ぼく、魔王になります

楢山幕府

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「ガル、大丈夫?」
「おうっ、らいじょうぶらぁ」
「ダメっぽいね……」

 おいしいお酒だったもんねぇ。
 エルフは毒と同じくお酒にも耐性があって酔わない。お酒は調味料の一つっていう認識だ。
 ガルは何とか自分の足で歩いてくれたものの、部屋に入るなりベッドに飛び込んだ。
 そっと風の精霊にお願いして、補助してもらう。
 ケガをしないようガルを受けとめてくれた下級精霊が、褒めて褒めてとぼくの周囲に浮遊した。

「ありがとう、助かったよ」

 きゃっきゃと楽しそうに飛び回る下級精霊は見ていて和む。
 精霊の幼体に明確な形はないんだけど、大きな綿毛のような存在は目に優しい。人の服を脱がそうともしてくるけど。
 眺めていると、自分たちの存在も忘れるなと別の精霊が寄ってくるのは、いつものことだった。
 ガルの家ではロウソクで明かりがとられているのもあって、火の下級精霊も多い。

「忘れてないよ」
「られと喋ってるんらぁ?」

 ガルの腕が伸びてきて、腰を抱かれる。
 近付けばぐりぐりと頭を胸に擦り付けて甘えられた。可愛い。

「寝てなかったの?」
「まらまら、夜は長いらろう?」
「んっ……」

 ガルの頭を撫でていると、膝にのせられ、キスが降ってくる。
 ロウソクの揺れる明かりに体を照らされながら、ちゅっちゅと何度も唇を啄まれた。

「もっとお前をくれよ……」

 湿った吐息に耳朶を撫でられ、ぼくの腰にも火が灯る。
 日中のことを思いだすだけで、体が熱くなった。
 昨日から、ガルはぼくを受け入れてくれている。

「ガル、辛くない?」
「むしろすげぇいいんらよ。なぁ、すっかり尻だけでイケる体になっちまったんら。責任取れよぉ」
「喜んで」

 ガルの下唇を食んで引っ張る。
 見上げたグレーの瞳は、暗がりでも濡れそぼっているのがわかった。
 視線を下げれば、まだ触ってない乳首も尖っている。

「柔らかいのに、ここだけ硬くなってる」

 手の平でおっぱいを包みながら、指先で尖端をコリコリ転がした。
 すると、ガルがぎゅっと目を瞑る。

「うぬぅ、好きなだけ、吸えばいいだろ……っ」
「吸ったら気持ち良くなる?」
「ん、強く吸って、噛んでくれたら」
「わかった」

 下から上へおっぱい揉み上げ、手から溢れる大きさを堪能する。
 ツンとした先に唇を寄せ、触れるか触れないかの位置でガルを見上げた。

「……んだよ」
「焦らしてる」
「っ、とっとと吸え!」

 出来心で寸止めしたら、ガルのほうからおっぱいを押し付けられた。
 お酒も手伝って、今のガルは堪え性がないみたい。
 希望通りにちゅうっと吸い、尖端を甘噛みする。

「はっ……ぁ……」

 ぢゅっ、ちゅっ。
 わざと音を立てれば、ガルの中心が腰布を持ち上げて存在を主張した。
 むくむくと別の生き物のように動くそれを、布の上から撫でる。
 するとガルに両手でお尻を掴まれた。

「柔らけぇの」

 ぼくがガルのおっぱいを揉むように、お尻を揉まれる。
 性急な割に手つきは優しかった。

「ん、ガルのお尻は硬いよね」
「ケツは鍛えてねぇんらがな。なぁ、そろそろいいだろ?」

 訊きながら、ガルは体勢を変える。
 背中をベッドに預け、足を開く姿が何を待っているのかは明白だ。

「おら、突っ込め。疼いて仕方ねぇんら」

 自分の指を挿れ、準備は万端だと見せ付けられる。
 ゆらゆらとロウソクの火が、朱に染まる褐色の肌と、筋張った太ももを照らす。
 中心は怒張し、指が沈む蕾は、熟れて次を望んでいるように見えた。
 もうエッチだとか、言葉では言い表せられないガルの痴態に、喉がごくりと鳴る。

