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伸びしろ
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その日、不思議な夢を見た。
真っ暗な広い空間をアレン一人、前か後ろかもわからないなかで歩いている。
するとその場所だけ日が差しているように明るくなっており一人の白いワンピースを着た少女が立っていた。
うつむき顔は確認できない。
アレンは徐々に少女との距離を縮めながら歩いていく。
髪の色は輝く金色で体も細くアレンより幼い印象を受ける。
素足で白のワンピース以外何も身に着けていない。
「キミ、こんなところでどうしたの?迷子なの?」
アレンはうつむく少女を覗き込むように話しかける。
クスクスクス、、、
少女の笑い声がする。
少女はアレンの手を取りこう話しかける。
「力が欲しい?」
あの時の言葉だ。
「やっぱりキミはあの時の。」
「力が欲しい?」
「キミは何?あの刀と関係があるの?」
「全てを屈服させる力が、、、」
「答えてくれ。君は何者なんだ!?」
「つまらない。」
最後の言葉と同時に少女の周りを除くすべての地面が消え、もちろんアレンの足元もなくなりストンと真下に落下していく。
「うわぁぁぁあああああ!!!」
落下しながらもうつむいていた少女の顔を見る。
瞳は赤く、人形のように綺麗な容姿。
まるで作り物のようなその顔と目が合った瞬間。
「うわぁ!!」
ベットから飛び起きた。
いつもの安宿屋の部屋の景色。
冷汗をぬぐうアレン。
一体あの夢は何だったのか?
震える右手を左手で抑えまた横になるアレン。
しかしその後、一睡もできなかった。
ーーーーーーー
そのころニアはというと人知れずこれからの自分の指針について悩んでいた。
「ディアちゃんと戦った時、私は何の役にも立たなかった。
唯一通用したのがグラウンドウォールだけ。しかも通用したんじゃなくて足止めが少しできただけ。
この先今の私の戦い方じゃ足手まといになる。」
ニアは先日の戦いから自分の力のなさを痛感していた。
瀕死であったとはいえウォーウルフと対峙したのだ。誇っていいことだとは思うのだが。
しかしこれから向かうのは50階層。
アレンはともかくニアまで足を引っ張ればパーティーの壊滅は必至だ。
「おそらく今から攻撃魔法をいくら修練しても付け焼刃になるだけ、、、」
ニアは色々な想定を課して自分に問い詰めてみた。
恐ろしく速い敵に自分は魔法を当てられるだけの制度はあるのか?
凶悪な硬さを誇る相手に何かできることはあるのか。
殺意が身を削る戦いの中、何が仲間のためになるのであろうか?
「待っててみんな。私強くなるから、、、」
自らの道を見つけてこそより洗礼された修練が可能となる。
今ニアはその場所に立ったのかもしれない。
真っ暗な広い空間をアレン一人、前か後ろかもわからないなかで歩いている。
するとその場所だけ日が差しているように明るくなっており一人の白いワンピースを着た少女が立っていた。
うつむき顔は確認できない。
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素足で白のワンピース以外何も身に着けていない。
「キミ、こんなところでどうしたの?迷子なの?」
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クスクスクス、、、
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少女はアレンの手を取りこう話しかける。
「力が欲しい?」
あの時の言葉だ。
「やっぱりキミはあの時の。」
「力が欲しい?」
「キミは何?あの刀と関係があるの?」
「全てを屈服させる力が、、、」
「答えてくれ。君は何者なんだ!?」
「つまらない。」
最後の言葉と同時に少女の周りを除くすべての地面が消え、もちろんアレンの足元もなくなりストンと真下に落下していく。
「うわぁぁぁあああああ!!!」
落下しながらもうつむいていた少女の顔を見る。
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まるで作り物のようなその顔と目が合った瞬間。
「うわぁ!!」
ベットから飛び起きた。
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冷汗をぬぐうアレン。
一体あの夢は何だったのか?
震える右手を左手で抑えまた横になるアレン。
しかしその後、一睡もできなかった。
ーーーーーーー
そのころニアはというと人知れずこれからの自分の指針について悩んでいた。
「ディアちゃんと戦った時、私は何の役にも立たなかった。
唯一通用したのがグラウンドウォールだけ。しかも通用したんじゃなくて足止めが少しできただけ。
この先今の私の戦い方じゃ足手まといになる。」
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