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ミリアVSクロエ

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「狩技…7'sマシンガン…!」

異様な力が籠った、クロエの折り畳まれた右足が、開かれた刹那、ミリアの盾に7発の蹴りが叩き込まれる

恐らく動体視力が向上している俺以外に、盾に7発の蹴りが叩き込まれたことは見えてはいないだろう

「………………」

「ミリア!」
「……っ!」

俺とクーデリカはミリアに駆け寄る、盾が力なくへたり込むミリアに覆いかぶさっていた

「ずびまぜん…負げてじまいまじだ…」

ボロボロと大粒の涙を零しながら、小刻みに震えている

「命の恩人のユーキさんをバカにされたのに…勝でまぜんでじだ…」

「ミリアさん…俺の為に…」

俺の為に闘ってくれたのに、情けねぇ…

「興醒めだな…皆の者!訓練の準備だ!」

俺たちを一瞥し、ひらりと体を仲間の方へ向いて歩いていってしまう

「待ってくれ」

「あ?」

首だけをこちらに向けとんでもない睨みを効かせてくる

「俺とも1戦やってほしい」

なんだろうな、人と争うのとか好きじゃないし、争いなんて起きない方がいいと思ってる平和主義な俺だけど

仲間の仇討ちをできない方が…嫌いだ…

「腑抜け面にしては威勢がいいな、いいだろう、さっきのじゃ不完全燃焼だったからな…相手をしてやろう」

俺の誘いを買って、再び対峙する

「フラン!」とだけ呼ばれた少女が、またも宣言者に抜擢された

「また私かよぉ~…それでは、クロエ対腑抜け面の模擬戦闘を行います!……始め!」

おいいぃぃぃい!あのくせっ毛失礼過ぎんだろぉ!!

「余所見をするとは余裕だなっ…!」

またも距離を詰めてくる、が、俺にはあんたのその自慢のスピードも、余裕で見えちゃうんだな~これが

打ってくる拳をすんでのところで躱す

「何っ!?」

休みなく打ち込んでくる拳を躱しながら、どんな展開が1番いいか、脳内異世界転生シュミレーションしていた

(よし、この展開に決めた)

右の拳が打ち込まれると同時にしゃがみ込み、そのまま足払いで体制を崩す

「なっ…!?」

拳を突き出した勢いも相まって、クロエは一回転して地面に叩きつけられる

「ぐぅ…!」

足払いした俺はそのまま倒れるクロエの真上へ跳躍、空中で右足を腹前に折り畳む

「まさか!あれはクロエの!?」

前のめりに驚愕するフラン

「ミリアのお返しだ!!

           狩技…7'sマシンガン…!」

折り畳まれた右足から、目にも止まらぬ7発の蹴りが放たれた

砂煙が立ち上り俺たちの姿を隠す、その間にミリアとクーデリカの元に駆け寄り、2人を抱えあげてその場を離脱

「クロエ!」

フランが駆け寄ると、クロエは無傷で横たわっていた

「やられたよ……」

当たりを見渡すと、クロエの周りに穴が7箇所空いている

「あいつ、クロエじゃなく地面に蹴りを当てて逃げたのか!?」

「逃げた…というより、見逃してもらったというのが正しいだろうな…」

してやられたと言うのに、クロエの表情は明るいものである

「あいつ、何者なんだ…?」

「わからん…いずれにしても、面白い男だ」

不気味にほくそ笑むクロエだった


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アカデミアを飛び出した俺たちは街の公園で一息ついていた

「すみません、また抱えてしまって」

露店で購入した飲み物を2人に渡しながら謝る

「いえ、おかけで助かりましたから」

顔を背けたどたどしい様子

「んー…出来れば……オレンジが…良かったかな……?」

こいつは相変わらずである

「そんなことより!何で貴方があの技使えるんですか??」

「あの技?あークロエさんの技のこと?あれはなんというか、見よう見まねというか」

頭をかきながら返答する

しかし本当に見よう見まねなのだ、ミリアとの闘いの際に見たクロエの技を、脳内でシュミレーションして、それをぶっつけ本番でかまして…

あれ?もしかしてこの脳内異世界転生シュミレーションも結構なチート性能なのでは??

「ふふふふふ」

「なんだか気持ち悪いですよ、ユーキさん」
「…割と通常運転…………」

とんでもなく失礼な発言が飛び込んできたが、気にしたら負けだ、己の新たな力の発見に喜びを隠せるものか

「ユーキさん少しよろしいでしょうか?」

浮かれる俺に、真剣な表情で割り込んできた

「どうしました?」

「私を強くしてくださいませんか」

クロエとの闘いで、何か思うことがあったのだろう、表情だけで本気であることが伝わってくる

「先ほどの闘いで、自分自身の弱さを痛感致しました…同時に、ユーキさんの強さも再認識しました」

拳を握りしめ、唇をきゅっと噛み締める

「貴方の元で特訓すれば強くなれる、そう確信しております」

「分かりました…人に教えた経験はあまりないですけど、アカデミア入学までに猛特訓しましょう!」

もちろん快諾、選択肢的にも正解だろうし、ミリアが強くなることは、今後パーティーを組んでいく上でもメリットしかない

「私も……強く…して……」
「もちろん!」

てなわけで、アカデミア入学に向け、ミリア&クーデリカの代特訓の日々が始まるのであった
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