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高等部二年生
023
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「まぁその後、脳しんとうを起こした生徒を、勝手に運ぶなと養護教諭からは説教されたがな」
「それで食堂には来られなかったんだ?」
「あぁ、ここぞとばかりに俺の生活態度についても長々と注意を受けた。言いそびれていたが、パンの差し入れも助かった」
「眞宙くんには、世話の焼き過ぎだって言われたけどね」
七瀬くんと一緒に食べていたのは、まだ心の中で消化しきれてないけど……しかもその後、眞宙くんにからかわれたし。
心の狭いぼくが悪いんだけどね!
「保には手間をかけさせたようだな。ただお前が矢面に立つ必要があったのかは、疑問が残るが」
「食堂でのことだよね? あれは親衛隊のガス抜きが目的だったから、親衛隊長であるぼくが行かなきゃダメだったんだ」
怜くんと七瀬くんのお姫様抱っこの写真が出回ってからのことを、かいつまんで説明する。
「事の発端は、食堂での七瀬の発言か」
「外部の人にとって、この学園が異質に見えるのは分かるよ。けど声高に全部を否定されちゃうと、内部の人はどうしても嫌な気分になるよね」
一言で言ってしまうと、間が悪すぎた。
ただでさえヘイトが溜まりつつあるときに、不可抗力とはいえ、怜くんと接近してしまったものだから……。
怜くんとお近づきになれない生徒の不満が爆発しちゃったんだよね。
「今後は七瀬の行動次第か……不必要な発言は避けるよう、言い含めておいたほうがよさそうだな」
「うん、これからは生徒会役員としての立場もあるし」
高等部からは外部生を受け入れていても、学園の生徒の多くは中等部からのエスカレーター組みだ。
無駄に反感を買われると、生徒会の仕事にも影響が出る可能性がある。
「保は、俺が七瀬を生徒会役員として起用したことをどう思っている?」
「ぼくは怜くんが決めたことに異論はないよ」
BLゲーム「ぼくきみ」からしたら必然の流れだ。
生徒会の仕事を通して、ゲーム主人公くんは放課後も攻略キャラと関係を深めていく。
しかし怜くんは、ぼくの返答が気に入らなかったようで、顎を使って頭頂部をグリグリされた。
地味に痛い。名法院家の御曹司としてあるまじき行為だ……。
「俺はお前の意見が訊きたいんだ」
「頭に顎を付けたまま喋らないで! 痛いから! ハゲたらどうしてくれるの!?」
「責任は取ると言ってるだろう」
「もう……怜くんにもハゲる呪いを」
「止めろ。それで、お前はどう思うんだ?」
眞宙くんじゃなくて、怜くんがぼくに意見を求めるなんて、あまりないことだった。
怜くんでも自分の判断について悩むときがあるのかな? なんて考えながら、食堂で思ったことをそのまま口にする。
「怜くんは、監査の視点から七瀬くんに学園を見てもらって、その上でどんな意見を持つか知りたいんだとぼくは思ったんだけど、あってる?」
「あぁ。今の生徒会にも外部生はいるが、発言する者はいないからな。その点、七瀬には期待したい」
「今でも面と向かって怜くんに意見できるもんね。ぼくもそれでいいんじゃないかって思うよ」
「……今後、内部生と外部生の対立を煽るようなことになってもか?」
あー! そんな流れもあったね!
歯に衣着せない七瀬くんの生徒会に対する発言に、外部生が共感や尊敬を抱くようになるんだ。
それに対して内部生は、やっぱり面白くないわけで……あぁ、うん、その対応に迫られる怜くんとしては頭の痛い話なのかな……。
怜くん、ごめんね! ぼくも可能な限りお手伝いはするから! きっと避けられないであろう流れに、心の中でエールを送る。
「んーと、今後対立する可能性があるってことは、七瀬くんの存在に関係なく、今も多かれ少なかれお互いに不満を抱えた状態にあるってことだよね?」
「そうだな」
「だったら七瀬くんが生徒会役員にならなくても、対立は起こるんじゃないかな。今でも十分、七瀬くんの言葉は人を動かしてるし」
悪い意味で、だけど。
しかし既に学園内で七瀬くんが目立つ存在になっているのは事実だ。
ここに役職が付いたところで、少し発言力が増す程度の話でしかない。
「それにどうせ七瀬くんを基軸に問題が発生するなら、目の届くところに置いておくほうが安心だと思うよ。まだ問題が起こると決まったわけじゃないけど」
「ふむ、意外にちゃんと考えているんだな」
「失礼な! 怜くんに関することは、ちゃんと考えてるよ!」
「本当か……?」
何故かとても胡乱な目で見下ろされる。
むぅ、遺憾だ。
「お前はいつも会議を踊らせることしかしないからな。だがこれに関しては、有意義な意見だった」
「ぼくはいつだって真剣なのに!?」
「だから質が悪いんだ。……さて、まだ時間はあるな」
「あ、食堂行く?」
「……俺に、お前を連れてあの場へ戻れと?」
「え? じゃあ購買部?」
別に食堂に戻ったところで、何もないと思うんだけど。
「それは桜川に頼んである。俺とお前の机に、それぞれ届けておくようにな。俺が言いたいのは、こっちのことだ」
「うぇええ!?」
手を握られたと思ったら、そのまま怜くんの……を、ズボン越しに触らされた。
「どこから声出してるんだ」
「れ、怜くんが! いきなり!」
「直に見て、触ったこともあるだろうが」
「そうだけどっ、そうですけど! 心の準備とかあるからね!?」
「お前はいつになったら、心の準備ができるんだ?」
それが暗に、行為の最終地点を言われてることが分かって目が泳ぐ。
「あーうー……」
「待つつもりではいるがな。あまり俺の理性をあてにしてると、痛い目に遭うぞ」
「怜くんのことは大好きだよ!」
「知ってる」
気持ちはあるんだよと伝えると、即座に肯定された。
気持ちが伝わっていて嬉しいです!
