めっちゃ武道家!!!

なか

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超名門!! 伊勢魁皇高校 超特進科!!!

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 これはある、本当にただの努力だけが取り柄のような
あまりに普通の世界に生まれてしまったために
変人と呼ばれることになった......いや.......ただの変人の事をこれは本当に
不覚なんですが......好きになってしまった私の物語である。





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 初めに説明しておきたいんだけど本当に不覚という以外に説明しようがないこの想い。
どこが好きなのかと言われればどこも好きじゃないし、
なんだったらできるだけ関わりたくないし、タイプじゃないし、暑苦しいし、バカだし、ほんとバカだし、、、


 伝わってない可能性があるからもう一度言うけどほんとバカなの。
 果てしなく。


 まだ見てないから言い過ぎだって思うのよ。
 本当に見たら信じられないって思うから。


 違うから!! 期待させようとしてないから!!  本当に一目でバカってわかるから!!
 やばいんだからあいつ。


 じゃあなんで好きになってしまったかって事でしょ。
 それを今から話そうと思ってるの!!


 えーと、改めまして、、、とりあえず事の顛末は話そうと思ってるけど、初めに行っとくけど理由なんて本当になにもないし何がいいのか私にもわからない。でも気づいたら私は。
 その思いが嫌で嫌で。
何とかしたくて一人で葛藤してたけどもう限界なの。
このままじゃ気持ち伝えちゃいそうで。


 伝えればいいじゃんって簡単に言うけどね。
私は本当に嫌なの!! えっ!? 好きなのか嫌いなのかどっちだって......だから好きって言ってるじゃん!!
 もう見ればわかるわよ。そいつを。ほんとにキモいんだから。
だから好きだから困ってんの!! もういい!! 見ればわかるから。
 近くにいるのかって。いるわよ。あんた達も気づいてるんでしょ?


 そう......今もわけわからない事やってるあの目立つバカに。
 そうでしょ。みんな初めて見た時そう言うわ。私も初めて見たときそう思ったもん。わかるわ。あいつ......


 めっちゃ武道家でしょ。そうなの、あいつ......めっちゃ武道家なの。





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 つまらないわけではないがなんでかめんどくさい学校。
 友達がいるから通ってるだけでそうじゃなかったらこんなところ続いていたかどうか。
 そう思いながら学校に通う人は多いと思う。


 でも私が通うこの学校はこの街じゃあ超がつくほど進学校として名高い我が学校。


 そのなかでも私が通っているのは将来 医者や弁護士なんて当たり前、政治家や官僚なんのその、新しい公式や物理法則を発見しまくっている化け物学者を多く誕生させている日本最難関のモンスターカレッジ。
 その名も、"伊勢魁皇いせかいおう高等学校こうとうがっこう  超特進科ちょうとくしんか"
 普通科でもその先の進路は国公立なんて当たり前、東大阪大京大、、、、アメリカイギリスドイツフランス、、、、、、名だたる名門に必ず魁皇ありと言われた我が学校。
 学力は他の学校から一つも二つも抜き出ている。


 なら私も超ガリ勉なのかといえば、半分正解で半分は不正解。


 かつては私も青春から何からをすべて勉強に捧げた身である。
 狂信するように過去問を崇め、あらゆる勉強法をわが身で実験を重ねたマッドサイエンティストである。


 そんな私もこの学校に入学してすぐに大きな挫折を味わうことになる。


 その理由は至極簡単。みんな頭が良すぎるの点に尽きる。
 努力でここまで這い上がってきた雑草の私からすれば一凛1万円で取引される希少なバラ達の前に己の姿を恥じ、美しく育とうとしていた心を折られてしまったのだ。
 それ以来、私はこの学校でギャルをやっている。


 なんでいきなりギャル? と思うかもしれないが以外にこの学校にギャルは少なくない。
 みんなそれぞれの理由で青春を勉強にささげてきたわけですが同じ挫折を味わう子が後を絶たない。


