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9話

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王都にあるこのハイドガル学園から私の領地まで馬車で一ヶ月半かかる。私はのんびりと馬車で行くのかと思っていたが違ったらしい・・・。

「わぁ、空が綺麗ですわね・・・」

今、私は空の上にいます。ディアス様が俺に乗ればすぐに行けるなんて言って私を引っ掴んで背中に乗せて龍の姿で飛び立ちやがりました。心の準備と自分の荷物を纏める時間くらい欲しいものですわ・・・。

「今日は雲も無く見晴らしが良いだろう?この分ならばあと三時間くらいで着く予定だ。落ちないようにしっかり掴まっているんだぞ?」

「ありがとうございます。ディアス様が私の周りに結界を展開してくださったので落ちませんわ。所で・・・ルイスは何故、ディアス様の尻尾に括りつけられているのですか?」

ディアス様達龍人は、モンスターのドラゴンとは違い胴が長い龍だ。その尻尾に何故かルイスが紐で括ってある。

「ルイスは俺のリリーを呼び捨てにして気やすく接していたからアレは罰だ。本当は腕の一本や二本、三本千切りたいが我慢した」

「ディアス様、流石に腕は三本有りませんわ。それにルイスはとても話しやすくて友達みたいな感じでしたし、気やすい口調も楽しかったですわ。だから罰はそれぐらいにしてあげられませんか?」

「むぅ、リリーがそう言うならしょうがない・・・ルイス!今回は許すが次は無いからな!」

そう言うとポイっと尻尾を振って、ルイスを私の後ろに飛ばした。

「ご主人ー!飛ばし方雑ですよー!?リリー様の周りだけ結界出して、俺のところは吹きさらしで死ぬかと思いましたよ!」

後ろを見るとルイスは震えながら抗議していた。やっぱり高高度でかなりの速度出しているから寒いのかしら?

「ルイス大丈夫?震えてるわよ?」

「リリー様大丈夫ですよー、寒いだけなんですぐおさまりますよー」

「リリー、あんまりルイスを心配しないで?俺がまた嫉妬して尻尾に括りつけたくなるから」

ディアス様から不機嫌なオーラが出てるわ・・・。あまり不機嫌にさせるとルイスが可哀想ね。

「分かりましたわ。ディアス様、あまり不機嫌にならないでほしいのですがどうしたら良くなりますか?」

私は自分が座っている辺りのたてがみを撫でてみた。思ったよりも柔らかくてふわふわしてる。

「ふふ、リリーが撫でてくれたから機嫌直ったよ。いっぱい触って?」

「いっぱい触って良いのですか?」

さっきよりもモフモフしてみる。気持ちいい、抱きついてみようかしら・・・。

「えいっ!」

「リ、リリー?それはちょっと理性が持たなくなるからまって?!」

抱きついた瞬間ビクッとなった。
ディアス様、自分からは抱きしめるのに私からだと恥ずかしがるなんて・・・可愛すぎるわ!!もう少しだけ抱きついてようかしら?

「お願いリリー、本当に理性が・・・このまま俺の国に連れ帰って部屋から出さないよ?それでも良い?」

「それは嫌ですわ!離れるので国に連れ帰るのは待ってください!さぁ私の両親の所まで行きましょうね!?」

抱きついただけで理性が持た無いなんて、私から行動したら危ないわ!私から抱きついたりするのは最終手段にしましょう。じゃないと身が持たないわ・・・。

「分かってくれて良かったよ。さあ、もう少しで着くから大人しく景色を眺めててくれ」

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