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049.勇者
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「大森林を敵に回すなんて自殺行為ミャ!」
アラビカというか、おれをこの世界に召喚したカネフォラ王国は、魔王討伐のための先遣隊を大森林に送ることにした。
先遣隊の編制は終わってるらしいけど、この世界では移動手段が限られる。
基本、馬。または徒歩。ところによって小型のドラゴン。
何にせよ車や電車、飛行機に比べたら遅いし、大量に人を移動させられない。
大森林は、カネフォラ王国のちょうど南だけど、先遣隊が到着するにはまだまだ時間がかかりそうだった。
そして先遣隊を使って魔王の根城を調べたあとは、軍を動かしての大規模交戦だ。
アラビカから話を聞いたリンチェが、尻尾をブワッと膨らませる。猫が尻尾を膨らませるのは警戒してるときだっけ?
「別に全部を敵に回すわけじゃないし、エルフは保護するんだろ?」
「タケルはエルフをわかってないミャ! エルフにとって自分たちが住む森は、命の次に大切なものミャ! 先遣隊にエルフは協力しているのかミャ!?」
「アラビカ、先遣隊にエルフはいるのか?」
「いいえ、協力は断られましたわ。誰のおかげで平穏に旅ができるのだと思っているのかしら?」
「協力は拒まれたってさ」
「心配しなくとも、森に強い者で先遣隊は編制されておりますわよ。無様に迷うこともありませんわ」
アラビカは片言しか、リンチェの言葉がわからない。
リンチェの慌てっぷりを先遣隊への不安だと思ったらしい。
おれが正しい内容を伝えると、アラビカは薄ら笑った。こいつ、こんな怖いやつだったか?
「ツッケロ部族連合は、ラッテ神王国から神官を送ってもらえませんものね」
「神官って、治癒魔法が使えるっていう?」
「そうですわ。ラッテ神王国は人間至上主義なのです。魔族やそれに類する者は、一切認めません」
「それに類するって、ドワーフもか?」
「えぇ。女性にもヒゲがあるだなんて、人間では到底考えられませんもの。彼らはエルフの薬に頼るしかありませんのよ」
自分たちでも薬は作れるが、高品質の薬となると、エルフ製には敵わないらしい。
一般に高品質の薬が出回ることはないものの、王様や部族の長たちにとっては生命線だ。腕を切り落とされても、高品質の薬ならその場でくっつけられるみたいだからな。
幸い、おれはまだお世話になったことがない。
「タケル、通訳をお願いするわ」
「いつもやってるけどな」
アラビカがリンチェと正面から向き合う。
「リンチェ、あなたに選択肢はありませんの。ここにいるのがその証拠。どれだけあなたが異議を唱えても、大森林はあなたたちを守ってはくれませんものね?」
ツッケロ部族連合は、カネフォラ王国との交易によって成り立っている。
もちろんエルフとも交流があるけど、大森林は国じゃない。あくまでそこに住む一つの種族や集落と交易があるに過ぎない。
森を守りたいっていう気持ちはわかる。
けど自然は、人を守ってはくれないんだ。
「ツッケロ部族連合を存続させるためには、カネフォラ王国に従うしかありませんの。安心なさって、エルフに作らせた薬は、ちゃんと卸して差し上げますわ」
「エルフをどうする気ミャ!?」
「機会は差し上げました。けれど協力を拒んだのはエルフですわ」
「待て、エルフを捕まえるのか!?」
流石のおれも口を挟む。
エルフは保護するんじゃなかったのかよ!?
