上 下
17 / 85

17話

しおりを挟む
さて、朝ご飯も無事食べ終わり、私はディアス様と訓練場へやって来ました。

そうです・・・お父様とディアス様の試合の時間です。

「ディアス様、私は見学席で見守っています!・・・あの、殺さない程度でお願いしますね?大怪我をすると部下に迷惑をかけてしまいますので」

「ああ、怪我をしないよう見学席で観ていてくれ。お義父上との試合は真剣勝負だがリリーが悲しむのはみたくない・・・俺は手加減は苦手なんだ」

ええ、身をもって知っておりますとも!あの時は死ぬかと思いました・・・。

「手加減が苦手なのは知っています。なので出来る限りでいいのでお願いしますわ」

「分かった。・・・努力する」



私はディアス様と別れて観やすい位置に移動した。

一晩経った訓練場の中は何故か見学者が沢山いた。大体は兵士達ね・・・あら?メイド達も数人見学しているのは何故ですの。

「ライラ、いる?」

「はい、こちらにいますよ」

多分いるだろうなと思い声をかけたらにゅっ、とライラが背後から現れた。その出方は怖いから止めて欲しいわ!

「ねぇ、兵士達は分かるけど何故メイドまで見学に来ているのかしら?」

「ああ、あのメイド達は特殊訓練を受けてるメイド達なのですよ。私もそうですが万が一領主様の屋敷に曲者なんかが侵入した場合、迅速に始末出来るように訓練しているメイドが何名かいます」

「え、それってメイドの仕事じゃ無くて見張りをしている兵士の仕事じゃないの?」

兵士が沢山いるのになんでメイドを変な方向に育ててるのかしら。

「それは、メイドだと油断して曲者を仕留めるのが簡単だから。と、奥様が言っておりました。あ、もちろん普通のメイドもいるので安心して下さい」

・・・なるほど、お母様の案だったのね。領主邸の守りはモンスターとの戦闘もあって国王様のいる城より堅いわ。だから小さなネズミも入れない。

おそらくお母様の思いつきでメイド達を鍛えているわね。

「ライラ?あまりにもお母様に無茶振りをされたら言いなさい。私がお母様に抗議するから」

「ありがとうございます。しかし、私も含め皆楽しく訓練しておりますので心配せずとも大丈夫です。奥様も死なない程度で内容を組んでいるので大丈夫です!」

それは大丈夫と言わない気がするのだけれど気のせいかしら。まぁ、今のところ元気みたいだし何かあったらお母様に言いましょう。

「あ、リリー様!そろそろ始まるみたいですよ」

ライラが訓練場に目をやり言った。

ディアス様とお父様が真ん中に立って試合の準備を始めた。二人はお互いの武器の確認をして不備がないかチェックして武器を構える。


「龍王様、全力でお相手願いたい。私の力では龍王様に敵わない、だが私の力がどこまで通用するか試したい!そして・・・私を倒したら娘との結婚を許そう!!」

お父様がディアス様に宣言した。お願いだからお父様が大怪我しませんように。

「もちろんだ!お義父上の相手として恥じぬよう全力でお相手するつもりだ。そしてお義父上を倒してリリーと結婚する!!」

・・・ディアス様、さっき言ったこと忘れていませんよね?全力で、とか言葉のあやですよね??心配になって来ましたわ。

「「行くぞっ!!」」

二人の戦いが始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。 目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

処理中です...