんなら、さっさと返事をしなさいよねっ!」
ソニアが。
「イクル・・・。」
セレナが。
「わりぃな。 さっきまで死んでたんだ。 返事が返せる訳が無いだろう!」
律義に、ソニアに突っ込み返す辺り、イクルらしいと言えばらしい。
「立てるか?」
「はいっ!」
涙を拭きながら、イクルの差し出された手を取り立ち上がるアキト。
「アキト。良く聞け。」
「はい。」
「俺が、魔王から、俺の敵を引きずり出すから。 アキト。お前は、皆と魔王ゼアルの浄化を頼む。」
「えっ?」
「詳しくは、全てが終わってから話す。
俺は、俺の敵を降す為に生まれ変わった。」
「生まれ変わった?」
「そうだ。 だから、お前は、魔王ゼアルを浄化しろ。 やれるな?」
「やりますっ!」
「良い返事だ。」
そう言って、アキトの頭をポンポンと撫でるイクル。
「待たせたな。 魔王ゼアル。 いや、他次元の神さん。」
「我と、同格になったのか?」
「そうだよぉ。 お前を降す為に、生まれ変わってやったんだ。」
「ふふ。ははははははははっ!
存分に。 我を楽しませろぉぉぉぉぉっ!」
瞬き1つの間に、魔王ゼアルが、イクルとの間合いに詰め込んできた。
明らかに、アキトを相手にしてた時との動きとは違った。
だが、イクルは動じる事も無く。
魔王ゼアルの剣戟を受け止めた。
「おう。 存分に相手してやるから! さっさと、その身体からでていきやがれえぇぇぇ!」
魔王ゼアルの剣戟を受け止めた直後に。
生来の持つ、赤い刀が、魔王ゼアルの剣を大きく弾き上げる。
剣を弾かれた魔王ゼアルの胴体はガラ空き状態。
神速の動きで、イクルが両手に刀を持ち構えて、魔王ゼアルの胴体を薙ぎ払った。
その瞬間。
魔王ゼアルの身体から、黒い何かが弾き出された。
生来に薙ぎ払われた筈の、魔王ゼアルの身体には傷1つ着いていない。
「がっ!! あああああっ!!!」
一瞬、大声で吠える。 魔王ゼアル。
その目は、アキトを捉えていた。
「こっからが、本番だ。」
イクルが黒塊りに向かって言う。
次の瞬間。 黒い何かが、人の姿に変わる。
魔王ゼアルの姿に。
但し。 瞳と髪の色だけが違う。
他次元の神の瞳と髪の色は。 紫色。
「ようやく、馴染みだした身体だったのだが・・・。
まぁ、良い。 さぁ、存分に楽しもうでわ無いかっ!」
「アキトっ! 魔王の浄化は任せるぞっ!」
「はいっ! みんなっ! やるよっ!」
「おうっ!」
アレス。
「結界を張りなおしますっ!」
スタン。
「ほら。 さっさとやりなさい。」
セリア。
「美味しいとこだけ。 持っていっちゃいなさい。」
イライザ。
「アキトっ!」
ソニア。
* * * 視点:生来 VS 他次元の神 * * *
「ふんっ!」
何の前触れも無く、他次元の神の姿が消えた。
「見えてるぞっ。」
他次元の神の攻撃を、生来が刀で難無く受け止める。
「ふふふ。 ははははははははっ!
これだっ! これなのだよっ!」
「いちいち、うっせえっ!」
他次元の神の剣を弾き薙ぎ払う。
薙ぎ払われた生来の剣を大きく後方に飛んで躱す。
「我が名はゲルド! 模造の神よっ! 我が名を刻むが良いっ!」
「お前の墓に刻んでやるよっ!」
両者が同時に動き。 一瞬で、お互いの間合いに入り込む。
キキキキキキキキキキキキッ!
