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次なる冒険
しおりを挟む「とりあえずみんなの能力を整理しましょ。
まず私から、今回の冒険でかなりレベルは上がったわ。これなら単独でも10階層あたりまでなら通用しそう。」
「殴打ってやばいね、、、どうりで近接戦闘もできるはずだ。」
先ほど殴られたところを擦りながら独り言のようにつぶやく。
「それでも基本的には風魔法というのはサポートがメインよ。防御壁や敵の行動を阻害する能力が多いから。」
「でも表記が風魔法だけだとどんな効果があるとか自分でもわからないんじゃないか?」
”いや主よ、魔法というのはイメージの産物だ。自然と何ができて何ができないかは本人は感じることができる。”
「あぁ俺がお前らのスキルの能力が何となくわかるのと同じか。」
納得するアレン。
「ただディアドラのスキルはやっぱり呪印のせいなのかな?何の能力だかわからないんだ。」
”この呪印はどうやらそういった能力なのだ。私も自分がどんな能力を持っておったのか思い出せない。”
「ちなみにこれは推測だけどアレンのステータスが落ちた原因ね。あれ、アレンにも呪印の効果が影響しているって考え方の方がいいわね。
スキルは継続して使えてるみたいだから心配ないみたいだけど、、、」
「せっかく少しは強くなったと思ったのになー。」
「呪印を解除するより方法はないようね。」
その言葉を聞き各々がカレンの方を見る。
「解除の方法はある。だが難しいと思うぞ。」
カレンは目を伏せ、ゆっくりと話した。
カレンが言うには解除の可能性は3つ
◆ 一つは発動条件を満たさないこと。
呪術とは動作するための仕掛けが必要でそのためには縛りが必要になる。
相手への呪いが大きいほどこの縛りも大きくなる。
その縛り、○○をしたとき△△になる。
というのが呪術の基本だ。
この○○という条件に当てはまらなければそもそも呪術が発動しない。
しかしこれには発動条件を知る必要がある。
それはこちらも把握していないと適用も難しい。
◆ 二つは解除するスキルを持っている者を探す。
呪術も所詮はスキルの一つ。
それを作用させないスキルもあるはず。
しかしこれはあるはずという憶測でしかない。
そもそも人にスキルを教えるのは自分の手の内を教えるようなもの。
探すにも必ず理由を聞かれるしそこでディアドラを出すわけにもいかないだろう。
リスクが大きく探す手間が大きすぎる。
◆ そして3つ目は呪術の使用者が解除する。
これが一番現実的であろう。
使用者が解除すれば呪いも解ける。
たしかにこれもディアドラを接触させないといけないかもしれないが使用した呪術者も危険がないと分かれば解除してくれる可能性もある。
リスクは一番小さいはずだ。
ただ使用者はディアドラがウォーウルフだと気づくだろう。
気づいてなおもこの呪いを解除してもらえるとは思えない。
「まぁ使ったやつに話を聞いてみようぜ。それが一番手っ取り早い。」
「そこが問題なのじゃ。」
カレンはおもむろに話を割って入ってきた。
「このような強力な呪印をかけれるものなどこのアークグラッドに一人しかおらん。」
「なんだよ婆さん。知ってんのかよ。」
「知ってるも何も、、この街で1番有名なパーティーの者じゃからな。」
「ちょっと待って、、、それって、、」
「そうじゃ。【世界から愛されし男】 剣聖ライオネル が率いるパーティーの一人。
”【呪術師 呪われしブルーノ】”
やつで間違いあるまい。」
「なんだ。そんな有名な奴ならすぐ会えそうだな。」
「ばか!!あんた剣聖のパーティーを知らないの?」
「知らない。もちろん剣聖っていう職業は知ってるぜ。本当にいるんだな。剣聖って。」
キラキラの目にあきれ顔でうなだれたニアは話を続ける。
「剣聖って言ったらすでに王国お抱えの冒険者よ。
国指定のクエストばかりを行うパーティーなんだから。
そんな人たちにディアドラを見せてごらんなさいよ。あんた打ち首にされちゃうわよ。」
「なんだよ、、怖いこと言うなよ。」
アレンの額からヘタレな冷汗が流れる。
「まぁしかし、解除の可能性がないとはいえん。この強力な術式じゃ。
かなりの負荷が体にかかっているはず。話次第ではブルーノもこの呪印は解除したいはず、、、」
そう言うとカレンはうつむき考え事をするときの癖であごを左手で擦る。
「ブルーノは偏屈な奴でな。ずーとダンジョンにこもっておるんじゃ。
何をしてるのかはわからんが50階層に研究所を作って毎日呪印の研究をしているんじゃ。
剣聖パーティーは今ダンジョンアタック中じゃと聞くがこの呪印の影響でブルーノだけは研究所に戻ったと聞く。
今現在は50階層にいるじゃろう。」
「おっ!なら会いに行こうぜ。話だけでも聞いてもらおう。」
「ばかね。今の話聞いてなかったの?50階層よ。いけるわけないじゃない!!」
「そうでもないぞニア。いくら呪印をかけられているからといっても今はディアドラがいる。
それにおぬしたちも驚くべきスピードで強くなっている。戦力的にはギリギリ届きそうな気がするがの。」
「よし!決まりだ。次のアタックまで支度とかもあるだろ。1週間後って事でいいか?」
「妥当じゃな。」
「えぇー。大丈夫なのほんとに?50階層だよ、、、」
ニアの話は誰も聞いていなかった。
その日はニアの家に泊めてはもらえなかった。
たぶん覗いたからだろう。
騒ぎが収まってきたギルドで魔石を換金し宿をとったアレン。
明日からまたダンジョンアタックの準備に入る。
換金額は150,000ゴールド。それを二人で分けたので75,000ゴールドづつ。
さすがに5階層のモンスターではこの程度の金額しか手に入らない。
命を懸けた代償としては疑問を持つ者もいるだろう。
だがアレンにとってはお金はおまけみたいなものなのである。
もちろん準備やら支度やらにお金はかかる。
だがなければないでないなりの準備をする。
アレンには関係ない。いや、本来冒険者にそれは関係ないのである。
とはいえ装備は整えたい。明日はまたあの武器屋に足を運んでみよう。
そう思い静かに目を閉じるアレンだった。
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