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三大陸合同会談:3

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獣人族、亜人族の町村の被害状況も同じく生存者の数は少ない。

「戦争をしておるんだ。 市民に被害が出るのも仕方があるまい。」

アブノ外務大臣次官の言葉に、過半数の代表者達の視線が刺さる。

当の本人は、その視線に気が付いてさえいない。

一緒についてきた、護衛の騎士の方が恐縮しているのにだ。

俺も、内心ではイラっと来ているが。 今は我慢だ。

まだ、怒る所ではない。


「そうですね。 その言葉・・の通りです。

それでは。 次に、こちらの資料に目をお通しください。」

次に渡した資料には。 魔人族の兵士たちがもたらした、各町村での農作物と家畜。それと、周囲の被害状況を記してある。

「これは・・・」

「言いたい事はあると思いますがっ! いまは、お静かに願いますっ!」

代表たちが何かを言いかけた所で、大きな声を出して、出しかけた言葉を止める。

「アブノ外務大臣次官。 この資料を見て、どう思われますか?」

「どうとは。どういう意味だ。」

「いえ。代表者の方のうち。 その資料を見て、顔色を変えなかったのは。

アブノ外務大臣次官と、白虎ホワイトタイガーのトーマ殿だけですので。

何とも感じられなかったのかと思いまして。」


「ふん。 田畑や家畜にも被害が出るのは当たり前だろう。」

「うむ。 俺としても同じ意見だが・・・・。」

そこまで言って。トーマが、同じ獣人族の代表者たちの表情を伺う。

「すまん。 同族の表情を見るに。 何かあるのだろうが。 正直、俺には分からん。

良ければ、その理由を教えてはくれぬか。」

「ふん。これだから、獣人族は・・・。」

トーマを馬鹿にする。 アブノ外務大臣次官。

「お・・。」

「失礼ですが。アブノ。 貴殿・・も、この資料を見て、何も感じておられないのですよね?」

トーマの言葉を遮り、アブノ外務大臣次官に言う。

トーマを押さえるように、黒山羊ブラックゴートのガイランが、トーマの肩に手を掛けている。

「さっきも言っただろう。 人にも作物にも被害は出るのは当たり前だと。」

ガタっと。 音がしたので、音の方を見ると。 アキトが椅子から腰を浮かしかけていた。

それをアレスが、両肩に手を置いて、アキトが立ち上がるのを押さえている。

声を挙げていないだけでもマシな方か。

もうちょっと我慢しててくれ。

「それでは、アブノ卿の護衛の騎士様。 失礼ですが、お名前を伺っても宜しいでしょうか?」

「ノーマ・ルーダと申します。」

俺の言葉に、護衛の騎士が、一瞬表情を変えるも、きちんと答えてくれた。

「それではノーマ殿。 ノーマ殿は、この数字を見て、思い当たることはございませんか?」

俺の言葉に、ちらりとアブノ外務大臣次官を見る。

「合っていようが、間違っていようが構いません。 必要なのは答え合わせをして、この場に居る人たちに知って貰う事なのですから。」

「判りました。 私の見解を言わせていただきます。 できれば、当たって欲しくないのですが・・・。」

少しだけ間を開けて語りだす騎士ノーマ。

「この資料に目を通して、内容を考えるに。 魔人族と言う種族以外の、全ての種族の根絶・・・・。」

ノーマの言葉を聞いて。 白虎ホワイトタイガーのトーマが、あっ!っと言う表情を浮かべる。

「何を言っておる!ノーマ! そんなバカげた妄想を!」

「しかし!アブノ外務大臣次官! 私には、それ以外の考えが浮かびません!」

「何を根拠に言っておるのか貴様はっ!」

「アブノ卿。 理解しておられないのは、もはや貴殿、お独りだけですよ。」

そう。基本、脳筋のイケイケの獣人族の白虎ホワイトタイガーのトーマですら、ノーマ護衛騎士の言葉を聞いて即座に理解したのだ。

「そこの虎獣人も理解しておらぬかったではないかっ!」

「トーマさん。 今なら、理解しておられますよね?」

「ああ。 そこの騎士殿の言葉で理解した。」

「ならっ! 言ってみろっ!」

怒りの形相で、大声でトーマに言い放つアブノ外務大臣バカ次官。

「簡単な事だ。 獣人族の中にも。 亜人族の中にも。 人族の中にも。 魔人族が居る・・・・・・ことだ。」

トーマの出した答えにさえ、何を言ってるのだコイツ?っと言う表情を浮かべるアブノ外務大臣バカ次官。

「ご理解しておられない様なので、率直に申し上げさせていただきます。 アブノ外務大臣バカ次官殿。」

「きっ、きっ、きき!貴様! 誰に向かってそんなことを言って!」

「黙れっ!」

言ったのは俺ではない。 ホーデン王だ。

「ホーデン王! それは我が国に」

「黙れと言ってるのが判らんのかっ!」

アブノ外務大臣バカ次官を睨みつけるホーデン王。

「先に言っておくがアブノ卿。 今回の会議の重要性を認識しておらぬのは、お主だけだ。」

「何をおっしゃられるのかホーデン王! 私はスラブ帝国の代表として此処に来ているのですよっ!」

「はぁ・・・。」

アブノ外務大臣バカ次官の言葉に、ホーデン王が大きな溜め息をつく。

「一つ、大きな勘違いをしておられるようなので、私から言わせていただきます。 アブノ外務大臣バカ次官殿。」

「貴様!」

アブノ外務大臣バカ次官の言葉を聞き流して言葉を続けるイクル。

「今回の会議に置いて。 人族の各国と、獣人族、亜人族ともに。 国や種族の代表者に、お集まりいただいております。

その中で。 なぜ、貴方がおられるのでしょうか?」

「私は! スラブ帝国の外務大臣次官だっ! 私が、国の代表として此処に居るのが何がおかしいっ!」

「だから、それがオカシイのです。アブノ外務大臣バカ次官殿。」

アブノ外務大臣バカ次官が、何やら言ってるが、俺は無視して言葉を続けた。

「おい。バカ次官。 ハッキリ言ってやる。 今回の会議の、ホントの主催者は、スラブ帝国のマゾダ外務大臣だ。」

「なっにゅっ!」

真っ赤な顔から、一気に顔色が蒼くなっていくバカ次官。

スラブ帝国マゾダ・カラモット外務大臣。 この人物から。

今回の会議で、他の種族と他国の意見を、是非とも聞いておきたいと。

マゾダ外務大臣からの手紙がホーデン王と、各人族の国と、種族代表者たちに届いた。

そして、各国代表と、種族代表者たちに。 会談の日付と場所を段取りしたのがホーデン王とスミニ王。

なので、表向きには、ホーデン王とスミニ王が主催と為って要るが。 実際の主催者は、スラブ帝国のマゾダ外務大臣と言えるだろう。

「で。 なんで、アンタが此処に居るんだ? たかが、外務大臣次官・・のアンタが。」
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