けどちょっと身の危険も感じて体を離そうとすると、顎を持ち上げられた。
「んんっ」
顎クイだ! と思ったのも束の間、唇を吸われ、咄嗟に目を瞑る。
キスしてるときは、目を閉じるのがマナーかなと思う高等部二年生男子です。
いや、そうじゃなくて、この流れはダメな気がする!
「っ……怜くん、昼休み、終わっちゃう」
「じゃあ早くしてくれ」
「えっ」
相変わらず怜くんに持っていかれた片手の位置は変わっていない。
えーと、これは……つまり?
「次はお前が俺に奉仕する番だろ」
もう忘れてると思ったのに!
寮の怜くんの部屋であったことを思いだす。
あれを、次はぼくが……?
ズボン越しにじんわりとした熱が手に伝わってくる。
キスをしたからか、心なしか怜くんの中心は形を持ちはじめていた。
「えっ、えっ……ぼ、ぼく、絶対上手くないと思うよ!?」
「上手かったら、どこで練習したのか問い質す。手でする自信がないなら、口でもいいぞ」
そんな無茶な!?
でも変に手でこすってしまうよりは、口でしたほうが痛くないかな……?
歯が当たらないようにだけ注意する必要はあるだろうけど。
「うぅ……じゃあ口でしていい?」
「……本気か?」
「それで食堂には来られなかったんだ?」
「あぁ、ここぞとばかりに俺の生活態度についても長々と注意を受けた。言いそびれていたが、パンの差し入れも助かった」
「眞宙くんには、世話の焼き過ぎだって言われたけどね」
七瀬くんと一緒に食べていたのは、まだ心の中で消化しきれてないけど……しかもその後、眞宙くんにからかわれたし。
心の狭いぼくが悪いんだけどね!
「保には手間をかけさせたようだな。ただお前が矢面に立つ必要があったのかは、疑問が残るが」
「食堂でのことだよね? あれは親衛隊のガス抜きが目的だったから、親衛隊長であるぼくが行かなきゃダメだったんだ」
怜くんと七瀬くんのお姫様抱っこの写真が出回ってからのことを、かいつまんで説明する。
「事の発端は、食堂での七瀬の発言か」
「外部の人にとって、この学園が異質に見えるのは分かるよ。けど声高に全部を否定されちゃうと、内部の人はどうしても嫌な気分になるよね」
一言で言ってしまうと、間が悪すぎた。
ただでさえヘイトが溜まりつつあるときに、不可抗力とはいえ、怜くんと接近してしまったものだから……。
怜くんとお近づきになれない生徒の不満が爆発しちゃったんだよね。
「今後は七瀬の行動次第か……不必要な発言は避けるよう、言い含めておいたほうがよさそうだな」
「うん、これからは生徒会役員としての立場もあるし」
高等部からは外部生を受け入れていても、学園の生徒の多くは中等部からのエスカレーター組みだ。
無駄に反感を買われると、生徒会の仕事にも影響が出る可能性がある。
「保は、俺が七瀬を生徒会役員として起用したことをどう思っている?」
「ぼくは怜くんが決めたことに異論はないよ」
BLゲーム「ぼくきみ」からしたら必然の流れだ。
生徒会の仕事を通して、ゲーム主人公くんは放課後も攻略キャラと関係を深めていく。
しかし怜くんは、ぼくの返答が気に入らなかったようで、顎を使って頭頂部をグリグリされた。
地味に痛い。名法院家の御曹司としてあるまじき行為だ……。
「俺はお前の意見が訊きたいんだ」
「頭に顎を付けたまま喋らないで! 痛いから! ハゲたらどうしてくれるの!?」
「責任は取ると言ってるだろう」
「もう……怜くんにもハゲる呪いを」
「止めろ。それで、お前はどう思うんだ?」
眞宙くんじゃなくて、怜くんがぼくに意見を求めるなんて、あまりないことだった。
怜くんでも自分の判断について悩むときがあるのかな? なんて考えながら、食堂で思ったことをそのまま口にする。
「怜くんは、監査の視点から七瀬くんに学園を見てもらって、その上でどんな意見を持つか知りたいんだとぼくは思ったんだけど、あってる?」
「あぁ。今の生徒会にも外部生はいるが、発言する者はいないからな。その点、七瀬には期待したい」
「今でも面と向かって怜くんに意見できるもんね。ぼくもそれでいいんじゃないかって思うよ」
「……今後、内部生と外部生の対立を煽るようなことになってもか?」
あー! そんな流れもあったね!
