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アミーコはガルと一緒に育った幼なじみだ。
そしてぼくの恋敵。
ガルとそのことについて話したことはない。
どれだけアミーコから熱い視線を送られても、ガルが軽くいなしているのを見れば、話すまでもないかなって。
だから気にはなるけど、それだけで。
アミーコがぼくに何かしてくることはないし、問題はないと思ってた。
思ってたんだ。
もし。
もし夜の花粉が少ないときに、アミーコが効能を知ったなら。
それをガルと一緒に吸いに行ったなら。
二人とも危ない。
花粉は大量に吸ってしまうと、麻痺を起こす。
夜は花弁が閉じて飛沫量が少なくても、今はお昼過ぎ。
花が咲き乱れている時間だ。
耐性のない二人があのお花畑へ行けば、揃って倒れる危険がある。
早く、早く。
足がもつれそうになりながら、先を急いだ。
開けた場所に出れば、お花畑は近い。
もうすぐ。
「ガル……!」
目の前には昨日と同じ美しい風景が広がっていた。
一面に咲く、赤と白の花。
花粉と一緒に甘い香りが充満している。
その傍らには愛しい人が――全裸で横たわっていた。
「リ、ゼ……?」
ぼくの声に反応したのはアミーコだった。
ガルの隣で、座り込んでいる。
口元に布を巻いてるけど、それでは防ぎきれなかったようで、彼にも麻痺が出ていた。
そしてアミーコは、手にガルの腰布を持っていて。
カッと全身の血が沸騰する。
「ガルに、何をしたの?」
襲おうとして失敗したのか、ガルの体に汚れた形跡はない。
それでも。
それでも。
許せない。
感情が荒れ狂う。
魔力が抑えられなくなり、たがが外れた。
一気にぼくから放出された魔力が、風となって吹き荒れる。
視界の端で、髪が乱れていた。
綺麗に咲いていた赤と白の花弁が散っていく。
許せない。
許せない、許せない、許せない。
……けど、これ以上はダメだ。
見ればアミーコは白目を剥いて気を失っている。
何より、ガルを放置できなかった。
「お願い、手伝って欲しいんだ」
呼びかけに、風の精霊が応えてくれる。
アーリア様と違って彼らは喋らないものの、反応は理解できた。
「二人を、花粉のないところまで運んでくれる?」
村まで運んでもよかったけど、ガルのあられもない姿をさらしたくはなかった。
催淫効果もバッチリ出てるみたいだし……ガルの、大きいなぁ。
茂みの中にガルを下ろし、話しかける。
「ガル、聞こえる? 回復薬を取ってくるから、もう少しの辛抱だよ」
アミーコは気を失ったけど、ガルは意識があるようだった。
開いた目を覗き込みながら、一方的に言って立ち上がる。
「……」
「ガル……?」
体が麻痺で動けないはずなのに、ガルは力のない手でぼくの腕を掴んだ。
行くなってこと?
でも回復薬がないと、麻痺は解けない。
あ、でも……。
〈男性だと射精を促す方法があります〉
ルフナの言葉を思いだす。
花粉の催淫効果で、ガルの中心は屹立している。
今なら時間をかけなくても、射精させられるかも?
「ガル、体を楽にするためだから、我慢してね」
ぼくはガルに腕を掴まれたまま、ガルの股間に身を寄せた。
褐色の肌に、少し浅黒いそれ。
顔を近づけると、むわっとした臭いが感じられる。
どうしよう、ぼくまで興奮しちゃいそう……。
ガルのを見るのは、これがはじめてだ。
大きさは、ぼくのより少し大きいくらい。
すっかり硬くなった中心には、血管が浮き出ていた。
竿に手を添えて、成人の儀からポケットに常備されている潤滑油を垂らす。
「えっと、どこが感じるかな?」
もちろん答える声はない。
けど裏筋を撫でていると、ぼくの腕を掴んでいるガルの手が動いた気がした。
「ここが好き?」
僅かな反応を見逃さないよう気を付けながら、裏筋からカリ首、亀頭へと手を這わしていく。
潤滑油にまみれた手は、ぬちゃぬちゃといやらしい水音を立てた。
「あとは、口でするのもいいんだっけ?」
咥え込んで吸引すると、口でも気持ち良いと聞いたことがある。
「けどガルのは大きすぎて、ぼくの口には入りきらないよね……」
それでも試しに亀頭の先っぽを咥えてみる。少ししょっぱい。
れろれろと表面を舐め、ガルを見上げた。
「……」
言葉はないけど、心なしか目が潤んでるように見えて色っぽい。
悪くはないみたいで、だったら、と口での奉仕を続ける。
落ちてくる髪を耳にかけて集中した。
「んっ……ふ……」
下から上へ、手で竿を扱きながら、カリ首のくびれ部分を唇で食む。
そして舌を小刻みに動かしながら振動を与えた。
気持ち良くなって欲しい一心で、口と手を動かしていく。
ちゅっちゅと音を立てながら、亀頭を吸っていたときだった。
何気なく舌先が尿道口に入り、ガルの中心が脈打つ。
「ふわ……っ」
大量の精液が放出され、口内だけでなく顔にも滴った。
口に入った分を反射的に飲み込むと、体に魔力が染み渡る。
わっ、食事でとるより、魔力が濃い……!