「あぁ、もうこれだから政治がわからない方は……。悪いようにはしませんわよ。立場をわきまえさせるだけですわ」
「あの子はどうなる!?」
「心配しなくとも、タケルが妾にしたいというならして構いませんわ。ただし住まわせる場所は、選んだほうがよろしくてよ」
何となく今のアラビカに訊くのは癪で、リンチェにどういうことだと質問する。
「長命種は、魔素が少ない土地にいると弱くなるミャ。人間が暮らす土地では、長生きできないミャ」
「マジかよ!?」
「カネフォラ王国の王都ではまず無理ミャ。大森林に近い、南の国境沿いなら暮らせると思うけどミャ」
弱体化は顕著で、「移り人」と呼ばれて旅をするエルフも、魔素の多い土地を選んで移動するらしい。
言われてみれば、話には聞くけど、王国内でエルフに会ったことはなかった。
「話はつきまして? 何にせよタケル、魔王を倒さない限り、少女は救えませんわよ?」
「わかってるよ……」
魔王を倒して、おれはエルフのお姫様を救う。
おれが決めたことだ。
けどアラビカの対応に、釈然としない気持ちが残った。
アラビカが部屋を出ていくのを見届けると、リンチェが溜息をつく。
「はぁ……アラビカは、ツッケロ部族連合の成り立ちを理解していないミャ」
「どうやって出来たんだ? 色んな部族の集まりなんだろ?」
ツッケロ部族連合に所属する獣人は、猫族だけじゃなく、犬族、兎族など多岐にわたる。
前によくケンカしないなって言ったら、ケンカはしょっちゅうだと答えられた。
「ミャーたちは、大森林に住みたくても住めない部族の集まりミャ」
「獣人は短命種だよな。長命種に嫌われてるのか?」
大森林に住んでいるのは、魔族の中でも長命種ばかりだと聞いたことがある。
「違うミャ。単に非力で、大森林では暮らしていけないミャ。ミャーたちにも特技があれば、共存できたかもしれないミャ」
「リンチェには特技があるし、十分強いだろ?」
猫族であるリンチェは獣人の中でも耳がいい。だから人間語も、他の部族よりわかるんだ。
俊敏だし、素手での格闘だったら、おれも負ける自信がある。
「人間に比べればミャ。ミャーたち以上に優れた魔族は、大森林にはゴロゴロいるミャ。それに大森林に生息する魔獣は、他の土地より強いんだミャ」
とても勝てる相手ではないらしい。
だからケンカし合いながらも、獣人は手を取り合って新天地を目指し、北にツッケロ部族連合を作ったと。
「待ってくれ、リンチェでも勝てない魔獣がゴロゴロいるところに、軍を投入するのか?」
「ミャーが止める理由がわかったかミャ? タケルならまだ戦えると思うミャ。けどこの国の兵士が敵うとは到底思えないミャ」
そして大森林に住む魔族は、その魔獣を狩って生活しているのである。
「エルフが協力してくれるなら話は別ミャ。エルフは大森林を熟知しているミャ。けど今回、カネフォラ王国はエルフを敵に回す気ミャ。立場をわきまえていないのは、アラビカのほうミャ」
「エルフって森に住むイメージはあるけど、強いのか?」
「森でエルフに勝てる魔族はいないミャ。というより、エルフにケンカを売る魔族はいないミャ」
リンチェは指折りに理由を述べていく。
「一つ、エルフの作る薬は魔族にも貴重ミャ。二つ、エルフが持つ知識は膨大で、魔族の相談役でもあるミャ。三つ、エルフは魔法にも優れているミャ。大森林で長生きしたかったら、エルフを頼るのが普通みゃ」
これがどういうことか、わかるかミャ? とリンチェが猫目でおれを見る。
「大森林に住む魔族にとって、エルフは大事な存在なんだな?」
「そうミャ。エルフを敵に回すのは、大森林に住む魔族全てを敵に回すのと同義ミャ」
「……カネフォラ王国は勝てるのか?」
「秘密兵器でもない限り無理ミャ。数で勝てるなら、ミャーたちは大森林に住んでるミャ」
短命種の利点は、出生率の高さだという。
長命になればなるほど、子どもが出来にくいんだってさ。
「魚の卵を見たことはあるかミャ? 魚は一度にたくさんの卵を産むミャ。けど生き残れるのは僅かミャ」
「あーなんとなく言いたいことはわかる」
鯨が一口で何トンもの魚を飲み込む光景が頭に浮かぶ。
数で押しても、一瞬で刈り取られるんじゃな……。
「長命種が魔素の少ない土地で生きられないのは、ミャーたちにとっては幸いミャ。おかげで住み分けができているミャ」
「リンチェはこれからどうするんだ?」
カネフォラ王国が大森林に侵攻するのは決定事項だろう。
ツッケロ部族連合に属するリンチェが付き合う必要はあるのか?