歯に衣着せない七瀬くんの生徒会に対する発言に、外部生が共感や尊敬を抱くようになるんだ。
それに対して内部生は、やっぱり面白くないわけで……あぁ、うん、その対応に迫られる怜くんとしては頭の痛い話なのかな……。
怜くん、ごめんね! ぼくも可能な限りお手伝いはするから! きっと避けられないであろう流れに、心の中でエールを送る。
「んーと、今後対立する可能性があるってことは、七瀬くんの存在に関係なく、今も多かれ少なかれお互いに不満を抱えた状態にあるってことだよね?」
「そうだな」
「だったら七瀬くんが生徒会役員にならなくても、対立は起こるんじゃないかな。今でも十分、七瀬くんの言葉は人を動かしてるし」
悪い意味で、だけど。
しかし既に学園内で七瀬くんが目立つ存在になっているのは事実だ。
ここに役職が付いたところで、少し発言力が増す程度の話でしかない。
「それにどうせ七瀬くんを基軸に問題が発生するなら、目の届くところに置いておくほうが安心だと思うよ。まだ問題が起こると決まったわけじゃないけど」
「ふむ、意外にちゃんと考えているんだな」
「失礼な! 怜くんに関することは、ちゃんと考えてるよ!」
「本当か……?」
何故かとても胡乱な目で見下ろされる。
むぅ、遺憾だ。
「お前はいつも会議を踊らせることしかしないからな。だがこれに関しては、有意義な意見だった」
「ぼくはいつだって真剣なのに!?」
「だから質が悪いんだ。……さて、まだ時間はあるな」
「あ、食堂行く?」
「……俺に、お前を連れてあの場へ戻れと?」
「え? じゃあ購買部?」
別に食堂に戻ったところで、何もないと思うんだけど。
「それは桜川に頼んである。俺とお前の机に、それぞれ届けておくようにな。俺が言いたいのは、こっちのことだ」
「うぇええ!?」
手を握られたと思ったら、そのまま怜くんの……を、ズボン越しに触らされた。
「どこから声出してるんだ」
「れ、怜くんが! いきなり!」
「直に見て、触ったこともあるだろうが」
「そうだけどっ、そうですけど! 心の準備とかあるからね!?」
「お前はいつになったら、心の準備ができるんだ?」
それが暗に、行為の最終地点を言われてることが分かって目が泳ぐ。
「あーうー……」
「待つつもりではいるがな。あまり俺の理性をあてにしてると、痛い目に遭うぞ」
「怜くんのことは大好きだよ!」
「知ってる」
気持ちはあるんだよと伝えると、即座に肯定された。
気持ちが伝わっていて嬉しいです!
けどちょっと身の危険も感じて体を離そうとすると、顎を持ち上げられた。
「んんっ」
顎クイだ! と思ったのも束の間、唇を吸われ、咄嗟に目を瞑る。
キスしてるときは、目を閉じるのがマナーかなと思う高等部二年生男子です。
いや、そうじゃなくて、この流れはダメな気がする!
「っ……怜くん、昼休み、終わっちゃう」
「じゃあ早くしてくれ」
「えっ」
相変わらず怜くんに持っていかれた片手の位置は変わっていない。
えーと、これは……つまり?
「次はお前が俺に奉仕する番だろ」
もう忘れてると思ったのに!
寮の怜くんの部屋であったことを思いだす。
あれを、次はぼくが……?
ズボン越しにじんわりとした熱が手に伝わってくる。
キスをしたからか、心なしか怜くんの中心は形を持ちはじめていた。
「えっ、えっ……ぼ、ぼく、絶対上手くないと思うよ!?」
「上手かったら、どこで練習したのか問い質す。手でする自信がないなら、口でもいいぞ」
そんな無茶な!?
でも変に手でこすってしまうよりは、口でしたほうが痛くないかな……?
歯が当たらないようにだけ注意する必要はあるだろうけど。
「うぅ……じゃあ口でしていい?」
「……本気か?」
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