同時に、ぼくの中心も反り立った。
これ、エルフにとっては花粉より、催淫効果あるんじゃ……。
「リゼ……」
「ガル!? どう、楽になった?」
気配を感じたときには抱き締められていた。
動けるようになったガルを、ぼくも抱き締め返す。
「悪い、汚したな……」
「いいよ、そんなの! ケガはない? 大丈夫?」
聞けた声に涙が浮かぶ。
いつものように体温を全身で感じられるのが嬉しかった。
見上げるぼくの顔を、ガルが手で拭っていく。
「腰布を取られた以外は何もねぇよ。あいつもすぐダメになっちまったからな」
あいつことアミーコは、今も気を失っている。
ガルを襲おうとしたことに間違いはないし、こっちはしばらく放って置いてもいいよね。
「なぁリゼ、お前も勃ってるよな?」
「あはは……」
密着しているから隠しようがなく、情けなく笑うしかなかった。
ガルを助けるためだったのに、欲情してごめんなさい……。
反省するぼくの耳に、ガルが口を寄せる。
聞こえた声は熱を孕んでいて、背筋がぞくりとした。
「だったら一緒に気持ち良くならねぇ?」
そしてぼくの恋敵。
ガルとそのことについて話したことはない。
どれだけアミーコから熱い視線を送られても、ガルが軽くいなしているのを見れば、話すまでもないかなって。
だから気にはなるけど、それだけで。
アミーコがぼくに何かしてくることはないし、問題はないと思ってた。
思ってたんだ。
もし。
もし夜の花粉が少ないときに、アミーコが効能を知ったなら。
それをガルと一緒に吸いに行ったなら。
二人とも危ない。
花粉は大量に吸ってしまうと、麻痺を起こす。
夜は花弁が閉じて飛沫量が少なくても、今はお昼過ぎ。
花が咲き乱れている時間だ。
耐性のない二人があのお花畑へ行けば、揃って倒れる危険がある。
早く、早く。
足がもつれそうになりながら、先を急いだ。
開けた場所に出れば、お花畑は近い。
もうすぐ。
「ガル……!」
目の前には昨日と同じ美しい風景が広がっていた。
一面に咲く、赤と白の花。
花粉と一緒に甘い香りが充満している。
その傍らには愛しい人が――全裸で横たわっていた。
「リ、ゼ……?」
ぼくの声に反応したのはアミーコだった。
ガルの隣で、座り込んでいる。
口元に布を巻いてるけど、それでは防ぎきれなかったようで、彼にも麻痺が出ていた。
そしてアミーコは、手にガルの腰布を持っていて。
カッと全身の血が沸騰する。
「ガルに、何をしたの?」
襲おうとして失敗したのか、ガルの体に汚れた形跡はない。
それでも。
それでも。
許せない。
感情が荒れ狂う。
魔力が抑えられなくなり、たがが外れた。
一気にぼくから放出された魔力が、風となって吹き荒れる。
視界の端で、髪が乱れていた。
綺麗に咲いていた赤と白の花弁が散っていく。
許せない。
許せない、許せない、許せない。
……けど、これ以上はダメだ。
見ればアミーコは白目を剥いて気を失っている。
何より、ガルを放置できなかった。
「お願い、手伝って欲しいんだ」
呼びかけに、風の精霊が応えてくれる。
アーリア様と違って彼らは喋らないものの、反応は理解できた。
「二人を、花粉のないところまで運んでくれる?」
村まで運んでもよかったけど、ガルのあられもない姿をさらしたくはなかった。
催淫効果もバッチリ出てるみたいだし……ガルの、大きいなぁ。
茂みの中にガルを下ろし、話しかける。
「ガル、聞こえる? 回復薬を取ってくるから、もう少しの辛抱だよ」
アミーコは気を失ったけど、ガルは意識があるようだった。
開いた目を覗き込みながら、一方的に言って立ち上がる。
「……」
「ガル……?」
体が麻痺で動けないはずなのに、ガルは力のない手でぼくの腕を掴んだ。
行くなってこと?
