【完結済み】 50のオッサン 異世界に行く

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです

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既に、アキトの身体は限界に来ようとしていた。

魔王ゼアルと打ち合いだして15分。

アキトの身体の怪我は、ソニアの回復魔法で回復はされているが。

失った体力と気力。 それに、流れ出た血液などは回復されない。


「くっっそ!」

「どうした勇者。 限界そこまでか?」

詰まらなそうな表情で言う、魔王ゼアル。

「詰まらぬ。 終わりにするか。」

そう言って、アキトを大きく弾く魔王ゼアル。

弾かれた勢いで、アキトの態勢が大きく崩れる。

「終わりだ。」

アキトに向かって、魔王ゼアルの持つ剣が振り下ろされた。

ギンッ! っと言う音と共に.

魔王ゼアルの剣を受け止めた、赤い色の刀身のカタナ

「良く頑張ったな。アキト。」

赤い刀身の刀を持つ男性がアキトに言う。

一瞬、誰だか判らずに、アキトは迷うが。

すぐさま服装で、目の前の男性が誰かを理解した

「イクルさん?」

「おう。」

短く返事を返す生来イクル

生来イクルは、魔王ゼアルの剣を受け止めた態勢で、魔王ゼアルの剣を大きく弾く。

生来イクルの膂力によって、大きく後方に弾かれた魔王ゼアル。

魔王ゼアル他次元の神さん。 ちょ~っと、待っててくれない。

存分に楽しませてやるからさぁ~。」

生来イクルの言葉に、嬉しそうに口角を上げて、剣を下に降ろす魔王ゼアル。

「えっ?何で?」

服装は確かに生来イクルと同じだ。

間違いようもない。

でも、目の前の男性イクルは、生来イクルにしては若すぎる。

どう見ても、20代前半くらいの年だ。

「ん~。まぁ、ちょっと色々あってな。 若返った。」

苦笑しながら、アキトに伝えるイクル。

生来イクルを見る、アキトの眼に涙が浮かぶ。


「イクルっ!」

アレスが。

「イクルさん!」

スタンが。

「イクル!」

イライザが。

「バカっ! 生きてんなら、さっさと返事をしなさいよねっ!」

ソニアが。

「イクル・・・。」

セレナが。


「わりぃな。 さっきまで死んでたんだ。 返事が返せる訳が無いだろう!」

律義に、ソニアに突っ込み返す辺り、イクルらしいと言えばらしい。

「立てるか?」

「はいっ!」

涙を拭きながら、イクルの差し出された手を取り立ち上がるアキト。

「アキト。良く聞け。」

「はい。」

「俺が、魔王アイツから、俺の敵を引きずり出すから。 アキト。お前は、皆と魔王ゼアルの浄化を頼む。」

「えっ?」

「詳しくは、全てが終わってから話す。

俺は、俺の敵をくだす為に生まれ変わった。」

「生まれ変わった?」

「そうだ。 だから、お前アキトは、魔王ゼアルを浄化しろ。 やれるな?」

「やりますっ!」

「良い返事だ。」

そう言って、アキトの頭をポンポンと撫でるイクル。

「待たせたな。 魔王ゼアル。 いや、他次元の神さん。」

「我と、同格になったのか?」

「そうだよぉ。 お前をくだす為に、生まれ変わってやったんだ。」

「ふふ。ははははははははっ!

存分に。 我を楽しませろぉぉぉぉぉっ!」

瞬き1つの間に、魔王ゼアルが、イクルとの間合いに詰め込んできた。

明らかに、アキトを相手にしてた時との動きとは違った。

だが、イクルは動じる事も無く。

魔王ゼアルの剣戟を受け止めた。

「おう。 存分に相手してやるから! さっさと、その身体からでていきやがれえぇぇぇ!」

魔王ゼアルの剣戟を受け止めた直後に。

生来イクルの持つ、赤い刀が、魔王ゼアルの剣を大きく弾き上げる。

剣を弾かれた魔王ゼアルの胴体はガラ空き状態。

神速の動きで、イクルが両手に刀を持ち構えて、魔王ゼアルの胴体を薙ぎ払った。

その瞬間。

魔王ゼアルの身体から、黒い何かが弾き出された。

生来イクルに薙ぎ払われた筈の、魔王ゼアルの身体には傷1つ着いていない。

「がっ!! あああああっ!!!」

一瞬、大声で吠える。 魔王ゼアル。

その目は、アキトを捉えていた。

「こっからが、本番だ。」

イクルが黒塊りに向かって言う。

次の瞬間。 黒い何かが、人の姿に変わる。

魔王ゼアルの姿に。

但し。 瞳と髪の色だけが違う。

他次元の神の瞳と髪の色は。 紫色。

「ようやく、馴染みだした身体だったのだが・・・。

まぁ、良い。 さぁ、存分に楽しもうでわ無いかっ!」

「アキトっ! 魔王の浄化は任せるぞっ!」


「はいっ! みんなっ! やるよっ!」


「おうっ!」

アレス。

「結界を張りなおしますっ!」

スタン。

「ほら。 さっさとやりなさい。」

セリア。

「美味しいとこだけ。 持っていっちゃいなさい。」

イライザ。

「アキトっ!」

ソニア。


 * * * 視点:生来イクル VS 他次元の神 * * *


「ふんっ!」

何の前触れも無く、他次元の神の姿が消えた。

「見えてるぞっ。」

他次元の神の攻撃を、生来イクルが刀で難無く受け止める。


「ふふふ。 ははははははははっ!

これだっ! これなのだよっ!」

「いちいち、うっせえっ!」

他次元の神の剣を弾き薙ぎ払う。

薙ぎ払われた生来イクルの剣を大きく後方に飛んで躱す。

「我が名はゲルド! 模造の神よっ! 我が名を刻むが良いっ!」

「お前の墓に刻んでやるよっ!」

両者が同時に動き。 一瞬で、お互いの間合いに入り込む。


キキキキキキキキキキキキッ!


刃と刃が激しくぶつかり合う音だけが響く。


お互いに、1歩も動かず。

足を床に固定して、根が生えたように踏ん張る力を、上半身と腕の運動エネルギーに変えて剣と剣で切り結ぶ。

神と、神をくだす者の闘いに置いて。

魔法と科学のちからと言うものは、お互いに効果が無い。


同格同士の、神たちの戦いに置いて必要なのは【神力しんりょく】。

自身の身に神力しんりょくまとい。

その身と武器に、神力しんりょくを乗せて相手をくだす脳筋同士の戦いとも言える。

これが、お互いに成長しているのなら。

お互いが持つ、特殊な能力チカラを織り交ぜ、飛躍的に高度な戦い方に為るのだが。

あいにく、生来イクル他次元の神ゲルドも、生まれて間もない存在値しか宿していない。

しかし 徐々にだが、生来イクルの方が押され始めている。

(さすがに、結界を張りながらじゃが悪いか。)


そう。 生来イクルの後ろには、魔王ゼアルを浄化しようとする。

アキト達が居る。

その為に、アキト達に被害が及ばぬよう、生来イクルの後ろのアキト達を護る為に。

自身とゲルドを閉じ込める形で、球形状に結界を張り巡らせている。

その為に、自身の持つ全ての神力しんりょくを戦闘に向けられないでいる。

「どうしたっ! 後ろの結界を解けばいいだろう! 解けっ!

解いて全力で我と戦えっ!

我を楽しませろっ! 模造の神っ!」

《とは言え。 このままじゃ、ジリ貧だな・・・。 出し惜しみしてる場合じゃないな。》
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