「……アラビカが言っていた通りミャ。ミャーたちに選択権はないミャ。部族連合では意見が分かれると思うミャが、ミャーはこれまで通り、タケルと一緒に行動するしかないミャ」
「それでいいのかよ?」
やりたくないことをやらされるなんて。
「どうにもならないことがあるミャ。部族連合はケンカしても、手を取り合ってきたミャ。カネフォラ王国も同じミャ。気に入らなくても、それで生活できるなら清濁併せ呑むミャ」
「リンチェは大人だな」
ただ気の強い女の子だと思っていて悪かった。
「生きるためミャ。タケルもよく考えるミャ」
「前にも言ってたよな?」
「異世界のことは知らないミャ。けどこの世界は厳しいミャ。タケルの場合は、カネフォラ王国に守られてるから、気にならないかもしれないけどミャ」
カネフォラ王国の国民は、勇者様々だ。何なら信仰の対象でもある。
「……負けたら、どうなるかな」
「わからないミャ。ただ長命種が逆に侵攻してくることだけはないミャ」
今まではチートのおかげで、勝つことしか考えてこなかった。
もし、負けたら。
勝てば官軍、という気風はおれの国にもあった。
異世界にきて、はじめて不安になる。
そして――。
派遣された先遣隊が持ち帰ってきたのは、エルフのお姫様による魔王表明だった。
しかもお姫様じゃなくて、男の娘だという。
「あんな可愛い子が、女の子なわけがなかった……!」
「タケルは何を言ってるミャ?」
アラビカというか、おれをこの世界に召喚したカネフォラ王国は、魔王討伐のための先遣隊を大森林に送ることにした。
先遣隊の編制は終わってるらしいけど、この世界では移動手段が限られる。
基本、馬。または徒歩。ところによって小型のドラゴン。
何にせよ車や電車、飛行機に比べたら遅いし、大量に人を移動させられない。
大森林は、カネフォラ王国のちょうど南だけど、先遣隊が到着するにはまだまだ時間がかかりそうだった。
そして先遣隊を使って魔王の根城を調べたあとは、軍を動かしての大規模交戦だ。
アラビカから話を聞いたリンチェが、尻尾をブワッと膨らませる。猫が尻尾を膨らませるのは警戒してるときだっけ?
「別に全部を敵に回すわけじゃないし、エルフは保護するんだろ?」
「タケルはエルフをわかってないミャ! エルフにとって自分たちが住む森は、命の次に大切なものミャ! 先遣隊にエルフは協力しているのかミャ!?」
「アラビカ、先遣隊にエルフはいるのか?」
「いいえ、協力は断られましたわ。誰のおかげで平穏に旅ができるのだと思っているのかしら?」
「協力は拒まれたってさ」
「心配しなくとも、森に強い者で先遣隊は編制されておりますわよ。無様に迷うこともありませんわ」
アラビカは片言しか、リンチェの言葉がわからない。
リンチェの慌てっぷりを先遣隊への不安だと思ったらしい。
おれが正しい内容を伝えると、アラビカは薄ら笑った。こいつ、こんな怖いやつだったか?
