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第23話 火炎剣を譲りました

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「いやはや……。私の、出番がなかったですね。」

怪我も無く、全員無事な状態を確認してヒルトが言う。

「良い事じゃないか。」

「はい。」

ベルンの言葉にアベルが同意する。

「ところでアベル。 その弓の性能を教えろ。」

ベルンが、アベルに問いかける。

「流星の弓と言う名前で。

付与効果は、攻撃速度上昇28%。貫通効果32%。魔物モンスター特攻。火属性付与。

「もう、驚かないぞ……。呆れてはいるが。」

ベルンが、火炎剣をアベルに返そうとしながら言う。

「火炎剣は、そのままベルンが使っててください。

俺は、弓を使いますので。」

「わかった。借りて置く。」

「しかし、お前がスキルを使うって珍しいな。

大型魔物モンスター以外には使わないのが信条なのに。」

ビートが言うと。

「使って見れば分かる。アベル。貸しても良いか?」

「どうぞ。」

ベルンが、ビートに火炎剣を渡す。

鞘から剣を抜き、身体能力上昇を自身に掛けて、一歩を踏み込む。

「つぉ!」

軽く踏み込んだつもりが、危うく目の前の大木に激突寸前。

何も無い方向に向けて素振りを繰り返す。

剣速を追うのもやっとの状態。

「加速! 連撃! 五月雨!」

ニヤついた表情で、スキルを発動させるビート。

「なっ。分かるだろう。」

同じくニヤついた表情で言うベルン。

「これは、理解した。 確かに、職業ジョブを取った時にハシャギ過ぎてしまう感覚を思い出してしまうな。」

「だろう。」

「使いどころさえ間違えないなら。確かに良い剣だな。」

「中堅以上じゃないと、性能に振り回されて、勘違いしてしまいそうだがな。」

その様子を見て、羨ましそうな表情でシャノンとヒルトが見ている。

(アンネさんが、聖樹の杖を持った時は。爆炎フレアを連発してたのは黙って置こう……。)

「なぁ、アベル。 俺の分のアラクネ素材を、お前に譲るから。

この剣と交換してくれないか?」

「……。そんなに気に入りました?」

「ああ、気に入った。魔物モンスター特攻が特に。」

(ルナには、説明すれば納得して貰えるか?)

と言うより……。アラクネ素材を見て歓喜する姿しか想像できない。

「妖精の森を出ても気が変わらなければ。」

「言質は取ったからなっ!」

「了解です。あっ! それと、森を出るまでで良いので。

予備の剣を貸してくれませんか? 流石に、弓だけじゃ心もとないので。」

「お安い御用だっ!」

そう言って、ベルンは自分のマジックポーチから、予備の剣を出してアベルに手渡す。


(ミスリルシルクスパイダーの素材に、トレントの素材。

大量の動物の骨に、アラクネの素材。)

ルナの喜ぶ顔を想像して、アベルの表情も緩むのだった。
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