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フィーア:レイド討伐編

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小休止も終わり、私たちの所属する部隊は、先行してダンジョン内に入る。

ダンジョンの中は、天然の洞窟を模した感じで、通路の向こう側にはジャイアントバットと、グレイウルフと言うMOBが居る。


★ジャイアントバット:動物種 飛行タイプ★
*体長:1メートル、全幅:2メートル前後

★グレイウルフ:動物種★
*体高:1メートル前後 体長2メートル前後


「ちっ。 次は飛行タイプも居るのかよ。」

小次郎が、心底嫌そうな表情で言う。

飛行タイプのMOBモンスターは、地上から攻撃する職業ジョブに取っては相性が悪い。

近接武器で攻撃しようとすると、武器の範囲外まで飛行で逃げてしまうからだ。

「小次郎は、敵対値増加ヘイトだけしてくれたら良いよ。」

「空中のは、俺たちに任せておけ。」

あやと。アランが自信満々の表情で言う。


「随分と自信がありそうだが。 何か案があるのか?」

ロムが2人に尋ねると。

「ちょとね。」

彩が、ウィンクしながらロムに返事を返す。

「小次郎。 バット2匹を、まとめてヘイトしてくれ。」

「判った。」

アランの言葉に、躊躇せずに答える小次郎。

「グレイウルフのターゲット取りは、カエデと龍虎王で。

そっちは、本当に3人だけで良いんだな?」

「あぁ、数秒で終わらせる。」

ロムの言葉に、アランが短く答える。

「行くぞっ!」

ロムの掛け声が上がり、プレイヤー達が一斉に駆け出す。


「「敵対値増加ヘイト! 敵対値増加・範囲ヘイトオーラ!」」

カエデと、龍虎王が、スキルを使いグレイウルフの敵対値を上げる。

敵対値増加ヘイト敵対値増加・範囲ヘイトオーラ盾当てバッシュ! 回転盾当てローリングバッシュ!」

小次郎が、2匹のジャイアントバットに詰め寄りスキルを発動。

小次郎が、スキルの技後硬直に入る。

そこに素早く、アランとあやが距離を詰める。

命中上昇エイミング! 矢の雨アローレイン! 流星ミーティア!」


流星ミーティア:弓進化スキル★
*矢に魔力を詰め込み、対象の上空で無数に拡散された魔力が降り注ぐ。
*最大射程30メートル。指定対象から半径10メートル。
*スタン効果+ノックバック効果あり。
*消費MP80 ディレイ時間300秒。
*特殊な矢が必要で。錬金術師アルケミストが作る〝流れ星の欠片〟を、鍛冶屋ブラックスミスが加工して矢にする。

アランの範囲スキルが、ジャイアントバット2匹にダメージを与えて、HPゲージの半分近くを削り取る。


小隕石コメット!!」

小隕石コメット!:レベル7・進化魔法スキル★
*次元を裂いて、宇宙を漂う小さな隕石を目標にぶつけ大ダメージを与える。
*防御力無視+魔法防御無視+気絶効果あり。
*最大射程:40メートル 効果範囲;対象を中心に半径20メートル。
*消費MP180 ディレイ時間:360秒。 詠唱時間:8秒


ジャイアントバットの上に、空間の歪みが現れて、直径10メートル以上は在る隕石が出現してジャイアントバット2匹に命中する。

彩の魔法の小隕石コメット!を喰らい、ジャイアントバット2匹が塵となって消えるエフェクトと共に地面に死体が現れる。

「MP切れぇ~。」

そう言って、彩は地面に座り込んでMP回復に専念する。

「俺は、遠距離からチマチマと矢を当てるわ。」

一瞬、何が起きたのか理解できずに放心状態になる小次郎。

「どしたの?」

彩が、小次郎に向かって言うと。

OSオリジナルスキルか?」

2人に向かって小次郎が尋ねる。

「進化スキルだ。」

「進化魔法だよ。」

アランと、彩が、声を揃えて答える。
 
カエデと、ガーランドが、グレイウルフに向かってヘイトスキルを仕様。

「スラッシュ! ダブルスラッシュ! トリプルスラッシュ!」

私も、グレイウルフに向かってスキルを使用。

他のプレイヤー達も、グレイウルフに攻撃を始めた。

私は、あや達の方が気になり、視線を彩達の方に向けると。

ジャイアントバット2匹の頭上から降り注ぐ光の矢と、空間が裂ける様なエフェクトが浮かび上がると、空間の裂け目から大きな石の塊が出てきて、ジャンアントバット2匹を押し潰す様に命中する所が目に入った。

「すご・・・・・。」

その光景に、私は思わず心の声が表に出ていた。

「ハウンドスラッシュ!」

サクラのスキルが、グレイウルフのHPゲージを大きく削る。

龍炎マグマヴァサール!!」

龍炎マグマヴァサール!:レベル6進化魔法スキル★
*魔法によって、龍をかたどったマグマを放ち対象を攻撃する。
*最大射程距離40メートル。 火傷効果+麻痺の効果有り
*消費MP48 ディレイ時間:30秒 詠唱時間:1.8秒

ギンガブルーの放った魔法スキルが、グレイウルフに直撃して止めを刺す。

(魔法戦士!?)

ギンガブルーに視線を向けて、私は思わず内心で呟く。

てっきり、ギンガブルーさんは戦士だと思っていたのに。

大剣持ちの魔法戦士だった。

刺突三連撃トリプルアクセル!」

刺突三連撃トリプルアクセル!:刺突系武器進化スキル★
*相手までの距離を一気に詰め、高速の突きを対象に3回叩き込むスキル。
*気絶効果+麻痺あり。
*消費MP36:ディレイ時間15秒:技後硬直時間:2秒


声のした方に視線を向けると、キュアプラチナのスキルが、カエデ達の担当するグレイウルフに赤いエフェクトが尾を引きながら止めを刺した。

「イエ~イ。」

キュアプラチナは両手を挙げて、ギンガーブルーと龍虎王の2人元に向かうとハイタッチを交わす。

「途中から、手が止まってたぞ。」

「あ・・、 うん。ごめんね。」

ガーランドの指摘に素直に謝る私。

私の視線の先には、あやとアラン。

「高威力の進化スキルが羨ましい気持ちは分かるが。

俺なんて、進化スキル自体を持っていないんだ。

持っているだけマシと思っとけ。」

「うん。」

ガーランドの言葉に、小声で返事を返す。

MOBを倒して歩を進める中。

私は思案にふけっていた。

判っては要るんだけどね・・・・。

理解するのと、羨ましいと思う気持ちは別であって。

ましてや、進化スキルやOSオリジナルスキルの取得はリアルにラック大きく左右される。

本人の望まないOSオリジナルスキルを取ってしまう事も在るらしいから。

一概に、OSオリジナルスキル取得=最高の結果 と、言う公式には当てはまらない。
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