「ツッケロ部族連合は、ラッテ神王国から神官を送ってもらえませんものね」
「神官って、治癒魔法が使えるっていう?」
「そうですわ。ラッテ神王国は人間至上主義なのです。魔族やそれに類する者は、一切認めません」
「それに類するって、ドワーフもか?」
「えぇ。女性にもヒゲがあるだなんて、人間では到底考えられませんもの。彼らはエルフの薬に頼るしかありませんのよ」
自分たちでも薬は作れるが、高品質の薬となると、エルフ製には敵わないらしい。
一般に高品質の薬が出回ることはないものの、王様や部族の長たちにとっては生命線だ。腕を切り落とされても、高品質の薬ならその場でくっつけられるみたいだからな。
幸い、おれはまだお世話になったことがない。
「タケル、通訳をお願いするわ」
「いつもやってるけどな」
アラビカがリンチェと正面から向き合う。
「リンチェ、あなたに選択肢はありませんの。ここにいるのがその証拠。どれだけあなたが異議を唱えても、大森林はあなたたちを守ってはくれませんものね?」
ツッケロ部族連合は、カネフォラ王国との交易によって成り立っている。
もちろんエルフとも交流があるけど、大森林は国じゃない。あくまでそこに住む一つの種族や集落と交易があるに過ぎない。
森を守りたいっていう気持ちはわかる。
けど自然は、人を守ってはくれないんだ。
「ツッケロ部族連合を存続させるためには、カネフォラ王国に従うしかありませんの。安心なさって、エルフに作らせた薬は、ちゃんと卸して差し上げますわ」
「エルフをどうする気ミャ!?」
「機会は差し上げました。けれど協力を拒んだのはエルフですわ」
「待て、エルフを捕まえるのか!?」
流石のおれも口を挟む。
エルフは保護するんじゃなかったのかよ!?
「あぁ、もうこれだから政治がわからない方は……。悪いようにはしませんわよ。立場をわきまえさせるだけですわ」
「あの子はどうなる!?」
「心配しなくとも、タケルが妾にしたいというならして構いませんわ。ただし住まわせる場所は、選んだほうがよろしくてよ」
何となく今のアラビカに訊くのは癪で、リンチェにどういうことだと質問する。
「長命種は、魔素が少ない土地にいると弱くなるミャ。人間が暮らす土地では、長生きできないミャ」
「マジかよ!?」
「カネフォラ王国の王都ではまず無理ミャ。大森林に近い、南の国境沿いなら暮らせると思うけどミャ」
弱体化は顕著で、「移り人」と呼ばれて旅をするエルフも、魔素の多い土地を選んで移動するらしい。
言われてみれば、話には聞くけど、王国内でエルフに会ったことはなかった。
「話はつきまして? 何にせよタケル、魔王を倒さない限り、少女は救えませんわよ?」
「わかってるよ……」
魔王を倒して、おれはエルフのお姫様を救う。
おれが決めたことだ。
けどアラビカの対応に、釈然としない気持ちが残った。
アラビカが部屋を出ていくのを見届けると、リンチェが溜息をつく。
「はぁ……アラビカは、ツッケロ部族連合の成り立ちを理解していないミャ」
「どうやって出来たんだ? 色んな部族の集まりなんだろ?」
ツッケロ部族連合に所属する獣人は、猫族だけじゃなく、犬族、兎族など多岐にわたる。
前によくケンカしないなって言ったら、ケンカはしょっちゅうだと答えられた。
「ミャーたちは、大森林に住みたくても住めない部族の集まりミャ」
「獣人は短命種だよな。長命種に嫌われてるのか?」
大森林に住んでいるのは、魔族の中でも長命種ばかりだと聞いたことがある。
「違うミャ。単に非力で、大森林では暮らしていけないミャ。ミャーたちにも特技があれば、共存できたかもしれないミャ」
「リンチェには特技があるし、十分強いだろ?」
猫族であるリンチェは獣人の中でも耳がいい。だから人間語も、他の部族よりわかるんだ。
俊敏だし、素手での格闘だったら、おれも負ける自信がある。
