ダンジョンはモンスターでいっぱい!! ~スライムと成り上がる最弱冒険者の物語〜

なか

文字の大きさ
上 下
27 / 58

言葉じゃない

しおりを挟む
「あんたってほんっとにバカなのね!!」

ニアの怒りは収まらない。
クラウスはギルドのみんなの前で堂々とニアを婚約者だといったのだ。

「なぜだニア? 君も僕のことが好きなはずだ。」

痛いし気持ち悪いのはみんな気づいているがそれでもここまでストレートに気持ちを押し出されると
何か勘違いしてしまいそうだ。
ニアも顔が赤くなりだす。

「ちょっと顔近い! とにかく私は冒険者なのよ! いきなり結婚だなんて言われても困る。」
「もちろんさ。いきなり結婚してくれなんて言わない。もちろん君のやりたいことも尊重するつもりさ。」
「だからそうじゃなくて。もぅ! だから嫌なのこの人!」

「まぁまぁとりあえず話を聞こうよ。クラウスはニアをどうしたいんだ?」
「よく聞いてくれたアレン君よ。」
「ちょっとアレン余計なこと聞かなくていいわよ。」
「でもずっとついてくるし邪険に扱ってもかわいそうだろ。」
「どこがかわいそうなのよ!! 被害者は私よ!!ってもう! 顔近づけないでってば!!」

ニアは無意味に近づけてくるクラウスの顔を両手で汚いものを触るかのような表情をし押し返す。

「照れているんだね。かわいい。かわいいよニアァァ!!」

さすがのアレンも顔をしかめる。

「ところで二人に相談なのだが......」

形の整った顔をさらに凛々しくしクラウスが話し出す。

「まずアレン君、どうすればニアとパーティーを解散してくれる?」

先ほどのふざけたテンションではない若干背筋がゾクゾクする感じをアレンは覚えた。
凍るような冷たい青目。これが宝石だったらいくらするのだろうか? それほど綺麗で冷たい目をアレンに見せる。

「ちょっと何かってなこと言ってんのよ!」

ニアが1歩前に体を進めたところでクラウスは片手をニアの方へ向け制止を促すように
手の平を向けた。
すると不思議なことにニアの体はそこから前へ進めなくなる。

「ちょっとなにこれ!? あれ? あれ?」

横にも後ろにも動けるが前だけ行けない。

「悪いねニア。これは男の話なんだ。少しだけアレン君と話させてほしい。」

先ほどとは違う騎士の目。本物の冒険者が目の前にいる。
クラウスの何かに気づき始めたのか魔晶石から二匹が一気に警戒の気配を出し始めた。

「で? おっかない空気出して、クラウス。
俺が嫌だって言ったらどうするの?」

たじろぐ気配のないアレンに ほう と感心したしぐさを見せる。

「僕の【威圧】にたじろがない所を見るとかなり腕を上げたようだね。しかもこんな短期間に。」

賛辞を贈るクラウスだが目は相変わらず冷たい。

「回りくどいのは僕も好きじゃない。ストレートに言わしてもらうよ。」

冷たい目はさらに冷たくなる。

「君じゃニアは守れない。
もしニアに何かあれば僕は一生自分を許す事はできないだろう。
そうなる前にニアとパーティーを解散してくれ。」

「それを決めるのは俺じゃない。ニアだ。」

お互い目をそらさず真っ向から対立する。

「それは僕も尊重したい意見だ。だがそうも言ってられなくなった。
アレン君、君のステータスは覚えている。かわいそうだけど仕方のない事実だ。
そんな君と冒険を共にするとなると必ず危険が伴う。もちろんニアの意見は尊重したいが背に腹は代えられないというやつだよ。」

「クラウス! 違うわ。アレンは...」
「ニア!!!」

ニアの言葉をアレンが止める。

「なんで?」
「こういう人は言葉じゃないんだ。」

アレンのその言葉にクラウスも ふぅ とため息を漏らし

「アレン君、君に決闘を申し込む。」
「受けて立つ。」
「僕が勝ったらニアとのパーティーは解散してもらう。」
「ちょっと!勝手に決めないでよ!」

トントンと訳の分からないところで話が決まっていく。
しかしこれで終わらないからアレンなのだ。

「なら俺が勝ったら......」
「もちろん君の好きな願いを言うがいいよ。僕のできる範囲になってしまうが。」
「なら、答えは決まった。クラウス、俺が勝ったらクラウスは俺のパーティーに入ってもらう。」
「あぁいいともお安いごよう.....はぁ?」

あの超絶美形ナルシスト、クラウスでもこの言葉に はぁ? という顔で問い返す。
もちろん抜群の美人のニアもこの言葉には はぁ? という顔をやらざるおえなかった。

そんな二人のリアクションにアレンも えっ? となんか変なこと言った?という顔で答え返す。

三人の間に微妙な空気が流れたのは言うまでもない。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...