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第12話 季節は流れ
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一つの季節が流れるくらいの時間がたった。
俺としては奇跡に近いんだが1日も休まず修行は続けている。
相変わらず魔導書がないから魔法は使えないんだがずっとババアと行っている戦闘訓練のおかげでかなり戦闘慣れはしてきている。
今では映画で見ていたCGのような体術もお手の物である。
あれから村の人にも俺が聖典の救世主であることが広まり村を上げて俺を支援してくれるようになっていた。おかげでいろんな武器を試したり薬品の調合素材なんかも無償で提供してくれるからそういった勉強はすごくはかどった。
あとこの世界ではやっぱりあると思ったけど回復薬のようなものがある。
俺の知ってる異世界とは違い傷なんかは治ったりしないのだが魔力がなくなった倦怠感や体力はメチャメチャ回復してくれる。要は超高性能な栄養ドリンクみたいなものだ。これのおかげでさらに俺の修業ははかどり今では一日のほとんどを修行に明け暮れているという始末だ。
ただ先ほども言ったが傷や病気は治らない。
これがどういう意味かはすぐ理解できた。
致命傷を受ければやはり死は免れないという事。
もちろん俺は魔力による自己回復があるからそう簡単には死なないみたいだが、問題は俺以外の人だ。
この村は大陸のはずれだから比較的治安がいいらしいのだがそれでもたまにモンスターに襲われて死人がでる。何度かそのモンスターの討伐なんかもやったりしたが人が死ぬのはどこまでいっても慣れない。
これがもしアンナだったりしたらと思うと心が冷たく冷える感覚を覚える。
その度、ババアからは心のあり方を論されたりするがわかってはいるんだ俺も。
聖典を扱うものとして心は善にも悪にも簡単に振れてしまう。
その事はこの世界で少なからず死というものを通して感じることができた。
アンナとは時間があれば一緒に村を回ったり装備屋に遊びに行ったりと仲良くさせてもらっている。
ババアからはリア充とからかわれているが確かに自分でも浮かれてしまっているのではと心配になる。
とはいえあまりに修業期間が長いせいで俺は本来の世界を救うとか落ちた神をなんちゃらとかの意識が薄れつつあった。
そして今日も激しくババアと修業していた。
「うわわ! ちょまて! いきなり全快じゃねーかよ!!」
気づけば多数の火の玉が俺を襲う。
しかもこの球は追尾性で避けても避けても追ってくる。
それが10個20個と徐々に数が増え続けている。
おそらく今もババアはこの火の球を放ち続けてるに違いない。
火の玉が30個を超えたあたりから数が増えなくなってきた。
最初に放った物から魔力がなくなり消えていったのだろう。
今この時点がババアの攻撃のピークとみる。
俺は森の特性を大きく生かし木やその枝を使って3次元の回避行動をとっていく。
木を蹴り飛び枝につかまり方向を変えていくが火の玉はどこまでも追跡していく。
そろそろ回避もきつくなってきた。
火の玉が俺を追い詰める。
しかしそこで俺は勢いよく地面に降り両手を地面につけ大量の魔力を放出する。
グワングワングワン......
