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真っ白な天使
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【真っ白な天使】
私の大切な二羽の天使。いつも側にいてくれた。いつも微笑んでくれた、あの小さな目でにっこりと・・・
ピコちゃんはとても甘えん坊です。いつもミサキの膝の上に乗って居眠りばかりしています。
「今日は野菜畑行きたい!」ピコちゃんがミサキに言っています。全くしょうがないなぁ
ミサキもピコちゃんのお願いは断わることが出来ず、つい「うん」と言ってしまいます。
野菜畑に着くとピコちゃんは大はしゃぎでニンジンやキャベツの葉を齧り始めました。
「今日のご飯は美味しい!」とても満足そうにピョンピョン飛び跳ねています。そして、お日様も沈みかけ始めた頃ミサキは笑顔で「ピコちゃんそろそろ帰るよ」と言っています。おなかもいっぱいになり沢山遊んだ
ピコちゃんは「待って、今からお兄ちゃんのお墓にあげる分持って来るね。」そう言って、両手いっぱいのキャベツの花とニンジンを持って来ました。「エライね、ピコちゃんは
お兄ちゃんの分もちゃんと持って来るから。」「うん!だってお兄ちゃんはいつもあの空から見守ってくれているってミサキが教えてくれたもん」「そうだね。」二人は無邪気に笑いながらお家に帰って行きました・・・・・・
コジ君がお星様になって、もう六年が経とうとしています。
ピコちゃんとミサキは姉妹の様でした。いつも一緒のお布団で寝て、一緒にお風呂に入って、洋服を選ぶ時も一緒でした・・・・
でも、そんな時間は余り長く続きませんでした・・・・・
それから数ヶ月が過ぎた頃、ピコちゃんはお兄ちゃんと同じ病気に掛かってしまいました。
あんなに元気だったピコちゃんも、見る見る内に元気が無くなっていました。
ミサキは、とても心配で毎日の様にお兄ちゃんウサギのお墓に行き、「ピコちゃんを守ってあげて」と、祈っていました。
でも、一向にピコちゃんの具合は良くなりませんでした。
「早く良くなって。」ミサキはこの日も、心配そうに一緒のお布団で眠りに付きました。
その日、とても不思議な夢を見ていました。青色に透き通った雲の上で二羽のウサギ達と一緒にダンスをしている夢です。
一羽はピコちゃん、もう一羽はお兄ちゃんウサギのコジ君です。二羽のウサギはミサキに、にっこりと笑いかけながら手を振り、どこかへ行ってしまいます。「ピコちゃん!?」
ミサキは直ぐに目を覚ましました。すると、「どうしたの?」と笑顔でピコちゃんが近寄って来ます。でも、その姿は昨日までとは違い、目がとても腫れて、あけているのもやっとの様です。「おいで」ミサキは一言そう言うとピコちゃんを膝の上に乗せ、後ろからそっと抱き締めました。
「ねぇ・・もう直ぐお兄ちゃんに会えるかな?」
ミサキの目を小さな目でじぃっと見ています。
「・・・会えるよ。お兄ちゃん、きっとピコちゃんの事を待っていてくれてるから・・」
そう言ってピコちゃんを何度も何度も優しく抱き締めました。そして、ピコちゃんは幸せそうにミサキの腕の中で眠りに付いたのです・・・・
「ピコちゃん今まで本当にありがとう。」
ミサキはその日一晩中大粒の涙を流しながらピコちゃんの側をいつまでも離れませんでした・・・・・
それから、またいくつもの年月が流れました。
ミサキはあの時以来、他の動物は飼えても、ウサギだけはどうしても飼う事が出来なくなってしまいました。
また別れが来ると思うと、とても悲しい気持ちになってしまうからです。
そして、今日は七月七日、七夕です。この日ミサキは友達と七夕のお祭りに出掛けていました。
「ねぇ次どこ行く?」「カラオケ!」
「良いね。ミサキも行くでしょ?」「う~ん、今日は辞めとく。何か気が乗らないからぁ。」
そう言って先にひとりで帰り始めました。「七夕かぁ」そう言って、ふと夜空を見上げた時の事です。
そこには、もう何年も前になるけどミサキにとって一番大切で忘れる事の出来ないあの、二羽のウサギが居ました。「ピコちゃん!コジ君?」
思わず目をこらしてよく見てみます。「ミサキ、今日は私達からのプレゼントだよ。」そう言って、とても綺麗な
天の川を目の前に見せてくれたのです。
「私達本当に感謝しているよ、ミサキと過ごせた時間は短かったけど、でも教えて貰った物は言葉じゃ表せない位
沢山ある。だから、ミサキにはこれからも、もっともっと沢山のウサギを飼って欲しい。私もお兄ちゃんと楽しく
過ごしているから。」「・・・」
「ミサキ、ピコとはいつも一緒だから。幸せになって。いつまでも僕達が見守っていてあげるから。」
「ありがとう・・・本当にありがとう・・・私、二人の事、これから先もずっとずっと、忘れないよ。だって私にとって一番大切な家族だから・・・」
そう言ってもう一度夜空を見るとそこには二羽のウサギの姿はありませんでした。
それから、またいくつもの年月が流れて、ミサキはすっかり大人になりました。
今はあの時お世話になった動物病院で今度は自分が沢山の動物達の命を助ける手助けをしています。
動物との別れはとても辛いけど、その時の楽しい思い出を大切にする為にミサキはこれからも沢山のウサギ達との