 特に女の子は今まで抑えられた欲求が爆発しこうしてギャルになってしまうというわけ。
 わかるこの気持ち? 男にはわかんないよね。
 とまぁそんなわけさ。

 で今こうして、、、、


真戸 黒絵まど くろえ! 真戸 黒絵まど くろえ!! おい聞いているのか!?」

「へっ? なに?」

「なにとはなんだばかもん!! 点呼中だ!!」

「あっ、すいません。真戸います。」


 ギャルとはいっても不良じゃない。
 ギャルの定義とは何かといわれるとだけど私はただ今まで我慢してたお化粧とかオシャレとかそういう方向に走ってしまっただけだ。
 他の人たちもそうだと思う。

 だからそういう人間たちは人をいじめたりしない。
 いじめるのはいつだって。


「まったく......これだから落第組らくだいぐみは。お前みたいな人間はこの先、人様に迷惑しかけんのだからせめていう事だけはおとなしく聞いておけばいいんだ。本当にお前みたいな......。」


 落第組......それは私みたいに勉強から離れた生徒の事。
 世間的に退学にはできないので惰性で通っている生徒と勉強を頑張っている生徒を分けるためにこの落第組という呼び方をしてる。
 そしてその呼び方を率先して使っているのがこの髭もじゃの教師、蛮東ばんどう先生。通称 蛮族ばんぞくって呼ばれてる。

「......してあるから、お前みたいなやつは来年まで待たなくてもすぐに自主退学という形をとってくれてもいいんだぞ。えぇ? 聞いてるのか!!」

「聞いてます。すいませんでした。以後気を付けます。」


 冷淡れいたんに棒読みで返す私。
 私たち落第組に反抗という文字はない。
 それはたちまちまわりの落第組も巻込んでの退学問題になってくる。


 あいつらは一刻いっこくも早く私たちをここから追い出したいのだ。
 つまらない学校に来たものだ。
 こんなに勉強してきたのに高卒までもたどり着けないなんて。
 世間はつらいよ。


 ではなぜこんな学校に今だ通っているのか。
 転校なりなんなりととれる行動はたくさんあるのに。
 それはもちろん友達もいるからだけどもう一つ......


「ちっ!! まぁいい。点呼を続けるぞ!! 武藤むとう! 武藤 家継むとう いえつぐ!!」


 ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!!!!


「なぁ武藤ぉ~いつもいつも頼むよぉ~。返事してくれよ~。」


 ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!ボッ!!!!!


 今この話を聞いてる人は何が何だかわかんないよね。
 まぁ私たちにとってはいつもの光景なんだけど初めて見た時はびっくりしたよね。



 ボボボボボボボボボボボボボボ!!!!!!!!!




 彼の名前は武藤 家継むとう いえつぐ
 筋骨隆々きんこつりゅうりゅう、顔もごつくて身長は190㎝くらいあるんじゃないかな? それだけならいいものの髪型がものすごいモヒカン。
 普通のモヒカンじゃないの。ものすごいの。服も旅装束みたいな布の服を着てるんだけどほぼ半裸。
 そんな姿を見て周りの人は彼をこう呼ぶの。


 ハッサン。



 ちなみに今もぼぼぼぼ聞こえてくるのはあれね。百裂拳ひゃくれつけんっていうのかな? 高速でパンチを繰り出してる。手が無数に見えてその時の風斬り音があの音っていうわけ。
 てか風圧で前の席の山本君の眼鏡やら髪やらがえらいことになってる。
 ちょっと笑える。


 一応制服はあるが勉強さえできればすべて許されるこの学校では私服もOK。
 テスト第一主義。
 この学校は努力を強要しない。
 退学もなければ停学もない。


 外で他校と警察沙汰になっても、親がヤクザでも、凶悪犯罪者でも関係ない。
 テストで点を取れるものが正義。


 1点のために友人を捨てろ。
 1点のために親を捨てろ。
 1点のために自分を捨てろ。
 テストの1点は人生より比重がある。


 そんな学校の風習になんとかついていこうと私みたいな努力で切り抜けてきた者は夜も寝ないで勉強するんだけど結局、昼間の授業で集中力を欠いてまた夜に取り戻そうと勉強する。
 そんな事をしても成績は上位勢はおろか下から数えた方が早いくらいの順位になり見事落第組へ。勉強もバカらしくなってギャルになるって感じ。


