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本編
事実と目的と
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話の続きは食事をしながら、ということで全員着席すると、待ち構えていたかのように人が動き始める。料理は順番に出るのかと思ったけど、ある程度は一緒に出てきた。といっても最初だからか生野菜のサラダとスープ、ふわふわしてそうなパンだけだけど。いやサラダが出るのって凄いんだけどね、鮮度命の食材を生で出せるなんて。
「さて、ラナ嬢の疑問についてだが。この国の身分制度によって職の門が狭まっているのは知っているかな?」
「え、ええ。何となくは」
王宮に勤めることが出来るのは貴族のみとか、逆に商売を始めたいなら商人になるしかなくて平民になる他ない、ってやつだよね。きっと。多分。
「それゆえ、驕ってしまう人間がいるのも事実だ。特に文官になる為には高度な教育を求められる。庶民になれるはずもない、とな」
確かに勉強をし続けようと思ったらきちんとした学校に行かないといけなくて、でもそんなお金はないって人が大半だからなあ。教会が無償でやってる勉強会で読み書きや簡単な計算、魔力及び魔法の使い方を知ることは出来てもそこから先はっていう現状だもんね。
魔力関連だけは生まれもっての素質で、多く持つ人は暴走の余地があるから身分の差なく高等教育を受けられるよう、便宜を図る仕組みになってる。それが王立ルーミア学園だって授業で説明されたっけ。
「しかし、だ。傲慢な思考というのはいつしか腐敗したものとなり、最悪、国家存続の危機となる。……私達家族のようにな」
お、おう。そこでそれを言いますか。自虐にしてもちょっとスパイスがききすぎてませんか。その元凶といいますか、こちらとしては苦笑いすらできないですよ、はい。
「そこに監査の目を入れることにし、かつ私達身分の高い者が驕らず仕事をこなしていく。それがそなた達学園出身の役割なのだよ」
本人達に自覚の有無にかかわらず、な。そう締めくくられる頃にはメインディッシュは食べ終わり、デザートの果物が出てきた。それに手をつけるまでに随分と時間がかかったけど。
だから学園内での身分差はご法度なのか。監視の目が自ら差別意識を持っていたらその意味がないから。
でも、それが何で私を罰しないことになるんだろ?
「……未だ分からない、という顔をしているな」
「え、あ。す、すみません」
「良い。ここまでは前置きに近いからな。……そなたらは、いわば不和を正す者だ。そして将来、マリもその職を承ることになろう。だが私達があのままでおれば、何をもってしても妨害した。確実に断言できるほどに、あの頃の私達はマリを見ていなかった。国家の犬にさせるなんて許せないと思っていたあの頃は……。
それを未然に防いだのがそなたであると、あの日アラン殿に諭された。身分差を理由に罰すれば、将来有能な目を一つ潰すことになる、とな。仮にその役割がなかったにしろ、マリにとって唯一無二の女友達であり、彼の親友であるそなたに何かあれば、私達家族はどうなるかそれこそ分からない、とも」
ア、アラン、あの日そんなこと言ってたのね。さりげなく私に何かあればアランも許すことはないと釘刺してるし。怒っていただろうにそういうことにも頭を回せるから敵にしたくないと思うのよ。
それにしても、これで疑問は解決した。まさか処罰なしの理由が「将来監視官になる彼女に何かあれば黙ってないからね?」だったとは……。そんな大層な存在でもないと思うんだけど、それで助かったのなら口を噤んでいた方が良いよね。
うん、黙ってよう。
「さて、ラナ嬢の疑問についてだが。この国の身分制度によって職の門が狭まっているのは知っているかな?」
「え、ええ。何となくは」
王宮に勤めることが出来るのは貴族のみとか、逆に商売を始めたいなら商人になるしかなくて平民になる他ない、ってやつだよね。きっと。多分。
「それゆえ、驕ってしまう人間がいるのも事実だ。特に文官になる為には高度な教育を求められる。庶民になれるはずもない、とな」
確かに勉強をし続けようと思ったらきちんとした学校に行かないといけなくて、でもそんなお金はないって人が大半だからなあ。教会が無償でやってる勉強会で読み書きや簡単な計算、魔力及び魔法の使い方を知ることは出来てもそこから先はっていう現状だもんね。
魔力関連だけは生まれもっての素質で、多く持つ人は暴走の余地があるから身分の差なく高等教育を受けられるよう、便宜を図る仕組みになってる。それが王立ルーミア学園だって授業で説明されたっけ。
「しかし、だ。傲慢な思考というのはいつしか腐敗したものとなり、最悪、国家存続の危機となる。……私達家族のようにな」
お、おう。そこでそれを言いますか。自虐にしてもちょっとスパイスがききすぎてませんか。その元凶といいますか、こちらとしては苦笑いすらできないですよ、はい。
「そこに監査の目を入れることにし、かつ私達身分の高い者が驕らず仕事をこなしていく。それがそなた達学園出身の役割なのだよ」
本人達に自覚の有無にかかわらず、な。そう締めくくられる頃にはメインディッシュは食べ終わり、デザートの果物が出てきた。それに手をつけるまでに随分と時間がかかったけど。
だから学園内での身分差はご法度なのか。監視の目が自ら差別意識を持っていたらその意味がないから。
でも、それが何で私を罰しないことになるんだろ?
「……未だ分からない、という顔をしているな」
「え、あ。す、すみません」
「良い。ここまでは前置きに近いからな。……そなたらは、いわば不和を正す者だ。そして将来、マリもその職を承ることになろう。だが私達があのままでおれば、何をもってしても妨害した。確実に断言できるほどに、あの頃の私達はマリを見ていなかった。国家の犬にさせるなんて許せないと思っていたあの頃は……。
それを未然に防いだのがそなたであると、あの日アラン殿に諭された。身分差を理由に罰すれば、将来有能な目を一つ潰すことになる、とな。仮にその役割がなかったにしろ、マリにとって唯一無二の女友達であり、彼の親友であるそなたに何かあれば、私達家族はどうなるかそれこそ分からない、とも」
ア、アラン、あの日そんなこと言ってたのね。さりげなく私に何かあればアランも許すことはないと釘刺してるし。怒っていただろうにそういうことにも頭を回せるから敵にしたくないと思うのよ。
それにしても、これで疑問は解決した。まさか処罰なしの理由が「将来監視官になる彼女に何かあれば黙ってないからね?」だったとは……。そんな大層な存在でもないと思うんだけど、それで助かったのなら口を噤んでいた方が良いよね。
うん、黙ってよう。
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