22 / 58
次なる冒険
しおりを挟む「とりあえずみんなの能力を整理しましょ。
まず私から、今回の冒険でかなりレベルは上がったわ。これなら単独でも10階層あたりまでなら通用しそう。」
「殴打ってやばいね、、、どうりで近接戦闘もできるはずだ。」
先ほど殴られたところを擦りながら独り言のようにつぶやく。
「それでも基本的には風魔法というのはサポートがメインよ。防御壁や敵の行動を阻害する能力が多いから。」
「でも表記が風魔法だけだとどんな効果があるとか自分でもわからないんじゃないか?」
”いや主よ、魔法というのはイメージの産物だ。自然と何ができて何ができないかは本人は感じることができる。”
「あぁ俺がお前らのスキルの能力が何となくわかるのと同じか。」
納得するアレン。
「ただディアドラのスキルはやっぱり呪印のせいなのかな?何の能力だかわからないんだ。」
”この呪印はどうやらそういった能力なのだ。私も自分がどんな能力を持っておったのか思い出せない。”
「ちなみにこれは推測だけどアレンのステータスが落ちた原因ね。あれ、アレンにも呪印の効果が影響しているって考え方の方がいいわね。
スキルは継続して使えてるみたいだから心配ないみたいだけど、、、」
「せっかく少しは強くなったと思ったのになー。」
「呪印を解除するより方法はないようね。」
その言葉を聞き各々がカレンの方を見る。
「解除の方法はある。だが難しいと思うぞ。」
カレンは目を伏せ、ゆっくりと話した。
カレンが言うには解除の可能性は3つ
◆ 一つは発動条件を満たさないこと。
呪術とは動作するための仕掛けが必要でそのためには縛りが必要になる。
相手への呪いが大きいほどこの縛りも大きくなる。
その縛り、○○をしたとき△△になる。
というのが呪術の基本だ。
この○○という条件に当てはまらなければそもそも呪術が発動しない。
しかしこれには発動条件を知る必要がある。
それはこちらも把握していないと適用も難しい。
◆ 二つは解除するスキルを持っている者を探す。
呪術も所詮はスキルの一つ。
それを作用させないスキルもあるはず。
しかしこれはあるはずという憶測でしかない。
そもそも人にスキルを教えるのは自分の手の内を教えるようなもの。
探すにも必ず理由を聞かれるしそこでディアドラを出すわけにもいかないだろう。
リスクが大きく探す手間が大きすぎる。
◆ そして3つ目は呪術の使用者が解除する。
これが一番現実的であろう。
使用者が解除すれば呪いも解ける。
たしかにこれもディアドラを接触させないといけないかもしれないが使用した呪術者も危険がないと分かれば解除してくれる可能性もある。
リスクは一番小さいはずだ。
ただ使用者はディアドラがウォーウルフだと気づくだろう。
気づいてなおもこの呪いを解除してもらえるとは思えない。
「まぁ使ったやつに話を聞いてみようぜ。それが一番手っ取り早い。」
「そこが問題なのじゃ。」
カレンはおもむろに話を割って入ってきた。
「このような強力な呪印をかけれるものなどこのアークグラッドに一人しかおらん。」
「なんだよ婆さん。知ってんのかよ。」
「知ってるも何も、、この街で1番有名なパーティーの者じゃからな。」
「ちょっと待って、、、それって、、」
「そうじゃ。【世界から愛されし男】 剣聖ライオネル が率いるパーティーの一人。
”【呪術師 呪われしブルーノ】”
やつで間違いあるまい。」
「なんだ。そんな有名な奴ならすぐ会えそうだな。」
「ばか!!あんた剣聖のパーティーを知らないの?」
「知らない。もちろん剣聖っていう職業は知ってるぜ。本当にいるんだな。剣聖って。」
キラキラの目にあきれ顔でうなだれたニアは話を続ける。
「剣聖って言ったらすでに王国お抱えの冒険者よ。
国指定のクエストばかりを行うパーティーなんだから。
そんな人たちにディアドラを見せてごらんなさいよ。あんた打ち首にされちゃうわよ。」
「なんだよ、、怖いこと言うなよ。」
アレンの額からヘタレな冷汗が流れる。
「まぁしかし、解除の可能性がないとはいえん。この強力な術式じゃ。
かなりの負荷が体にかかっているはず。話次第ではブルーノもこの呪印は解除したいはず、、、」
そう言うとカレンはうつむき考え事をするときの癖であごを左手で擦る。
「ブルーノは偏屈な奴でな。ずーとダンジョンにこもっておるんじゃ。
何をしてるのかはわからんが50階層に研究所を作って毎日呪印の研究をしているんじゃ。
剣聖パーティーは今ダンジョンアタック中じゃと聞くがこの呪印の影響でブルーノだけは研究所に戻ったと聞く。
今現在は50階層にいるじゃろう。」
「おっ!なら会いに行こうぜ。話だけでも聞いてもらおう。」
「ばかね。今の話聞いてなかったの?50階層よ。いけるわけないじゃない!!」
「そうでもないぞニア。いくら呪印をかけられているからといっても今はディアドラがいる。
それにおぬしたちも驚くべきスピードで強くなっている。戦力的にはギリギリ届きそうな気がするがの。」
「よし!決まりだ。次のアタックまで支度とかもあるだろ。1週間後って事でいいか?」
「妥当じゃな。」
「えぇー。大丈夫なのほんとに?50階層だよ、、、」
ニアの話は誰も聞いていなかった。
その日はニアの家に泊めてはもらえなかった。
たぶん覗いたからだろう。
騒ぎが収まってきたギルドで魔石を換金し宿をとったアレン。
明日からまたダンジョンアタックの準備に入る。
換金額は150,000ゴールド。それを二人で分けたので75,000ゴールドづつ。
さすがに5階層のモンスターではこの程度の金額しか手に入らない。
命を懸けた代償としては疑問を持つ者もいるだろう。
だがアレンにとってはお金はおまけみたいなものなのである。
もちろん準備やら支度やらにお金はかかる。
だがなければないでないなりの準備をする。
アレンには関係ない。いや、本来冒険者にそれは関係ないのである。
とはいえ装備は整えたい。明日はまたあの武器屋に足を運んでみよう。
そう思い静かに目を閉じるアレンだった。
0
お気に入りに追加
512
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる