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フィーア編

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『加勢する!』

叫びシャウトチャットで、ガーランドがPKプレイヤーキラー3人組に聞こえるように叫ぶ。


広域シャウトチャット:叫び★
*大声で周囲に知らせる事のできるチャットモード。

《えっ……!?》

水無月、ラクス、彩の3人がガーランドの言葉に耳を疑う。

『スマン! 恩に切る! 連合を飛ばす!』

弓使いのアランが、シャウトで言いながら、私たち4人のパーティーリーダーである、私に連合申請を飛ばしてきた。


★連合★
*個人:パーティー:ギルド間で組む事ができる。
*連合に所属すれば、プレイヤー同士が使うスキル(攻撃)に当たり判定(同士討ち:フレンド・ファイヤー)が出なくなる。
*同じ連合にだけ効果があり。 違う連合同士だと攻撃は当たってしまうので注意。

弓使いのアランの言葉通りに、私たちに向かって連合申請が飛んできた。

 
盾当てバッシュ! 回転盾当てローリングバッシュ!」

ガーランドが更にスキルを当てて、NMネームドモンスターの動きを止める。


加速突きアクセル! 換装1

全力振りフルスイング! 全力二連撃ダブルスイング!」

大剣使いのカインが、NMネームドモンスターに追いついてスキルを放つが。

アランの連合申請直後にスキルを放ったために、ガーランドはスキル後の僅かなスキル硬直に入っており、連合に入っていない事になるために、カインの攻撃に巻き込まれてHPゲージを3割ほど削られてしまう。


「ガーランド!」

水無月がガーランドに向かって声をかける。

「スマン!」

大剣使いのカインが、慌ててガーランドに謝罪を入れる。


「早く!連合申請を承諾しろ!」

弓使いのアランが、通常攻撃でNMネームドモンスターカネモチィーに攻撃しながら言ってくる。


その間に、片手剣使いの小次郎が、「盾当てバッシュ!  敵対値増加ヘイト敵対値増加・範囲ヘイトオーラ!」スキルを使い、カネモチィーの敵対値を上げる。

私は慌てて、目の前に映し出されている、アラン達から飛ばされてきた連合申請のパネルの【OK】を押して受理する。

「どう言う事よっ!?」

あやが困惑しながら叫ぶように言う。



「超レアなNMネームドモンスターなんだよっ! コイツは!」

小次郎が、あやに負けじと叫ぶように返事を返してくる。

「発生確率〝1億分の1〟の確率でPOP湧くする。

レア中のレアNMネームドモンスター、 金色のカネモチィー。

通称〝オオカネモチィー〟だ。」

ガーランドが、オオカネモチィーの後ろに回り込みながら言う。
 
そして、改めてNMネームドモンスターの方に視線を向けて良く見ると。

確かにWebで見た、カネモチィーの色は水色だったのに対して、この目の前のNMネームドモンスターのカネモチィーの色は金色だった。

「討伐成功獲得ゴールドは! 500万ゴールド~800万ゴールドだ!」

オオカネモチィーを、矢で居抜きながらアランが私たちに伝える。

「そんなにっ!」

「持ち切れないでしょ!?」

ラクスの驚きの声に、彩が言葉を被せる。

そう、通常でのプレイヤーが持ち歩けるゴールドの金額は。

筋力STRと、体力STMの多いプレイヤーでも、最高で20万ゴールドも持ち歩ければ良い方だ。

「はぁ!?  なんだぁっ! 知らないのか!?

 ウェイトを超えて、一気に入る討伐報酬金額は小切手で入手できるんだよっ!」


★小切手:祝福ブレスアイテム★
*死亡しても、死体の中に残る事のないアイテム。
銀行預り所の中に入れておく事で、自動的に買い物の時に引き落とされる。

小次郎が、呆れたような口調で言ってくる。
 
その間にも、アラン、カイン、ガーランドは金色のカネモチィー。通称:オオカネモチィーに攻撃を加えている。


確かに、それだけのゴールドを獲得できるなら、PKプレイヤーキラーとかしている場合ではない。

ましてや、今は周囲に私たち以外のプレイヤーは居ない。

思わず頬が緩むのが自分でも分かってしまう。

などと、私(水無月)が考えていると。




「言っておくが、1人に付き500万~800万ゴールドだからな。」

弓使いのアランが、金色のカネモチィーに攻撃を加えながら言ってくる。

《えっ……。》

私、ラクス、あやの動きが、アランの一言で完全に止まってしまう。


「手を止めるな! コイツの討伐には制限時間があるんだっ!

POP湧くしてから、リアルタイムで2時間経過したら消えるんだっ!」

POP湧く確率1億分の1に加えて、出現の制限時間付き。

いつ何処でPOP湧くするのか解らない上に、そこに人が居ないと消えていなくなる。

そりゃ、ガーランドも、突然加勢する訳だ。

争っている場合ではない! 
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