ぼく、魔王になります

楢山幕府

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「はぁ……お腹いっぱい……」

 最後の一滴まで飲み干したドライアドのニルギリは、おいしそうに唇を舐める。
 ぼくは恥ずかしさに逃げたくなるけど、ガルがそれを許してくれなかった。
 次は俺だと、向きを反転させられて対面する。

「……見ているだけだと、これほど辛いとは」
「放置プレイだと思いましょう」

 視界からルフナとディンブラが消えたので、二人の存在はいったん忘れることにする。
 じゃないと恥ずかしさで、ガルと向き合うどころじゃなかった。

「最近ずっと我慢してたからな」
「それは……」

 小屋はまだ建設前で、寝るときはトレントに吊したハンモック。
 そして常にニルギリが浮遊している環境では、エッチなことをする気にはなれなかった。
 なれなかったのに。
 ガルがもどかしそうに、ぼくのワンピースをたくし上げる。
 ガルの指に素肌をなぞられると肩が跳ねた。
 一度は落ち着いた自身に、早くも熱が戻っていく。

「うぅ、ぼくも性欲に弱いよね」
「普通だろ、触られたら反応するってもんだ。それに……」

 ガルの太い指に顎を持ち上げられる。
 目が合うと、ガルは男前な表情でニヤリと笑った。

「俺で欲情してるんだって思うと、気分いいしな」
「もう、そんな格好良い顔しないでよ」

 見惚れて動けなくなる。
 そう言うと、一気にガルの顔は弛緩した。ほにゃりとした笑顔が可愛い。

「格好良い上に可愛いなんて反則じゃない!?」
「わかった、降参だ。顔が溶けそうになる」
「勝負してたつもりはないけど?」
「俺を褒め殺そうとすんな」

 照れを誤魔化すためか、キスの雨が降ってきた。
 口内に進入してくる舌を、ぼくも食む。

「んっ、んっ……」

 息継ぎに唇を離すと、唾液が糸を引いた。
 その糸がたゆみ、ガルの胸へと落ちていく。
 後を追って、ぼくはガルの谷間に鼻先を埋めた。
 程良い弾力に包まれながら舌で谷間の奥をなぞると、ガルがピクリとおっぱいを弾ませる。
 汗と体臭を味わいながら、ガルの小さな突起に指先をあてて円を描いた。
 くすぐるようにおっぱいなぞり、乳首の尖端をカリカリと爪で掻く。

「は、ぁ……堪んねぇ……」

 呟きながらガルの中心も取り出された。
 月明かりの下でも、亀頭が濡れているのがわかる。

「体勢、変えるぞ」
「うん……」

 切り株に腰を預けて、ガルは地面に手を着いた。
 膝を曲げて、ガルから降りたぼくに秘部を晒す。
 いやらしくヒクヒクする襞を見るだけで、カッと体温が上がった。
 ガルの足に手を置きながら、ゆっくり腰を屈めて自身を押し込んでいく。

「挿れるね」
「おう……っ」

 少しの抵抗のあと、ぬるりと挿入は進んだ。
 口淫とは全く違う快感に、腰が止められない。
 先を求める焦燥に駆られ、熱にこめかみをチリチリ焼かれる。

「おっ、ぐ、一気に……デカいの、くるぅ……っ」

 褐色の臀部が震え、最奥に到達した。
 ぎゅうっと襞で締め付けられて、肉壁で自身を搾り取られる。

「おっ、おっ……!」
「っ、持って、いかれそう」

 奥で亀頭を吸われる感覚に、目の裏で星が飛んだ。

「はっ……あ……」
「だめだ、もう、イク……っ」

 ガルは挿入しただけでイキそうだった。
 互いに荒い息を吐きながら、腰を振る。
 律動に合わせてガルは喘ぎ、ツバを飛ばした。

「おっ、おっ、おっ! おぐっ、りぜ、りぜぇ……っ!」

 汗で艶めく褐色の体が身を捩る。
 しなやかに伸びる筋肉が、目に焼き付いた。
 反る背中、脇腹が曲線を描く。
 もっと、もっとこの美しい体を貪りたい。
 欲求に突き動かされて、内壁を抉り、前立腺を押し上げる。
 そのまま最奥を穿ち、ぐちゅりと繋がりが増した。

「おっ、んぉお……! い、イク……っ! りぜの、かたい……ゴリゴリされてっ」

 ガルの感じるところを頭に浮かべながらも、衝動に身を任せた。
 情欲に体が支配されていく。
 ガルを犯したくて。
 ガルの全部が欲しくて。
 腰を打つ。
 ぼくを飲み込むガルのお腹が痙攣した。

「おく、おぐぅ……! いっ、ぅうううう!」

 嬌声と共にビュッビューッと大量の精液が放たれた。
 褐色の肌が白く汚されるのを見て、ぼくも固く目を瞑る。

「っ……うっ!」

 腰を揺らし、最後まで出し切る。
 ほう……と息をつくと、自身もガルの中から抜けた。
 栓がなくなったガルの蕾から、白濁した液が溢れてくる。
 濃厚な臭いが漂っていた。
 青臭いそれを嗅いでいると、また自身が元気を取り戻しそうなぐらい。
 そんなぼくの腰に、ガルの足が絡みつく。
 すると器用に身を起こしたガルに抱き締められた。
 全身でしがみつかれているみたいだ。

「気を抜くと、かっ攫われそうだからな」

 もう少しこのままでいさせてくれ。
 と甘えた声で言われて、胸がきゅーっとする。
 ぼくも抱き返して、ガルの体温と筋肉の固い弾力を堪能した。

「……放置プレイは、辛すぎないか?」
「まだまだ精進が足りませんね……はぁはぁ」

 外野の声は聞こえなかったことにする。
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