「じゃあ、挿れるよ?」
「おう……ん、んぐ……っ」

 日中も繋がっていたからか、挿入はスムーズだ。
 ガルとぼくの色が交わる。
 腰が進むと、ガルがシーツを掴んだ。作られた拳が力んでいるのがわかる。

「あ、これ、やべぇ……くる……っ」

 亀頭が埋まり、カリ首が肉壁に包まれたあたりで、襞が激しく収縮を繰り返した。
 くぱくぱする動きがくびれ部分に伝わって、快感に背筋が震える。
 更に挿入を深めれば、しきりに中がうねった。

「あっ、あっ……も、らめら……イクっ……うっ、うあ、あっ!」

 きゅうきゅうと自身が熱そのものに抱き締められているようだ。
 じわりと額に汗がにじむ。
 肌に張り付いた髪を払うと、視界に小さな突起が映った。
 そうだ、おっぱいも気持ち良いんだよね。

「ま、待てっ、同時はやば……っ」

 腰を揺らしながら乳首を吸い上げる。
 唇で尖端を食み、引っ張るとガルが悶えて、シーツを蹴った。
 足が乱暴に開閉される。

「は、んぁあ! あっ、あ……っ! い、イクっ、ぁあ、女みたいに、俺……!」
「んっ、んっ」

 強く吸っては乳輪に歯を当てた。
 乳首を執拗にねぶり、浅く腰を打つ。
 ぐりっと自身の尖端で、ガルの前立腺を押し上げると、それが決定打になった。

「んぁあああ!」

 喉をしぼったような嬌声が上がり、ガルが後頭部をベッドに押し付ける。
 顎が反り、喉仏がよく見えた。
 中もキツく閉められ、ぼくも息を詰める。

「っ……」

 ぶるりと快感に身震いした。
 けど、まだぼくには足りず、ガルに腰を密着させる。
 絶頂の余韻が残っているのか、ガルの口からはヨダレが垂れていた。

「ガル、動くよ」

 パンッと腰を打ちつける。
 一度引いて、最奥へ。
 それだけでガルの体は跳ねた。

「おぁっ!? ま、まだイッてる、からぁ……!」
「うん、一緒にいこう?」

 少量の射精のあと、ガルの中心からは先走りの液がトロトロと溢れ続けている。
 竿を伝い、それが玉袋にまで到達するのを見ながら、奥を穿った。

「おっ、おぐっ!? おくは……っ、おっ! おっ!」

 パンッ、パンッ、パンッ。
 打つたびに、体の大きいガルの重量を感じる。
 その重さが愛おしい。
 汗に体液が混ざったこの臭いも、全部。
 ガルと繋がれることが何よりも嬉しかった。ぼくで感じてくれることも。

「ガル、ぼくも、すごく、気持ち良い……っ」

 むわっとした熱気に包まれながら、腰を振り続ける。
 全身運動に、ベッドが大きく軋んだ。
 ガルが背中を反らせるのを見ながら、最後の追い込みをかけた。

「り、リゼ……おぐ、おぐに、くれっ……お、おまえのぉっ」
「うん、出すよ……ガルの奥に、いっぱい出す……っ」
「お、おれを、リゼの、おんなに……おっ、おっ、んぉぉおお!」

 理性を失いそうなぼくでも、ガルは求めてくれる。
 堪らなくなって、ガルのお腹に抱き付いた。
 ぐーっと最奥に亀頭を押し当てる。
 あぁ、好き。
 ガルが好き。
 とめどなく溢れる感情に泣きそうになりながら、ぼくはガルの中に熱を注いだ。
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