母さんは異世界の神様 父さんは神殺しの竜 その両親の子供の俺は?

眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです

文字の大きさ
上 下
33 / 35
第3章

32:明彦

しおりを挟む

何もない空間。

星も無く。 光も無く。

ただ、無限の闇が広がるだけの中。

神と竜が戦っていた。

神の名前は、女神エルリーディア。

竜の名前は、邪竜アロファスルンド。

数千年。 いや、数万年。

時間の経過など、とうの昔に忘れてしまっていた。

或る時。 女神エルリーディアが攻撃をしなくなった。

いくら邪竜アロファスルンドが攻撃をしても、反撃をしなくなった。

不思議に思い。 邪竜アロファスルンドは思わず女神に話しかけた。

「どうした。 何故、反撃をしない?」

「やっと、話しかけてきたわね。」

少しの間、お互いに見つめ合う。

「いやね。 アンタとも、随分と長い間戦ってるけど……。」

黙ったまま、女神の言葉を聞く邪竜アロファスルンド。

「そもそも、私たちが戦っている原因って、何だったのかしら?」

「……。 忘れたな。」

「私もよ。」

漂う沈黙。

「正直言って。 飽きちゃったのよ。 アンタと戦うのもね。」

女神エルリーディアの言葉を、黙って聞く邪竜アロファスルンド。

「でさ。 提案なんだけど。 休戦しない?」

「休戦…。」

「そう。 休戦よ。 どう?」

「判った。」

こうして、長きに渡る戦いは、一旦、幕を閉じた。

そして、長い時間が流れ。 お互いに時を過ごしていくと。

今度は、暇を持て余してくる。

いい加減、戦う事には、女神エルリーディアも、邪竜アロファスルンドも飽きていた。

「ねえ。 アロファスルンド。」

「なんだ。」

「宇宙を創ってみない?」

「宇宙を創る?」

「そう。宇宙。 ちょうど、此処ってなにも無い空間みたいだし。」

「確かに。 俺たちが、数万年以上も争っていたのに、何も生まれようとしない空間だったからな。」

「なら決まりね。」


こうして。神と邪竜は、お互いの神力を使い。

何も無い空間に宇宙を創造した。

ただ宇宙を創っただけでは、何もない空間と同じだ。

そこで、今度は、宇宙に漂う塵を集めて星を創り出す。

無数の星を創り出し。 それは、銀河となった。

しかし、今度は星を創るのにも飽きてきた。

女神と邪竜は話し合った。

自分たちが住む星を創ろうと。

その時に、女神エルリーディアは言った。

地球と言う星を創ってみたいと。

まだ、女神エルリーディアが、邪竜アロファスルンドと争う前に。

何処かの宇宙神が管理する宇宙に存在した惑星。 地球。


エルリーディアと、アロファスルンドは、出来上がった地球に降りる。


だが、ここで。

エルリーディアとアロファスルンドすら、理解を超えたモノと邂逅する。

「赤ん坊?」

「人族の?」

エルリーディアと、アロファスルンドの目の前には、いつの間にか人族の赤ん坊が現れていた。

何も身に着けず。 さっきまでは、確かに何もいなかった場所に。

いまは、赤子が泣き声をあげながら居る。

「お前が作ったのか?」

アロファスルンドの言葉に、フルフルと顔を横に振るエルリーディア。

「まっ。 放っておけば? 勝手に死ぬでしょう。」

「そうだな。」

エルリーディアと、アロファスルンドにすれば。

赤子など、どうでも良い事柄なのだ。

疑問は持ったが、自分たちの創った星に勝手に現れたのだ。

赤子を放置したまま、地球と言う星の環境を整えていく。

その作業だけで、7日を費やした。

「なぜ生きている?」

エルリーディアと、アロファスルンドが、赤子の所に来ている。

理由は何となくだ。

「エルリーディア。 人族の赤子と言うのは、7日も飲まず食わずで生きている物なのか?」

「普通は死ぬわね。」

そう。 赤子は生きていた。

この地球は、ようやく植物を創り出したばかりの星。

水はともかく、赤子が食せるものなどないはず。

なのに。 いま現在。 元気に手足を動かし、ハイハイしながら二人の所に向かってきている。

赤子は、二人の前に来ると、ペタンと座り。

「だぁ~!」

両手を挙げて、元気に声をあげた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

追放された8歳児の魔王討伐

新緑あらた
ファンタジー
異世界に転生した僕――アルフィ・ホープスは、孤児院で育つことになった。 この異世界の住民の多くが持つ天与と呼ばれる神から授かる特別な力。僕には最低ランクの〈解読〉と〈複写〉しかなかった。 だけど、前世で家族を失った僕は、自分のことを本当の弟以上に可愛がってくれるルヴィアとティエラという2人の姉のような存在のおかげで幸福だった。 しかし幸福は長くは続かない。勇者の天与を持つルヴィアと聖女の天与を持つティエラは、魔王を倒すため戦争の最前線に赴かなくてはならなくなったのだ。 僕は無能者として孤児院を追放されたのを機に、ルヴィアとティエラを助けるために魔王討伐への道を歩み出す。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...