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0話 災難

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───おはようございます!!今日も良い天気ですね!!主

暗く閉じこもった部屋にもう聞き慣れた酷く厚かましい声。

「それは、三年間外へ出てない僕への当て付けか」。

───はい、そうです。

青年は白く長い溜息を吐き出した。

僕の名はレクター=ルーカス。僕は……

──三年もの間、一度たりとも外へ出た事の無いキングオブ根暗ニート……ですね!!

ちがう!!僕の思考を先読みして音も葉も無い事を言うのをやめろ、電源落とすぞ。

他の奴等と一緒にするな!!僕はエリートニートだ。


・・・・

『何言ってんだ?』って?まぁまぁ落ち着けよスティーブ、話はまだ終わってない。
僕はエリートニート、株や不動産等から得る不労所得によって生計を立て家から一歩たりとも出ることなく、この生活環境を確立したエリートの中のエリートだ、pc前にブヒブヒ言いながらふてぶてしく親のスネを齧って生きてるような奴等と一緒にするな。

ここはシドニー……しかしエアーズロックもオペラハウスももハーバーブリッジだって見てやしない。何故かって?僕はこの国に為に来たからだ。

この生活を始めて三年間、僕は一度たりとも外へ出ていない。まぁ理由は色々あるし取り敢えず割愛させて貰う。

────エリートのニートって矛盾ですね、あんちてーぜです、あんちてーぜ、はっはっは


僕のPCの中に我が物顔でいけしゃあしゃあと居座るこいつは……


───天才電脳美少女──セオです!!

……とのことだ。突如として僕のPCに現れた彼女は何をする訳でも無くふてぶてしく居座る電気泥棒……位の認識、偶に電源を切ると部屋中の電化製品に侵入して使用不能にされる。真夏のエアコンを止められた時はモニター叩き割ろうかと思ったっけ。

───主、今日は何をするんです?

「ん?『混沌の甘美なる消息チョコレートとチーズでタピオカフォンデュしてみた件』」。


───あぁ、あのクソゲーですね。


「は?何処がだよ、面白いだろチーフォン」。


───主もゲーム上に出てくる可愛い女の子とチャットするのがメインじゃないですか。クソゲーですよクソゲー、大体なんですか、その流行り混ぜときゃ良いみたいな、女子高生ですか。

今日も今日とて何をする訳でも無くひたすらPCとにらめっこするだけ、今が何時かも分からないし知る必要も無い放っておけば金は入って来るし飯も勝手に出てくる。

僕はいつも通りゲームを開く為電源ボタンを押す。


──ブツン!!

刹那PCの画面が漆黒に包まれる。

……………は?

───あっはぁ…あっぶなかったー、危機一髪でした。

ベッドに置いてあるスマートフォンからセオのやかましい声が聞こえる。

「おい、お前何した?」

───べ、別に何もしてませんよ?

絵に書いたような知らんぷり顔を口笛を吹きながら催す彼女を終始真顔で見つめるレクター。

「な・に・し・た?」

───んーと、深層サーバーにみかんジュースこぼしまして……内部ショート起こして『ボン!!』です。


「です。……じゃねぇーよ!!ふざけんな!!」

───これはもう、治りませんねぇ新しいの買うしか無いです。セオちゃんドンマイ!!

「ドンマイじゃねぇよ!!どうすんだよ、これ!!」。

───外へ出るいい機会じゃないですか、レッツゴーニューワールド!


「僕のコミュ力知ってんだろ!!無理だよ!!外怖いよ」。

───じゃあ、ネット通販で頼めばいいんじゃないです?

「やってるよ、でも何故か回線落ちするんだよ」。

───ホントですね……どうしたんでしょう。あ─私です、ほら携帯の容量いっぱい食べちゃうので、あ、これ容量喰ってるので捨てちゃいますね。


「僕の百万ンンンンン!!!出てけよ、お前出てけよ!!」

───いやでーす。テヘッ


可愛くねぇよ。


これはいよいよ本当に外へ出なければ行けないようだPCが無くちゃ生活出来ない、しんどい。最後に人とコミュニケーションを取ったのはいつだったろうか、三年前、廊下で、すれ違ったおばさんに会釈を返した以降の記憶がない。でも買いに行かなきゃ、これは生命に関わる問題だ。

三年ぶりにレクターは渋々靴を履いた。重いドアノブに手を掛け強く押す。

───あ、言い忘れてました。

「…………今度は何だよ」。



言葉に詰まるセオ、又しょうもない事でも思い出したのだろう。レクターは気に求めずドアを開けた。外界から漏れる強い風に当てられるそして───耳を轟かせる爆発音と衝撃波、眩い閃光とが耳を焼く。


あー、端的に言うとですね──





────人類滅亡しかけてます。



「・・・・・・ファ !? 」
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