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43話

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気づいたらお昼ご飯を食べ損なったリリーです。今の時刻は15時でもうオヤツの時間・・・お腹が空いて力が出ない。

ディアス様はハリスに山積みにされた書類を片付けていて真剣だ。急いで戻ったが執務机に山積みで書類を用意して黒い笑顔のハリスが待っていたから逃げられないわと思った。

「ご主人様はリリー様との時間を沢山取りたいらしいので前倒しの書類も用意いたしました。どうぞこちらを処理して下さいませ。終われば明日一日お暇が出来ますよ」

そんな事をハリスが言ったからディアス様は真剣に書類を処理している。

「・・・お腹空いた」

部屋にはディアス様と私しかいない。ハリスは新しい書類を取りに行ってしまった。ディアス様、気づいて無いかもしれないけどハリスが追加で書類を足しているんですよ?

集中したら周りが見えないタイプね、きっと!終わりの見えない書類と戦っているから私のことも放置されている。

私はもうお腹と背中がくっつきそうなくらい空腹だった。私はそろりと部屋を出て食べ物を探しに出ることにした!



城の中をぐるぐる探検しながら食べ物を探していたら見つけた!!

「食堂だ!やったーっ!!食べ物あるかな?」

私は嬉しくなり食堂の扉をノックした。

コンコン!

・・・返事が無い?誰かいそうな気配がするんだけどどうしたのかしら。

「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんか?」

私は声をかけてから扉を開け中を覗いた。

「・・・あの人影はクロム?」

広い食堂の奥にあるテーブルで寝ているクロムを見つけた。近づいてみるとテーブルの上には食べかけのパンや果物が置いてあった。

食べてる途中で寝るなんて子供みたいね。クロムの手にはパンが握られていた。

「おーい、クロム?食事の途中で寝たらパンが固くなりますわよ~!」

私が耳元で囁くとガバッと起きた。

「ハッ?!・・・何でお前がここにいる?」

クロムの寝起きは不機嫌らしい。私の顔をみた途端ジト目でみられてしまった。

「私はその・・・お腹が空いて、食べ物を探しに食堂へ来たのよ」

何だか自分で言ってて悲しくなってきたわ・・・。

「お前は馬鹿か?大馬鹿か?腹が減ったのならディアスに言えば良いだろ?それか呼び鈴を使えばハリスが来るだろうが!この馬鹿が!!」

めちゃくちゃ怒ってるわ!そっか、呼び鈴があったわね。あー、そこまで考えつかなかった。

「ご、ごめんなさい。お腹が空きすぎてそこまで頭が回らなかったのよ・・・」

「くそッ、ここの食いもん食ったら直ぐに戻れよ?ディアスがお前がいない事に気づいたら騒ぐだろうからな」

クロムがテーブルに置いてある食べ物を私の方に寄せてきた。食べ物、分けてくれるなんて優しいわね。

「ありがとう!もうお腹が空きすぎて倒れるかと思ったわ・・・いただきますっ!!」

私は手元のパンを頬張り噛み締めた。あぁ、空腹は最高のスパイスって言うけど本当、美味しいわー!!

「はぁ、番いを空腹にさせとくなんてディアスは何やってんだか・・・」

クロムが頬杖をついて呆れていた。

「ディアス様なら、ハリスの書類攻撃の罠にハマって抜けられなくなっているわよ?」

「はぁ?書類攻撃の罠ってなんだ?」

「書類の山を処理している所にさり気なく追加で書類の山を置いて、終わらせなくする罠ですわ!なのでディアス様は気づかずに書類を処理してます」

「ハリスはえげつない事をするな・・・。しかし、ディアスの奴は集中し過ぎると周りが見えないからそこを突いた良い罠だ」

クロムがハリスの罠を褒めた。ハリスはディアス様の事を分かっているから書類をどんどん追加出来るのね。

「もぐもぐ・・・ふぅ、お腹いっぱいになったわ!食べ物を分けてくれてありがとう、助かったわ!」

一時はどうなるかと思ったがクロムのおかげで助かった。私はクロムにお礼を言い、ディアス様の元に戻ることにした。

「じゃあ、私は戻るわね。・・・あら、クロムどうしたの?」

私が食堂を出ようとしたら一緒について来た。

「お前だけで行かせたら心配だから俺も行く。ほら、行くぞ」

「あ、待ってよ!」

そう言うとスタスタとクロムは歩き始めた。私は置いていかれないようについて行った。
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