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64話

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私はあまり気が乗らないがディアス様の元に歩いていった。ルイスを見ると少し落ち着いたらしく目を赤くして、鼻をかんでいた。

「ルイス大丈夫?なんで泣いていたのよ」

私が声をかけたらルイスがまた目に涙を浮かべ、理由を話した。

「リリー様~っ!ハリスもムスカも酷いんですよ?!三十分経っても戻ってこないご主人を呼んで来いって、俺に頼んできたんです。それでここまで来てみたら結界が強力に張ってあって、解除が無理だって言ったらどうにかして解除しろって、出来なきゃ書類整理の手伝いだって言うんですよ!!」

・・・書類整理くらい別に苦じゃないと思うのだけど、ルイスには嫌な事なのかしら?

「・・・ルイス、書類整理が泣くほど嫌いなの?」

「書類整理の範囲が問題なんです。・・・この城の部署全部の書類整理をしなきゃいけないんです」

書類整理の範囲が鬼畜過ぎよ?!あの二人はルイスに恨みでもあるのかしら・・・。

「リリー、あの二人は別にルイスを嫌っている訳じゃないんだ。誰に対しても罰ゲーム的なモノをしていて、雑用をさせているんだ」

ディアス様が答えてくれた内容にピンと来た。そうか、広い城の中で人が足らなく仕事が滞っている部署に罰ゲームとして、人を派遣しているのね!

「と言う事で、ルイスは結界を解除出来ずにご主人様が解除したので、罰ゲーム決定です。おめでとうございます」

「あ、ハリス・・・いつの間に来たの?」

「少し前からいましたよ」

部屋の扉からハリスがニヤリと笑い来た。物凄く悪役っぽいオーラが見えるわ!

「ヒッ!?・・・せめて、せめて道連れにクロム兄さんを連れて行って良いですか!?」

「なっ?!ルイス、テメェ何言ってやがる!俺はリリーの護衛が・・・」

ハリスの悪役オーラに気圧されルイスがクロムを道連れにしようとしている。

「良いでしょう。二人なら作業がはかどるでしょうし許可します。リリー様の護衛は・・・ああ、ちょうど良い人がいたのでその方にお願いしますからご安心下さい」

「そ、そんなっ!?・・・リリーは俺が護衛の方が良いよな?」

ハリスの容赦無い発言にクロムが手と膝を着き項垂うなだれ、私を見て助けを求めて来たけど・・・うーん。

「クロム、ごめんね?ルイスだけじゃ可哀想だから一緒に書類整理お願いね!」

「・・・くっ、ルイス!早く書類を片付けて終わらせるぞ!!」

「えっ、今から?!兄さん、ちょっと待って!ハリスに書類整理に行く部署のリストを貰ってからだよ!・・・って、もういない」

クロムは最後まで聞かずに出て行ってしまった。クロムが急いで片付けようとしているのって毎日のおやつのスコーンが食べられないからよね・・・。

「ルイス、これがリストです。では、頼みましたよ?」

「うげっ、かなり有るな・・・。はぁ、じゃ行ってきます!」

スッと渡されたリストをルイスが受け取りクロムを追いかけて行った。

「では、ご主人様はお仕事に戻りましょうか。今日の分がまだ終わっていませんので早く終わらせて下さい」

くるりと反転し、ディアス様に言った。そうね、長く休憩してしまったから今日の分がまだ残っているわよね。

「チッ、分かっている。リリー執務室に行こう?勉強は俺の執務室でも出来るだろうし」

ディアス様ったら、しょうがないですわね。夕食の時間まで時間があるし、執務室で勉強をしましょうか。

「ええ、分かりましたわ。けれど自室に戻って勉強用の本を持って来ますので、先に執務室へ行っていて下さい」

「ああ、先に行って仕事をしていよう。リリー、待っているからね?」

そう言うとヒュンッと転移して行った。私も早く戻って執務室に向かわないとね。

「ハリス、私達も行くわよ」

「途中までご一緒します。あと、後ほど臨時の護衛を連れて紹介します」

「・・・護衛は別に良いのに。私、自分の事くらい守れるわよ?ワイトも今はいるし、ね?」

「キュ?」

足もとでモフモフしていたワイトを抱きあげハリスに言った。

「それでも万が一がありますので護衛は付けさせていただきます」

「はぁ、分かったわ。じゃぁ、後で紹介お願いね?」

「かしこまりました」

臨時の護衛か・・・、変な人じゃ無いといいわね。
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