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「あっ!生来いくるさん。」

USOにログインすれば、其処には既に早々とログインしている蒼夜達5人が。

運営から配布された、浴衣を着て客間で寛いでいた。

「どうですか?」

けいが、俺に向かって浴衣の感想を聞いてくる。

「ん、似合ってるな。」

俺の言葉に、けいの顔が緩む。

「皆も、似合ってるぞ。」

蒼夜、カナタ、沙那、シャナを見渡してイクルが言う。

「でも、柄無しなんだよなぁ~。」

カナタが少し不服そうな表情で言う。

「不服なら、課金して買いなさいよ。」

沙耶が、カナタを睨みながら言う。

「今月ピンチ。」

「あんたの場合、毎月ピンチでしょうが。」

カナタの言葉に、沙耶がツッコミを入れて返す。

「まぁまぁ、柄無しでも。それはそれで、情緒があるし。」

シャナが、宥めるように言う。

男性は紺色の、女性は白色の 浴衣。

確かに、柄はないが。 それはそれで、情緒が在るのは確かだ。

「でも、やっぱし。柄付きが着たいのも確かですね。」

けいが、ボソッと言葉を漏らす。

「確かにね・・・・・。」

シャナも同意する。

「まぁね。でも、課金してまで欲しいって訳でもないし・・・・・。」

女性陣が、何やら真剣に考え込んでいる。

「あぁ~。なら、丁度いい。〝コレ〟使ってくれ。」

そう言って、俺はステータスウィンドウを開いて。

5人にトレードを申請する。

「これって!」

俺から、トレードされたアイテムを見て。

5人が驚きの表情を見せる。

「ん? 浴衣交換チケットだが?」

そう、俺が5人にトレードしたのは。

柄付き浴衣の交換用チケットだった。

「こんなの、貰えません!」

けいが慌てて言う。

「そうよ!何考えてんのアンタっ!」

沙耶も突っ込んでくる。

「そうですよ!いくら何でも、現金を受け取るのと同じなんですから!」

シャナも言ってくる。

「そうですよ。イクルさん。いくら何でも、コレは受け取れませんから。」

蒼夜も遠慮がちに言ってくる。

カナタも皆に同意して、首を縦に振っている。

「んぁ~。ん。 何か誤解してるようだから言っておくけどな。

それ、全員分購入してるからな。

ギルドメンバー全員分のを。」

「「「「「はっ!?」」」」」

「しかも、購入して、チケットに交換すれば。 返金は不可能だ。

俺に、お前らの分の浴衣5着分をどうしろってんだ?

って、事で。

おとなしく観念して貰っておけ。 以上。」



「えっと・・・・」

「うぅぅ~・・・・」

「「「・・・・・・」」」

蒼夜は迷いながら、チケットを見つめ。

沙耶は、唸り声を上げながら俺を睨んでいる。

他の3人は、どうしたら良いのか判らずに無言。

「弄られ料だと思って、貰っておけ。」

迷う5人に声を掛けたのは、俺ではなくキョウだった。

「キョウさん。」

蒼夜がキョウの名を呼ぶ。

「どうせ、コイツの事だ。

無理に突っ返しても、ゴミ箱に捨てるだけだ。

なら、貰っておけ。

その方が、コイツの顔も立つってもんだ。」

さすがキョウ。伊達に長年付き合っていない。

俺の行動パターンを読んでくれている。

「それじゃ、遠慮なく貰って置きますっ!」

カナタが、もの凄く嬉しそうな笑顔で言う。

「ちょっ!カナタ!」

沙耶が大声でカナタの名を呼ぶ。

「だって、生来いくるさんの事だから本当にゴミ箱に捨てる可能性の方が大きいぜ。」

そう言って、ステータスウィンドウを開いて、イクルからプレゼントされたユニーク武器防具を装備する。

「これ、俺にくれるくらいだぜ・・・・・・・。」

そう言った、カナタの表情は苦笑いだった。

カナタにプレゼントしたユニーク武器防具一式。

USO内通貨での価格、約10億ゴールド。

RMT換算で、約10万円相当。

「うっ・・・・・」

カナタの言葉を聞いて、沙耶が言葉を詰まらせる。

生来いくるさん。」

けいが、俺の名前を呼ぶ。

けいに呼ばれて視線をやると。

「有り難う御座います。」

そう言って、深々と頭を下げて、お辞儀するけい

「有り難う御座います。」

シャナも頭を下げてお辞儀をする。

俺は満足な表情を浮かべると。

「どう致しまして。」

カナタ、シャナ、桂に笑顔を向ける。

「あり・・・が・・とう・・・」

「有り難う御座います。」

沙耶と、蒼夜が返事を返す。

「蒼夜の声は聞こえたが。なんだ? 要らないんなら、ゴミ箱に捨ててくれても構わないぞ。」

「有り難うって言っってんのよ!」

沙耶が大きな声で言う。

「どう致しまして。」

沙耶の大声の礼に、イクルはにこやかに返事を返す。

「っつ!」

顔を赤くして、沙耶がそっぽを向く。

「キョウ。 お前らの分だ。渡しておいてくれ。」

そう言って、イクルはトレード申請をキョウに飛ばす。

「ん? お前から渡さないのか?」

トレードを承諾しながらキョウが聞き返す。

「んっ。 あぁ、ちょっとな。

ティファ達にも、渡しておきたいからな。」

「マメだねぇ。」

「まぁ、色々世話になってるしな。お中元代わりだ。」

「はは。 んじゃ、冬のお歳暮代わりは、俺が出すとしますか。」

「あぁ、頼む。 それじゃ、行ってくる。」

「おう、逝ってら。」

「絶対に、違う意味で言ってるだろ?」

「バレた?」

「バレてる。」

笑いながら、イクルは帰還リコールを発動して、その場から居なくなった。
 
「ほれほれ。遠慮せずに使え。」

キョウが、蒼夜達5人に言葉をかけて促す。

「それでは遠慮なく。」

けいが言って、チケットを使用する。

けいが使うのを見て、シャナとカナタもチケットを使う。

最後まで躊躇っていた、蒼夜と沙耶もチケットを使い。

5人が、はしゃぎながら、どの浴衣の柄が誰に似合うとかで会話に花が咲いた。
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