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「……あぁ。それと、明日引き継ぎと同時に今の門番を逮捕し、地界に引き渡しをするので準備をお願いします」
解散寸前、言い忘れてたことを伝えると何で⁉︎ と叫ばれた。もしかして、聞いてないのかな。
「……地界で暴れ、住民に怪我をさせたからです。ちなみに暴れた理由は、異端の私を欲しがったため」
「は? どういう意味だよそれ」
訳わかんねぇと呟くアーオンさんに対し、何やら心当たりがありそうなザレブさん。知ってるか知らないかの差なのか、あるいは箝口令でも敷かれているのか。私には判断しかねた。
「……彼らは昔、私をサンドバッグにしていましたから」
「昔って、いつだよそれ」
「……よくは覚えておりませんが、幼子の頃ですかね」
絶句してしまったアーオンさんとは対象に、砂を噛むような表情で声を絞り出すようにザレブさんがあれは酷かった、と言った。
「見るに堪えないものだったよ。助けようにも当時の僕は上位天使になったばかりだったから大した力がなくって、しかも周りは彼が怪我をしたあとだったこともあって押さえ込むし……。力になれなくてごめんよ」
「……ザレブさん、そのお気持ちだけでも嬉しいです、ありがとうございます」
怪我をした彼。心当たりは一人だけ。後に堕天使と知って、地界で度々見かけ、その度に逃げ出してた。
今彼は、元気でいるかな……?
改めて段取りを話し合うと、明日にとようやく別れる頃には天獄の門──天界と地界を繋ぐ門が閉まろうとする時間になっていた。
解散寸前、言い忘れてたことを伝えると何で⁉︎ と叫ばれた。もしかして、聞いてないのかな。
「……地界で暴れ、住民に怪我をさせたからです。ちなみに暴れた理由は、異端の私を欲しがったため」
「は? どういう意味だよそれ」
訳わかんねぇと呟くアーオンさんに対し、何やら心当たりがありそうなザレブさん。知ってるか知らないかの差なのか、あるいは箝口令でも敷かれているのか。私には判断しかねた。
「……彼らは昔、私をサンドバッグにしていましたから」
「昔って、いつだよそれ」
「……よくは覚えておりませんが、幼子の頃ですかね」
絶句してしまったアーオンさんとは対象に、砂を噛むような表情で声を絞り出すようにザレブさんがあれは酷かった、と言った。
「見るに堪えないものだったよ。助けようにも当時の僕は上位天使になったばかりだったから大した力がなくって、しかも周りは彼が怪我をしたあとだったこともあって押さえ込むし……。力になれなくてごめんよ」
「……ザレブさん、そのお気持ちだけでも嬉しいです、ありがとうございます」
怪我をした彼。心当たりは一人だけ。後に堕天使と知って、地界で度々見かけ、その度に逃げ出してた。
今彼は、元気でいるかな……?
改めて段取りを話し合うと、明日にとようやく別れる頃には天獄の門──天界と地界を繋ぐ門が閉まろうとする時間になっていた。
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