 男はオタクになったりする。ヤンキーになったところでこの学校はテスト至上主義だからテストの点数がいい奴には逆らえない。
 パシリに使われていじめられて、学校辞めるのがオチ。
 そういう所では女も変わらないんだけど女の場合はもっと陰険で直接干渉はしないけど、話すとバカがうつるとで無視な流れになるのが主流。
 それはそれで助かっているんだけどね。


 おっとっと。話は戻るけど今も前の席の山本君を風圧でえらいことにしている武藤君 改め ハッサンはあの通り見た目もそうだが心の奥底からめっちゃ武道家なのである。
 そもそもここは心底のガリ勉か本当に頭のいい奴(勉強しなくても授業を受けているだけで頭のいい奴)しか存在しない超がいくつあっても足りないエリート進学校。
 あの”伊勢魁皇いせかいおう高等学校こうとうがっこう 超特進化ちょうとくしんか”なのである。そんな場所でなぜ賢さが極端に低い武道家が存在できているのかというと、、、彼はめちゃめちゃ頭がいいのである。


 入学以来、学年で常にトップの座に君臨しているのは紛れもなくハッサンである。
 他の者は死に物狂いで勉強しているにもかかわらずあのふざけた態度。
 いやでも目についてしまう。
 私も勉強していた時はああいう努力しなくてもという奴が憎くて仕方なかった。
 今はそんな感情さえなくしてしまったけどね。


 とりわけ彼は勉強には全く興味がないみたい。
 それは私からも痛いほど伝わる。
 それどころか彼は将来の官僚や政治家、科学者や発明者のどの分野も興味がないだろう。
 彼はこの世界に興味がないのだ。


 じゃあなぜこの学校に来たのか? ということになるのだろうが焦るな諸君。
 それは焦らなくてもすぐにわかる事なのだよ。......


 ......ごほん。(照) えーっと、まぁ見てればわかるって話。
 ほら、始まるよ。




「武藤ぉ~ 頼むから返事してくれよ。」

 ボボボボボボボボボ!!!!!!!

「そのボボボボやめてくれよ。いつもなんで出席の時それやるんだよ。音がうるさくてみんなの声が聞こえないだろぉ~。」




 おい。蛮族。私の時と対応違うくないか?
 あいかわらず前の山本君にうまく当てないギリギリの感覚で豪速の爆裂拳ばくれつけんをお見舞いしている。
 あれに何の意味があるのか私にはわからないがいつもやってる。



 ピタッ!! 突然いくつもに見えていたハッサンの腕が止まった。
 これもいつもの事。次言う言葉もね。



「さぁ先生。”修行”を始めよう。」

「武藤......。”授業”な。」

「あぁ先生。”修行”だろ。今はまだ基礎の基礎だからな。何の意味があるのかわからない説明が多いがチュートリアルだと思って聞いているぞ。」

「俺の授業が説明って......チュートなんだ? よくわからんが頼むから授業の邪魔はしないでくれ。」

「先生、チュートリアルだ。知らないのか? チュートリアルっていうのはだな。」

「いやいやもういい!! 大丈夫だわかっている。チュートリアルだったな。先生はわかってる。だからやめてくれ。大丈夫だ。」



 このやり取り毎日やってるからね。マジ笑えるでしょ。
 彼は勘違いしてこの学校に入ってきた。そしてその勘違いは今も続いている。



「やっぱり最高だな。毎日学校で”修行”ができるなんて。やっぱりこの学校にしてよかった。”異世界王いせかいおう高校”にしてな。なぁ先生!!」

「わかった武藤。声が大きい。あと学校名の切るところがおかしい。”伊勢いせ 魁皇かいおう 高校”だからな。いつも言ってるがここはお前の思ってるような場所じゃないんだぞ。ここは現実世界だ。わかるか? 伊勢魁 皇 高校"だとおかしいだろ。」



 こんなやり取りが続きだいたい、



「先生早く授業を始めてください。」


 他の生徒から注意が入りやむなく蛮族も授業に入る。これが一連の流れ。そしてハッサンは授業が始めるとまたあのボボボボを始める。
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