「人間に比べればミャ。ミャーたち以上に優れた魔族は、大森林にはゴロゴロいるミャ。それに大森林に生息する魔獣は、他の土地より強いんだミャ」
とても勝てる相手ではないらしい。
だからケンカし合いながらも、獣人は手を取り合って新天地を目指し、北にツッケロ部族連合を作ったと。
「待ってくれ、リンチェでも勝てない魔獣がゴロゴロいるところに、軍を投入するのか?」
「ミャーが止める理由がわかったかミャ? タケルならまだ戦えると思うミャ。けどこの国の兵士が敵うとは到底思えないミャ」
そして大森林に住む魔族は、その魔獣を狩って生活しているのである。
「エルフが協力してくれるなら話は別ミャ。エルフは大森林を熟知しているミャ。けど今回、カネフォラ王国はエルフを敵に回す気ミャ。立場をわきまえていないのは、アラビカのほうミャ」
「エルフって森に住むイメージはあるけど、強いのか?」
「森でエルフに勝てる魔族はいないミャ。というより、エルフにケンカを売る魔族はいないミャ」
リンチェは指折りに理由を述べていく。
「一つ、エルフの作る薬は魔族にも貴重ミャ。二つ、エルフが持つ知識は膨大で、魔族の相談役でもあるミャ。三つ、エルフは魔法にも優れているミャ。大森林で長生きしたかったら、エルフを頼るのが普通みゃ」
これがどういうことか、わかるかミャ? とリンチェが猫目でおれを見る。
「大森林に住む魔族にとって、エルフは大事な存在なんだな?」
「そうミャ。エルフを敵に回すのは、大森林に住む魔族全てを敵に回すのと同義ミャ」
「……カネフォラ王国は勝てるのか?」
「秘密兵器でもない限り無理ミャ。数で勝てるなら、ミャーたちは大森林に住んでるミャ」
短命種の利点は、出生率の高さだという。
長命になればなるほど、子どもが出来にくいんだってさ。
「魚の卵を見たことはあるかミャ? 魚は一度にたくさんの卵を産むミャ。けど生き残れるのは僅かミャ」
「あーなんとなく言いたいことはわかる」
鯨が一口で何トンもの魚を飲み込む光景が頭に浮かぶ。
数で押しても、一瞬で刈り取られるんじゃな……。
「長命種が魔素の少ない土地で生きられないのは、ミャーたちにとっては幸いミャ。おかげで住み分けができているミャ」
「リンチェはこれからどうするんだ?」
カネフォラ王国が大森林に侵攻するのは決定事項だろう。
ツッケロ部族連合に属するリンチェが付き合う必要はあるのか?
「……アラビカが言っていた通りミャ。ミャーたちに選択権はないミャ。部族連合では意見が分かれると思うミャが、ミャーはこれまで通り、タケルと一緒に行動するしかないミャ」
「それでいいのかよ?」
やりたくないことをやらされるなんて。
「どうにもならないことがあるミャ。部族連合はケンカしても、手を取り合ってきたミャ。カネフォラ王国も同じミャ。気に入らなくても、それで生活できるなら清濁併せ呑むミャ」
「リンチェは大人だな」
ただ気の強い女の子だと思っていて悪かった。
「生きるためミャ。タケルもよく考えるミャ」
「前にも言ってたよな?」
「異世界のことは知らないミャ。けどこの世界は厳しいミャ。タケルの場合は、カネフォラ王国に守られてるから、気にならないかもしれないけどミャ」
カネフォラ王国の国民は、勇者様々だ。何なら信仰の対象でもある。
「……負けたら、どうなるかな」
「わからないミャ。ただ長命種が逆に侵攻してくることだけはないミャ」
今まではチートのおかげで、勝つことしか考えてこなかった。
もし、負けたら。
勝てば官軍、という気風はおれの国にもあった。
異世界にきて、はじめて不安になる。
そして――。
派遣された先遣隊が持ち帰ってきたのは、エルフのお姫様による魔王表明だった。
しかもお姫様じゃなくて、男の娘だという。
「あんな可愛い子が、女の子なわけがなかった……!」
「タケルは何を言ってるミャ?」
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