とたんしかしが歪んで平衡感覚が狂いだす。
対 魔導士用決戦技 魔道ジャミング
魔法が使えない俺だがそれは魔力を属性変換しそれを形にとどめるという工程が魔導書なしでは不可能というだけで魔力自体は感じれるし操作もできる。今みたいに大量の魔力を地面にぶつけて拡散させれば普段から魔力を感じて戦闘している魔導士はその感覚を大きく損なわれて一種の目の回ったような感覚になってしまうのだ。
「ぐぅ!! なんじゃこれは?! 魔力を大気にばらまきおったのか!! なんちゅうバカげた魔力の使い方じゃ。」
「はん! こっちはただでさえ魔導書がないハンデ背負ってんだよ。セオリーだけで勝たしてくれる相手かよ!!」
聖典を扱うためには天文学的な魔力量が必要らしい。そしてもちろんだが俺にはそれが備わっている。
ただ魔力の出し入れは肉体に負担がかかる。だからいままで魔力を多量に出すため魔力の蛇口を広げる修行をやっていたんだが、
「やっと形になってきた。実践で使えるレベルだろこれ?」
「ばかもん!! ずーと一人で戦う気か!! 仲間がおったらできんだろがい!」
「そういわれると、それもそうだな。」
会話しながらもお互い高速で森を移動しながら相手のスキをうかがっている。
「それにお主は魔力を馬鹿みたいにそのまま使いすぎじゃ! いくら馬鹿げた魔力量じゃとしても魔道戦には魔力変換率というものがあってだな......」
「いいのかバアさんおしゃべりしてて。もうそこは俺のエリアだぜ。」
バアさんの不用意な動きに即座に距離を詰めて射程距離に入れる。
単純なスピードはすでに俺はババアを圧倒するくらいに成長していた。
遠距離型の魔道師にスピードで負けていては万に一つも勝ち目はない。
魔道ジャミングによって距離感を失ったバアさんは俺を簡単に懐へと入れてしまう。
すかさず俺はバアさんに蹴りをお見舞いする。がそれはバアさんに届く前に何か透明な壁に阻まれてしまう。
「魔法障壁か!!」
「じゃからお主は甘いというんじゃ!!」
体勢を崩した俺にババアは木の枝や地面とあらゆるところから鎖を出現させ俺の両手足を縛りその場に縛り付けた。
「ぐっ!! まじか!! ちょっ待った!! 降参降参!! 参っ......」
俺が言い終わる前にババアは先ほどの5倍ほどもある大きさの渾身の火の玉を俺へ投げ終わっていた。
「だからお前は何で俺のいうことを最後まで聞かないんだぁぁぁぁ!! うぎゃぁぁぁあああああ!!」
もちろんそのまま俺の丸焼きが仕上がってしまったのはいうまでもない。
俺としては奇跡に近いんだが1日も休まず修行は続けている。
相変わらず魔導書がないから魔法は使えないんだがずっとババアと行っている戦闘訓練のおかげでかなり戦闘慣れはしてきている。
今では映画で見ていたCGのような体術もお手の物である。
あれから村の人にも俺が聖典の救世主であることが広まり村を上げて俺を支援してくれるようになっていた。おかげでいろんな武器を試したり薬品の調合素材なんかも無償で提供してくれるからそういった勉強はすごくはかどった。
あとこの世界ではやっぱりあると思ったけど回復薬のようなものがある。
俺の知ってる異世界とは違い傷なんかは治ったりしないのだが魔力がなくなった倦怠感や体力はメチャメチャ回復してくれる。要は超高性能な栄養ドリンクみたいなものだ。これのおかげでさらに俺の修業ははかどり今では一日のほとんどを修行に明け暮れているという始末だ。
ただ先ほども言ったが傷や病気は治らない。
これがどういう意味かはすぐ理解できた。
致命傷を受ければやはり死は免れないという事。
もちろん俺は魔力による自己回復があるからそう簡単には死なないみたいだが、問題は俺以外の人だ。
この村は大陸のはずれだから比較的治安がいいらしいのだがそれでもたまにモンスターに襲われて死人がでる。何度かそのモンスターの討伐なんかもやったりしたが人が死ぬのはどこまでいっても慣れない。
これがもしアンナだったりしたらと思うと心が冷たく冷える感覚を覚える。
その度、ババアからは心のあり方を論されたりするがわかってはいるんだ俺も。
聖典を扱うものとして心は善にも悪にも簡単に振れてしまう。
その事はこの世界で少なからず死というものを通して感じることができた。
アンナとは時間があれば一緒に村を回ったり装備屋に遊びに行ったりと仲良くさせてもらっている。
ババアからはリア充とからかわれているが確かに自分でも浮かれてしまっているのではと心配になる。
とはいえあまりに修業期間が長いせいで俺は本来の世界を救うとか落ちた神をなんちゃらとかの意識が薄れつつあった。
そして今日も激しくババアと修業していた。
「うわわ! ちょまて! いきなり全快じゃねーかよ!!」
気づけば多数の火の玉が俺を襲う。
しかもこの球は追尾性で避けても避けても追ってくる。
それが10個20個と徐々に数が増え続けている。
おそらく今もババアはこの火の球を放ち続けてるに違いない。
火の玉が30個を超えたあたりから数が増えなくなってきた。
最初に放った物から魔力がなくなり消えていったのだろう。
今この時点がババアの攻撃のピークとみる。
俺は森の特性を大きく生かし木やその枝を使って3次元の回避行動をとっていく。
木を蹴り飛び枝につかまり方向を変えていくが火の玉はどこまでも追跡していく。
そろそろ回避もきつくなってきた。
火の玉が俺を追い詰める。
しかしそこで俺は勢いよく地面に降り両手を地面につけ大量の魔力を放出する。
グワングワングワン......