刃と刃が激しくぶつかり合う音だけが響く。
お互いに、1歩も動かず。
足を床に固定して、根が生えたように踏ん張る力を、上半身と腕の運動エネルギーに変えて剣と剣で切り結ぶ。
神と、神を降す者の闘いに置いて。
魔法と科学の力と言うものは、お互いに効果が無い。
同格同士の、神たちの戦いに置いて必要なのは【神力】。
自身の身に神力を纏い。
その身と武器に、神力を乗せて相手を降す脳筋同士の戦いとも言える。
これが、お互いに成長しているのなら。
お互いが持つ、特殊な能力を織り交ぜ、飛躍的に高度な戦い方に為るのだが。
あいにく、生来も他次元の神も、生まれて間もない存在値しか宿していない。
しかし 徐々にだが、生来の方が押され始めている。
(さすがに、結界を張りながらじゃ分が悪いか。)
そう。 生来の後ろには、魔王ゼアルを浄化しようとする。
アキト達が居る。
その為に、アキト達に被害が及ばぬよう、生来の後ろのアキト達を護る為に。
自身とゲルドを閉じ込める形で、球形状に結界を張り巡らせている。
その為に、自身の持つ全ての神力を戦闘に向けられないでいる。
「どうしたっ! 後ろの結界を解けばいいだろう! 解けっ!
解いて全力で我と戦えっ!
我を楽しませろっ! 模造の神っ!」
《とは言え。 このままじゃ、ジリ貧だな・・・。 出し惜しみしてる場合じゃないな。》
魔王ゼアルと打ち合いだして15分。
アキトの身体の怪我は、ソニアの回復魔法で回復はされているが。
失った体力と気力。 それに、流れ出た血液などは回復されない。
「くっっそ!」
「どうした勇者。 限界か?」
詰まらなそうな表情で言う、魔王ゼアル。
「詰まらぬ。 終わりにするか。」
そう言って、アキトを大きく弾く魔王ゼアル。
弾かれた勢いで、アキトの態勢が大きく崩れる。
「終わりだ。」
アキトに向かって、魔王ゼアルの持つ剣が振り下ろされた。
ギンッ! っと言う音と共に.
魔王ゼアルの剣を受け止めた、赤い色の刀身の刀。
「良く頑張ったな。アキト。」
赤い刀身の刀を持つ男性がアキトに言う。
一瞬、誰だか判らずに、アキトは迷うが。
すぐさま服装で、目の前の男性が誰かを理解した
「イクルさん?」
「おう。」
短く返事を返す生来。
生来は、魔王ゼアルの剣を受け止めた態勢で、魔王ゼアルの剣を大きく弾く。
生来の膂力によって、大きく後方に弾かれた魔王ゼアル。
「魔王ゼアルさん。 ちょ~っと、待っててくれない。
存分に楽しませてやるからさぁ~。」
生来の言葉に、嬉しそうに口角を上げて、剣を下に降ろす魔王ゼアル。
「えっ?何で?」
服装は確かに生来と同じだ。
間違いようもない。
でも、目の前の男性は、生来にしては若すぎる。
どう見ても、20代前半くらいの年だ。
「ん~。まぁ、ちょっと色々あってな。 若返った。」
苦笑しながら、アキトに伝えるイクル。
生来を見る、アキトの眼に涙が浮かぶ。
「イクルっ!」
アレスが。
「イクルさん!」
スタンが。
「イクル!」
イライザが。
「バカっ! 生きてんなら、さっさと返事をしなさいよねっ!」
ソニアが。
「イクル・・・。」
セレナが。
「わりぃな。 さっきまで死んでたんだ。 返事が返せる訳が無いだろう!」
律義に、ソニアに突っ込み返す辺り、イクルらしいと言えばらしい。
「立てるか?」
「はいっ!」
涙を拭きながら、イクルの差し出された手を取り立ち上がるアキト。
「アキト。良く聞け。」
「はい。」
「俺が、魔王から、俺の敵を引きずり出すから。 アキト。お前は、皆と魔王ゼアルの浄化を頼む。」
「えっ?」
「詳しくは、全てが終わってから話す。
俺は、俺の敵を降す為に生まれ変わった。」
「生まれ変わった?」
「そうだ。 だから、お前は、魔王ゼアルを浄化しろ。 やれるな?」
「やりますっ!」
「良い返事だ。」
そう言って、アキトの頭をポンポンと撫でるイクル。
「待たせたな。 魔王ゼアル。 いや、他次元の神さん。」
「我と、同格になったのか?」
「そうだよぉ。 お前を降す為に、生まれ変わってやったんだ。」
「ふふ。ははははははははっ!
