ダンジョンはモンスターでいっぱい!! ~スライムと成り上がる最弱冒険者の物語〜

なか

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最弱のレッテル

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「てめぇーババアこの野郎!!  何の適性がないなんてことないだろうが!!
 ありえねぇーこと言ってんじゃねぇーぞ!!」

「なんじゃと小童!!  なんもないといったんじゃ!!  0じゃ0!!  力0.魔力0、、」

「0ってどういうことだコラ!!  今生きてるんだから0なんてありえねぇーじゃねえか!!
 この干物ババア!!  まじめに診断しやがれ!!!」

「やっかましいわい!!  毎日毎日才能のない奴らを見させられてわしはもううんざりしてたんじゃ!!!
   そんな時に過去類を見ないくらいの才能のない奴がくればわしだってこうなるわい!!」

「はぁ?!  はぁ?!  知ったことかよ干物!!  もっかい調べろ!!  勇者って言え!!」

「勇者じゃと!!  貴様なんぞ勇者の爪の垢にもなれん。うんこじゃ。うんこ。」


 不毛な言い合いが続く。
 騒がしさに場内があわただしくなりザワザワし始める。
 騒ぎを聞きつけ一人の冒険者らしき男性がアレンがいる部屋に入ってきた。


「何の騒ぎです!?」


 そこに入ってきたのは金髪の恐ろしく顔の整った美男子。
 銀の重鎧に使い込まれた騎士剣。ふとみただけで間違いなく高ランクの冒険者であることはアレンでも分かった。


「はう!!  クラウス様!!!」


 先ほどまでアレンと髪のつかみ合いをしていた老婆が急にしおらしくなりそわそわしだした。


「きゅらうす様がなぜぇ?? ここにぃ??」


 乙女の声を出す老婆。
 その態度は誰しもが苛立つ。


「おい干物!!  てめぇなんだその話し方は!!  俺の時と全然違うじゃねぇか!!」

「こんな臭い汚物がいる部屋で申し訳ありません。
 すぐに掃除しますので。」


 そういうと老婆はしっしっとアレンに対して本当に汚物でも見るような目で鼻をつまみながら手払いをした。
 アレンがさらに吠えようとしたとき、いい加減にという顔でクラウスが間に入った。


「こらやめなさい!!  カレン!!」

「はふぅわううう!!!」


 カレンという老婆は名前を呼ばれ気持ちの悪い声を出す。
 アレンもおえっというリアクションをする。


「君も!いったい何があったんだ。」


 間に入ったクラウスがきつく二人に問い詰める。
 すると強い口調によほど傷ついたのか


「クラウス様ぁぁぁ!!!」


 と体をクネクネさせながらクラウスに泣きついてしまった。
 アレンはおえっと体が拒否反応を示したことに気づいたが冷静になり事情を話し始めた。

 お互いのことを悪く言うあまりなかなか話は進まなかったがそこは
 クラウスがかいつまんでいきやっとこさ話の全容が見えてきたようだ。


「つまりこうだねアレン君はカレンの占った結果に納得がいかない。」


 クラウスの後ろで干物がカレンという名前に気持ち悪い声を出す。


「納得がいかないわけじゃない。ただこれは俺にとって人生を左右する話なんだ。
 しっかり調べてほしい。」


 クラウスうなずくと腰に手を当て干物を見る。


「カレンはかねてから仕事に疲れていて適当に占ったところはあるんだね。」

「そ、それは、、、」


 うつむき少女のようなしぐさをする。


「では今この場で、僕のいる前で適性を調べたまえ。この聖騎士クラウス・ジトーの名において
 嘘偽りは許さない。アレン君もどんな結果になっても納得できるね。」

「あぁ、冒険者に誓って。」

「いい答えだ。」


 流れで承諾してしまったアレンだがクラウスが聖騎士とは思いもしなかった。
 聖騎士とは職業のランクでもかなりの高ランクになる。

 各職業においてランク分けが施されていてその職業になれる難易度や強さでレアリティが降られている。
 F・E・D・C・B・A・S・SS の8種類に分かれる。



 ☆ーーーーーーーーー

 SS 勇者 賢者
 S  剣聖 聖剣鍛冶師
 A  聖騎士 盗賊王 王宮政治家
 B  大剣豪 大魔導士
 C  魔法剣士 バトルマスター 神官
 D  鍛冶師 高薬士 
 E  戦士 魔法使い 武闘家 僧侶
 F  宿屋 農民 商人 料理人

 ☆ーーーーーーーーー



 職業は未だに新種が発見されることも少なくない。
 上にまとめたものはあくまで有名な一例ということは覚えてもらたい。

 これはあくまでレアリティの話であるので純粋な強さには繋がっていないところも多々あるが
 高ランクの職業は様々なスキルを獲得している可能性も多くやはり実力者であることが大きい。

 クラウスの聖騎士という職業はAランク。
 魔法剣士の上位職。多大な剣の才に上級の魔法技術、特に回復魔法を収めている一部のものがなれる職業であり
 3つや4つの私兵団が束になってかかっても撃退してしまうような実力の持ち主だ。

 それに聖騎士というのは人としての内面も査定の項目に入ることから善悪の判断ができる人間でないとなれない職業でもある。

 それにこのルックス。
 いわゆる出木杉君タイプだと思われる、

 そんなクラウスに言われしぶしぶであるがカレンが水晶に力を籠めだす。


「空は赤、大地に芽吹き、風に移ろい、雨に流れる。
 大地に御心よ、この少年の真の姿を映したもれー」


 水晶に両手をかざしなでるように掌を動かす。
 水晶が淡い光を伴いだす。

 さっきと全然違うじゃねぇーか!!!
 そう思ったがその気持ちもすぐに消えた。
 突然アレンの体が光だし暖かい青い光に包まれている。

 これからの冒険を祝福するかのような強く優しい光に。
 光は隅々までアレンを調べるかのように全身を巡り消えていった。


「終わり?、、、結果は?!」


 アレンは口を開いたままポカンとしてしまっている。
 カレンの指が光り、紙に文字を記していく。


「ほれ、、これじゃ。」


 指の光が消えまだ暖かい紙をアレンにポイっと渡す。

 アレンはその紙に飛びつき食い入るような眼差しで紙を見つめた。


「ついに俺も冒険者かぁー!!!俺のステータスはいくらだ?!なれる職業は?!」


 しかし覗いたアレンは顎が取れてしまったんではないかというくらい口をあんぐり開けて固まってしまった。



 ☆ーーーーーーーーー

 アレン
 職業 : 田舎者

 ◆ステータス

 Lv.1

 力    1
 体力   1
 防御   1
 素早さ  1
 魔力   1
 魔法防御 1

 ◆スキル  

 なし

 ◆ユニークスキル
 ・絶対者への資格
 能力:レベルアップにより自身のステータスが上がることはない。



 ☆ーーーーーーーーーー




「が、がが、、が、ああ、が、、」


 言葉が出ないアレンにカレンは


「そら見たことか!!この仕事を何年やってると思っているんじゃ。占わんでもお前みたいなやつの適性は読み取れるんじゃ!!」


 恐ろしいステータスにクラウスも苦笑いを浮かべる。

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