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この世に生を受けて二百年以上経った。そのうちの大半は地界で暮らした記憶しかない。それがかなり異常であると知ったのは、学校に通い始めた頃だったろうか。
理由を聞けば私が異端、だからだそうだ。ただ髪の色が他の天使のように白金や白銀といったものじゃなくて、はじめから堕天使のような黒髪だというのが向こうの主張。
……気持ちは分かるが、まだまだ幼子だった自分に暴力を振るう彼等を私が恐怖しないとでも思ったのだろうか。
「言いたいことはそれだけか? 上位天使どもが聞いて呆れる。少しは考えれば分かるだろ」
「よってたかって彼女一人、しかも幼いときに暴力をするなんてね。お縄にならないとでも思ったの?」
今の彼等はそれによって首を締められている。……他でもない、私の部下によって。
ことの始まりは私が異端であることが分かった、幼い頃へと遡らなくてはならないほど。それほど根深い話。捕らえられ、なおも喚く様子を見ながら、ふと昔のことを思い出した。
遠い遠い昔、育ての親にも教育者にも出会っていなかった頃のことを。
理由を聞けば私が異端、だからだそうだ。ただ髪の色が他の天使のように白金や白銀といったものじゃなくて、はじめから堕天使のような黒髪だというのが向こうの主張。
……気持ちは分かるが、まだまだ幼子だった自分に暴力を振るう彼等を私が恐怖しないとでも思ったのだろうか。
「言いたいことはそれだけか? 上位天使どもが聞いて呆れる。少しは考えれば分かるだろ」
「よってたかって彼女一人、しかも幼いときに暴力をするなんてね。お縄にならないとでも思ったの?」
今の彼等はそれによって首を締められている。……他でもない、私の部下によって。
ことの始まりは私が異端であることが分かった、幼い頃へと遡らなくてはならないほど。それほど根深い話。捕らえられ、なおも喚く様子を見ながら、ふと昔のことを思い出した。
遠い遠い昔、育ての親にも教育者にも出会っていなかった頃のことを。
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