存分に。 我を楽しませろぉぉぉぉぉっ!」
瞬き1つの間に、魔王ゼアルが、イクルとの間合いに詰め込んできた。
明らかに、アキトを相手にしてた時との動きとは違った。
だが、イクルは動じる事も無く。
魔王ゼアルの剣戟を受け止めた。
「おう。 存分に相手してやるから! さっさと、その身体からでていきやがれえぇぇぇ!」
魔王ゼアルの剣戟を受け止めた直後に。
生来の持つ、赤い刀が、魔王ゼアルの剣を大きく弾き上げる。
剣を弾かれた魔王ゼアルの胴体はガラ空き状態。
神速の動きで、イクルが両手に刀を持ち構えて、魔王ゼアルの胴体を薙ぎ払った。
その瞬間。
魔王ゼアルの身体から、黒い何かが弾き出された。
生来に薙ぎ払われた筈の、魔王ゼアルの身体には傷1つ着いていない。
「がっ!! あああああっ!!!」
一瞬、大声で吠える。 魔王ゼアル。
その目は、アキトを捉えていた。
「こっからが、本番だ。」
イクルが黒塊りに向かって言う。
次の瞬間。 黒い何かが、人の姿に変わる。
魔王ゼアルの姿に。
但し。 瞳と髪の色だけが違う。
他次元の神の瞳と髪の色は。 紫色。
「ようやく、馴染みだした身体だったのだが・・・。
まぁ、良い。 さぁ、存分に楽しもうでわ無いかっ!」
「アキトっ! 魔王の浄化は任せるぞっ!」
「はいっ! みんなっ! やるよっ!」
「おうっ!」
アレス。
「結界を張りなおしますっ!」
スタン。
「ほら。 さっさとやりなさい。」
セリア。
「美味しいとこだけ。 持っていっちゃいなさい。」
イライザ。
「アキトっ!」
ソニア。
* * * 視点:生来 VS 他次元の神 * * *
「ふんっ!」
何の前触れも無く、他次元の神の姿が消えた。
「見えてるぞっ。」
他次元の神の攻撃を、生来が刀で難無く受け止める。
「ふふふ。 ははははははははっ!
これだっ! これなのだよっ!」
「いちいち、うっせえっ!」
他次元の神の剣を弾き薙ぎ払う。
薙ぎ払われた生来の剣を大きく後方に飛んで躱す。
「我が名はゲルド! 模造の神よっ! 我が名を刻むが良いっ!」
「お前の墓に刻んでやるよっ!」
両者が同時に動き。 一瞬で、お互いの間合いに入り込む。
キキキキキキキキキキキキッ!
刃と刃が激しくぶつかり合う音だけが響く。
お互いに、1歩も動かず。
足を床に固定して、根が生えたように踏ん張る力を、上半身と腕の運動エネルギーに変えて剣と剣で切り結ぶ。
神と、神を降す者の闘いに置いて。
魔法と科学の力と言うものは、お互いに効果が無い。
同格同士の、神たちの戦いに置いて必要なのは【神力】。
自身の身に神力を纏い。
その身と武器に、神力を乗せて相手を降す脳筋同士の戦いとも言える。
これが、お互いに成長しているのなら。
お互いが持つ、特殊な能力を織り交ぜ、飛躍的に高度な戦い方に為るのだが。
あいにく、生来も他次元の神も、生まれて間もない存在値しか宿していない。
しかし 徐々にだが、生来の方が押され始めている。
(さすがに、結界を張りながらじゃ分が悪いか。)
そう。 生来の後ろには、魔王ゼアルを浄化しようとする。
アキト達が居る。
その為に、アキト達に被害が及ばぬよう、生来の後ろのアキト達を護る為に。
自身とゲルドを閉じ込める形で、球形状に結界を張り巡らせている。
その為に、自身の持つ全ての神力を戦闘に向けられないでいる。
「どうしたっ! 後ろの結界を解けばいいだろう! 解けっ!
解いて全力で我と戦えっ!
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