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episode:3
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「嫉妬…なんて素敵な響きなのだ。」
普段は険しい表情をしている男子高校生が現在は口元が緩んでいる。
想いを寄せている幼馴染が登校時にかわいい嫉妬をした。
彼の頭の中はフワフワとしていた。
生まれた時から一緒に生活をしていた彼女に対していつから特別な感情を持っていたか、
そんなことももう思い出せない年齢になっていた。
いつでも彼女の事を考えて、周囲には最新の注意をしてきた。
彼女に近づく男子は排除をして守っていたのであった。
(やっと俺の想いがとどいた…。)
そう彼は確信していた。
そんなかなり空回りをしている男子高校生の姿がそこにはあった。
彼の名前は甲賀夢統という。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「嫉妬…なんて恐ろしい響きなの…。」
普段はボーっと外を眺めている女子高校生が珍しく険しい表情をしていた。
だいぶ過保護な幼馴染が登校時に恐ろしい勘違いをした。
彼女の頭の中には“嫉妬”という単語がぐるぐると回っていた。
幼馴染の彼は嫉妬の意味を知っているのだろうか。
そんな疑問が彼女の頭の中に浮かんだ。
過保護な幼馴染は昔から、女性という生き物からの人気が強烈であった。
そのため彼女はその女性たちから、なるべく逃げるように生活をしていた。
(人の気もしらないで…変な事ばっかり言うのだから…。)
彼女は重いため息をついた。
そんな暗い顔をした女子高校生の姿がそこにはあった。
彼女の名前は、花園伊織という。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あれ~伊織ったら朝から暗い顔をしてる~。」
私の異変に気が付いた、隣の席の親友が声をかけてくる。
「あ…花梨ちゃん…おはよう。」
「なにか悩みがあるようだね~!まぁだいたい想像はつくけど。」
どうせ王子が関係してるんでしょ?
そういいながら我が親友の花梨ちゃんは、ニヤニヤと笑っていた。
「他人事だからって面白がってない?」
花梨ちゃんとは小学校から一緒であるため、だいたいの事情は知られていた。
「だって~2人を見てると飽きないんだもん。」
「なんでゆーくんは私にだけ厳しいのかな…。」
「そんなの…」
そう続けようとした花梨は慌てて言葉を濁す。
「伊織が危なっかしいからじゃないかな?」
「ゆーくんは私を何歳だと思ってるのかな…。まるで、母親だよ。」
“プッ”
(王子…母親って…ドンマイ!!今日からマザー王子って呼ぼうかな…。)
花梨は、心で大爆笑をしていた。
「まぁ、そんなのは昔からじゃん!!」
「今日なんて嫉妬とか言い始めたのよ?」
ついにおかしくなった。と伊織は花梨に今朝の話を説明する。
「…王子の空回りが…つらい!!」
話が終わるころには花梨は実際に大爆笑をしていた。
(ほんとに王子って昔から…報われない!!)
「ゆーくんもさ、人の気も知らないでノー天気だよね。ファンの子に聞かれたらどうするつもりなんだろ…」
このご時世は、誰がどこで見ているか分からないものである。
すぐに噂は広がり、“ゆーくんに付きまとっている女”として
女達の標的になるのはいつも私なんだから…。
「私はいつでも伊織の味方だよ!!」
「爆笑しながら言われても、全然説得力がないよ。」
そうして私は、再び重いため息をつくのであった。
女の嫉妬とはそれこそ怖いものである。
とある日は下駄箱から上履きが消えた事もあり、
またとある日には、変な手紙が送り付けられた事もありと。
どれもこれもゆーくん目当ての女性からであった。
(まぁ、いつも数日でパッタリと止まるんだけどね…。)
そうして嫉妬とは、伊織に対してマイナスでしかなかったのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
“ブー”
朝から時間は流れて…現在は楽しい楽しい昼休み。
伊織の携帯に一通のメールが届いていた。
『ごめん。今日は一緒に帰れない。』
それは、いつも一緒に帰っている、魔王様からのメールであった。
「?!」
伊織はメールの文章を何度も見返した。
「花梨ちゃん、今日…夕方暇かな?」
「私はいつでも暇だけど…。」
「帰りにどこかよって帰ろう!!」
「私はいいけど、伊織の方は王子大丈夫なの?」
ふふふ…聞いて驚け…
そういうと伊織はドヤ顔で携帯の画面を花梨に見せた。
「奇跡だよ…神様は私の味方みたい!!」
「うそ…王子が伊織を一人で帰らすなんて…信じられない…。」
「一度やってみたかったんだよ~!放課後の買い物!!」
伊織はノー天気に喜んでいたのであった。
「けど、珍しいね~。今日は相当な用事があるのね…。」
「ん~なんかお父さんに呼ばれてるらしい!ご飯に行くんだって!!」
「へぇ~…今までそんなことなかったのにね。」
「なんだっていいよ~今日はいっぱい遊ぶんだから!!」
伊織は頭の中が夕方の予定でいっぱいになっていた。
このとき伊織は浮かれていたのであった…
魔王の過保護力と
魔王に対しての気持ちに…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「♪~♪~♪」
『若、お勤めお疲れ様です。』
「あぁ、ヤス少し今日の放課後に頼みたい事がある。」
伊織は浮かれて考えてもしていなかった、
魔王ではない他が迎えに来るなんてことを。
そして、本日2人にとって事件が起こるのであった。
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