でも回復薬がないと、麻痺は解けない。
あ、でも……。
〈男性だと射精を促す方法があります〉
ルフナの言葉を思いだす。
花粉の催淫効果で、ガルの中心は屹立している。
今なら時間をかけなくても、射精させられるかも?
「ガル、体を楽にするためだから、我慢してね」
ぼくはガルに腕を掴まれたまま、ガルの股間に身を寄せた。
褐色の肌に、少し浅黒いそれ。
顔を近づけると、むわっとした臭いが感じられる。
どうしよう、ぼくまで興奮しちゃいそう……。
ガルのを見るのは、これがはじめてだ。
大きさは、ぼくのより少し大きいくらい。
すっかり硬くなった中心には、血管が浮き出ていた。
竿に手を添えて、成人の儀からポケットに常備されている潤滑油を垂らす。
「えっと、どこが感じるかな?」
もちろん答える声はない。
けど裏筋を撫でていると、ぼくの腕を掴んでいるガルの手が動いた気がした。
「ここが好き?」
僅かな反応を見逃さないよう気を付けながら、裏筋からカリ首、亀頭へと手を這わしていく。
潤滑油にまみれた手は、ぬちゃぬちゃといやらしい水音を立てた。
「あとは、口でするのもいいんだっけ?」
咥え込んで吸引すると、口でも気持ち良いと聞いたことがある。
「けどガルのは大きすぎて、ぼくの口には入りきらないよね……」
それでも試しに亀頭の先っぽを咥えてみる。少ししょっぱい。
れろれろと表面を舐め、ガルを見上げた。
「……」
言葉はないけど、心なしか目が潤んでるように見えて色っぽい。
悪くはないみたいで、だったら、と口での奉仕を続ける。
落ちてくる髪を耳にかけて集中した。
「んっ……ふ……」
下から上へ、手で竿を扱きながら、カリ首のくびれ部分を唇で食む。
そして舌を小刻みに動かしながら振動を与えた。
気持ち良くなって欲しい一心で、口と手を動かしていく。
ちゅっちゅと音を立てながら、亀頭を吸っていたときだった。
何気なく舌先が尿道口に入り、ガルの中心が脈打つ。
「ふわ……っ」
大量の精液が放出され、口内だけでなく顔にも滴った。
口に入った分を反射的に飲み込むと、体に魔力が染み渡る。
わっ、食事でとるより、魔力が濃い……!
同時に、ぼくの中心も反り立った。
これ、エルフにとっては花粉より、催淫効果あるんじゃ……。
「リゼ……」
「ガル!? どう、楽になった?」
気配を感じたときには抱き締められていた。
動けるようになったガルを、ぼくも抱き締め返す。
「悪い、汚したな……」
「いいよ、そんなの! ケガはない? 大丈夫?」
聞けた声に涙が浮かぶ。
いつものように体温を全身で感じられるのが嬉しかった。
見上げるぼくの顔を、ガルが手で拭っていく。
「腰布を取られた以外は何もねぇよ。あいつもすぐダメになっちまったからな」
あいつことアミーコは、今も気を失っている。
ガルを襲おうとしたことに間違いはないし、こっちはしばらく放って置いてもいいよね。
「なぁリゼ、お前も勃ってるよな?」
「あはは……」
密着しているから隠しようがなく、情けなく笑うしかなかった。
ガルを助けるためだったのに、欲情してごめんなさい……。
反省するぼくの耳に、ガルが口を寄せる。
聞こえた声は熱を孕んでいて、背筋がぞくりとした。
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