とたんしかしが歪んで平衡感覚が狂いだす。
対 魔導士用決戦技 魔道ジャミング
魔法が使えない俺だがそれは魔力を属性変換しそれを形にとどめるという工程が魔導書なしでは不可能というだけで魔力自体は感じれるし操作もできる。今みたいに大量の魔力を地面にぶつけて拡散させれば普段から魔力を感じて戦闘している魔導士はその感覚を大きく損なわれて一種の目の回ったような感覚になってしまうのだ。
「ぐぅ!! なんじゃこれは?! 魔力を大気にばらまきおったのか!! なんちゅうバカげた魔力の使い方じゃ。」
「はん! こっちはただでさえ魔導書がないハンデ背負ってんだよ。セオリーだけで勝たしてくれる相手かよ!!」
聖典を扱うためには天文学的な魔力量が必要らしい。そしてもちろんだが俺にはそれが備わっている。
ただ魔力の出し入れは肉体に負担がかかる。だからいままで魔力を多量に出すため魔力の蛇口を広げる修行をやっていたんだが、
「やっと形になってきた。実践で使えるレベルだろこれ?」
「ばかもん!! ずーと一人で戦う気か!! 仲間がおったらできんだろがい!」
「そういわれると、それもそうだな。」
会話しながらもお互い高速で森を移動しながら相手のスキをうかがっている。
「それにお主は魔力を馬鹿みたいにそのまま使いすぎじゃ! いくら馬鹿げた魔力量じゃとしても魔道戦には魔力変換率というものがあってだな......」
「いいのかバアさんおしゃべりしてて。もうそこは俺のエリアだぜ。」
バアさんの不用意な動きに即座に距離を詰めて射程距離に入れる。
単純なスピードはすでに俺はババアを圧倒するくらいに成長していた。
遠距離型の魔道師にスピードで負けていては万に一つも勝ち目はない。
魔道ジャミングによって距離感を失ったバアさんは俺を簡単に懐へと入れてしまう。
すかさず俺はバアさんに蹴りをお見舞いする。がそれはバアさんに届く前に何か透明な壁に阻まれてしまう。
「魔法障壁か!!」
「じゃからお主は甘いというんじゃ!!」
体勢を崩した俺にババアは木の枝や地面とあらゆるところから鎖を出現させ俺の両手足を縛りその場に縛り付けた。
「ぐっ!! まじか!! ちょっ待った!! 降参降参!! 参っ......」
俺が言い終わる前にババアは先ほどの5倍ほどもある大きさの渾身の火の玉を俺へ投げ終わっていた。
「だからお前は何で俺のいうことを最後まで聞かないんだぁぁぁぁ!! うぎゃぁぁぁあああああ!!」
もちろんそのまま俺の丸焼きが仕上がってしまったのはいうまでもない。
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