触れ合いを大切にしていきます。
白い二羽の天使に見守られながら・・・・
おしまい。
私の大切な二羽の天使。いつも側にいてくれた。いつも微笑んでくれた、あの小さな目でにっこりと・・・
ピコちゃんはとても甘えん坊です。いつもミサキの膝の上に乗って居眠りばかりしています。
「今日は野菜畑行きたい!」ピコちゃんがミサキに言っています。全くしょうがないなぁ
ミサキもピコちゃんのお願いは断わることが出来ず、つい「うん」と言ってしまいます。
野菜畑に着くとピコちゃんは大はしゃぎでニンジンやキャベツの葉を齧り始めました。
「今日のご飯は美味しい!」とても満足そうにピョンピョン飛び跳ねています。そして、お日様も沈みかけ始めた頃ミサキは笑顔で「ピコちゃんそろそろ帰るよ」と言っています。おなかもいっぱいになり沢山遊んだ
ピコちゃんは「待って、今からお兄ちゃんのお墓にあげる分持って来るね。」そう言って、両手いっぱいのキャベツの花とニンジンを持って来ました。「エライね、ピコちゃんは
お兄ちゃんの分もちゃんと持って来るから。」「うん!だってお兄ちゃんはいつもあの空から見守ってくれているってミサキが教えてくれたもん」「そうだね。」二人は無邪気に笑いながらお家に帰って行きました・・・・・・
コジ君がお星様になって、もう六年が経とうとしています。
ピコちゃんとミサキは姉妹の様でした。いつも一緒のお布団で寝て、一緒にお風呂に入って、洋服を選ぶ時も一緒でした・・・・
でも、そんな時間は余り長く続きませんでした・・・・・
それから数ヶ月が過ぎた頃、ピコちゃんはお兄ちゃんと同じ病気に掛かってしまいました。
あんなに元気だったピコちゃんも、見る見る内に元気が無くなっていました。
ミサキは、とても心配で毎日の様にお兄ちゃんウサギのお墓に行き、「ピコちゃんを守ってあげて」と、祈っていました。
でも、一向にピコちゃんの具合は良くなりませんでした。
「早く良くなって。」ミサキはこの日も、心配そうに一緒のお布団で眠りに付きました。
その日、とても不思議な夢を見ていました。青色に透き通った雲の上で二羽のウサギ達と一緒にダンスをしている夢です。
一羽はピコちゃん、もう一羽はお兄ちゃんウサギのコジ君です。二羽のウサギはミサキに、にっこりと笑いかけながら手を振り、どこかへ行ってしまいます。「ピコちゃん!?」
ミサキは直ぐに目を覚ましました。すると、「どうしたの?」と笑顔でピコちゃんが近寄って来ます。でも、その姿は昨日までとは違い、目がとても腫れて、あけているのもやっとの様です。「おいで」ミサキは一言そう言うとピコちゃんを膝の上に乗せ、後ろからそっと抱き締めました。
「ねぇ・・もう直ぐお兄ちゃんに会えるかな?」
ミサキの目を小さな目でじぃっと見ています。
「・・・会えるよ。お兄ちゃん、きっとピコちゃんの事を待っていてくれてるから・・」
そう言ってピコちゃんを何度も何度も優しく抱き締めました。そして、ピコちゃんは幸せそうにミサキの腕の中で眠りに付いたのです・・・・
「ピコちゃん今まで本当にありがとう。」
ミサキはその日一晩中大粒の涙を流しながらピコちゃんの側をいつまでも離れませんでした・・・・・
それから、またいくつもの年月が流れました。
ミサキはあの時以来、他の動物は飼えても、ウサギだけはどうしても飼う事が出来なくなってしまいました。
また別れが来ると思うと、とても悲しい気持ちになってしまうからです。
そして、今日は七月七日、七夕です。この日ミサキは友達と七夕のお祭りに出掛けていました。
「ねぇ次どこ行く?」「カラオケ!」
「良いね。ミサキも行くでしょ?」「う~ん、今日は辞めとく。何か気が乗らないからぁ。」
そう言って先にひとりで帰り始めました。「七夕かぁ」そう言って、ふと夜空を見上げた時の事です。
そこには、もう何年も前になるけどミサキにとって一番大切で忘れる事の出来ないあの、二羽のウサギが居ました。「ピコちゃん!コジ君?」
思わず目をこらしてよく見てみます。「ミサキ、今日は私達からのプレゼントだよ。」そう言って、とても綺麗な
天の川を目の前に見せてくれたのです。
「私達本当に感謝しているよ、ミサキと過ごせた時間は短かったけど、でも教えて貰った物は言葉じゃ表せない位
沢山ある。だから、ミサキにはこれからも、もっともっと沢山のウサギを飼って欲しい。私もお兄ちゃんと楽しく
過ごしているから。」「・・・」
「ミサキ、ピコとはいつも一緒だから。幸せになって。いつまでも僕達が見守っていてあげるから。」
「ありがとう・・・本当にありがとう・・・私、二人の事、これから先もずっとずっと、忘れないよ。だって私にとって一番大切な家族だから・・・」
そう言ってもう一度夜空を見るとそこには二羽のウサギの姿はありませんでした。
それから、またいくつもの年月が流れて、ミサキはすっかり大人になりました。
今はあの時お世話になった動物病院で今度は自分が沢山の動物達の命を助ける手助けをしています。
動物との別れはとても辛いけど、その時の楽しい思い出を大切にする為にミサキはこれからも沢山のウサギ達との
触れ合いを大切にしていきます。
白い二羽の天使に見守られながら・・・・
おしまい。
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