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本編
ハイキング、だよね?
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あまりにもうちのクラスが仲良くないこと、王学祭準備が遅々として進まないこと。この二つが重なりあった為、先生は悩みに悩んだらしい。
苦肉の策として、チーム訓練の時間をプチハイキングの時間にして、交流を設けた。
それは、まあ、良いんだけどさ。
元々訓練の時間を使うんだから、内容もそうした、いわば筋トレとか交流とかを兼ね合いにしないと、上の偉い人から許可が出なかったんだろうって分かるよ? てか、むしろよく許可取れたねって感じだしさ。この時期に。
だけど、だけどだよ? ハイキングじゃないよこれ。完全に山登ってるじゃん、登山じゃん! 坂が急すぎてキツい上に道も整備されてないから体に負担が……。明日は筋肉痛だよ絶対!
先生がここに来る前に魔法禁止縛りしたの、恨むレベルに辛い。
「あ、あの、ラナ、アラン……待って、ください」
訓練中倒れないように、と体力の向上を図ってたマリもキツそう。よくよく考えたら系統別で一番体を使う攻撃の私が辛いなら、一番体を使わない治癒のマリはもっと辛いよね。
チームメイトの様子も見れないなんて系統担当の先生にバレたら精進が足りないと怒られそうだと頭の片隅で考えながら、マリが来るまで少し待つ。
ちなみにアランはというと、見た目ほっそりしてるけど鍛えてるのか息の乱れがそんなにない。護身術やってたと聞いてるけど、学園でもやってるとは聞いてないし……。それとも男女差ってやつなのかな?
そんなことを考えている合間にようやくマリが追いつく。乱れた息を整えながらも、苦しそうな素振りはない。これならまだいけるかなと考えていると、何とも反応に困る言葉がきた。
「これがハイキング、なのですね。昔行きたいと両親に伝えた時、無理だと言っていた意味が分かりました」
「……今回のはかなり大変なやつだから、覚えてもあんまり意味ないよ……?」
一理あって一理ないような。今回のハイキングは登山に近いようなものだし、親御さんは絶対、あの過保護を発動してただろうし。かといってこれが名目上はハイキングだから否定もできないし。
そんなこんながありつつ頂上を目指すこと数時間。途中やっぱりマリが倒れかけて私とアランが交互におんぶしながら登るということがありつつも、ようやく登りきった。
「あー! 疲れたー!」
行儀悪いと思うけど、それよりも疲労が勝ってる。適当に進んだところにある、剥き出しの土の上で大の字になって寝っ転がった。
頰を撫でる風が心地良い。そろそろ夕方に差し掛かるからか、空がうっすらと青から変わり始めてる。ん? あの雲不思議な形してる、面白いなー。
「ラナ、大丈夫ですか?」
「こっちの台詞。マリこそ平気なの?」
隣に座ってくるマリに聞くと、眉間に皺が寄った。帰り道のこと考えてるのかな? 帰りの方が楽だと思うけど、同じ距離をまた歩くのは結構精神にくるもんね。
アランはどうしているか顔だけ動かすと、マリを挟むようにして私と同じように転がっていた。心なしか顔が赤い。痩せてるとはいえ、やっぱりマリをおんぶしてあの坂登るのはキツかったのかな。
「……これで、少しは皆さんも協力してくれるでしょうか」
ぽつり、と零すマリの言葉に返事しかねる。道中あった小川を渡る時に手を貸しあったり、獣道らしい道を歩く時は動物に注意しあったりしてきた。だからといって今までのことに対して事を改めるような性格の人達なら、剣舞祭の時に多少なりとも直すはずだ。
上っ面の態度で接してくる子が多かったからそれなりの態度でこっちも接してたのはまずかったかな、とは思うけどね。
マリの悩ましい顔を見て思案していると、アランが気にするほどでもないと呟いた。
「これだけのことを先生がしてくれた上に、クラスメートとの交流が出来たんだ。それで良くならないならその人はそれまでってことだよ」
それに、と言葉を続ける。
「あまり知られてないけどね、国人になれない事だってあるんだ。だから気にするだけ無駄だよ」
「……そんなこともあるの?」
「馬が合わない人とも連携を、少なくとも必要最低限の関わりあいにして仕事に支障が出ないようにする。そういった対人関係を学ぶのも学園としての役割だから」
つまりこの王学祭がそれにあたるとみて良いのかな。だとしたらうちのクラス、相当やばいんじゃないの?
あ、だから先生もこういうことをしたってこと? 一種の救済措置ってやつで。
「さあ皆、休憩時間はそろそろ終わりだ! 暗くなる前には山を下りるぞ!」
……やっぱりそうなるよね。あの道を暗闇で歩くなんて危険行為過ぎるもの。本当に魔法禁止縛り辛いんだけど。早く下山するならそっちの方が、当たり前だけど早いから。
私達三人とも、同じことを考えたらしい。顔を見合わせて顰めた、と思ったら苦笑いに変化した。
早く帰って休みたいな。そして出来ることなら、これで王学祭準備が何とかなりますように。
苦肉の策として、チーム訓練の時間をプチハイキングの時間にして、交流を設けた。
それは、まあ、良いんだけどさ。
元々訓練の時間を使うんだから、内容もそうした、いわば筋トレとか交流とかを兼ね合いにしないと、上の偉い人から許可が出なかったんだろうって分かるよ? てか、むしろよく許可取れたねって感じだしさ。この時期に。
だけど、だけどだよ? ハイキングじゃないよこれ。完全に山登ってるじゃん、登山じゃん! 坂が急すぎてキツい上に道も整備されてないから体に負担が……。明日は筋肉痛だよ絶対!
先生がここに来る前に魔法禁止縛りしたの、恨むレベルに辛い。
「あ、あの、ラナ、アラン……待って、ください」
訓練中倒れないように、と体力の向上を図ってたマリもキツそう。よくよく考えたら系統別で一番体を使う攻撃の私が辛いなら、一番体を使わない治癒のマリはもっと辛いよね。
チームメイトの様子も見れないなんて系統担当の先生にバレたら精進が足りないと怒られそうだと頭の片隅で考えながら、マリが来るまで少し待つ。
ちなみにアランはというと、見た目ほっそりしてるけど鍛えてるのか息の乱れがそんなにない。護身術やってたと聞いてるけど、学園でもやってるとは聞いてないし……。それとも男女差ってやつなのかな?
そんなことを考えている合間にようやくマリが追いつく。乱れた息を整えながらも、苦しそうな素振りはない。これならまだいけるかなと考えていると、何とも反応に困る言葉がきた。
「これがハイキング、なのですね。昔行きたいと両親に伝えた時、無理だと言っていた意味が分かりました」
「……今回のはかなり大変なやつだから、覚えてもあんまり意味ないよ……?」
一理あって一理ないような。今回のハイキングは登山に近いようなものだし、親御さんは絶対、あの過保護を発動してただろうし。かといってこれが名目上はハイキングだから否定もできないし。
そんなこんながありつつ頂上を目指すこと数時間。途中やっぱりマリが倒れかけて私とアランが交互におんぶしながら登るということがありつつも、ようやく登りきった。
「あー! 疲れたー!」
行儀悪いと思うけど、それよりも疲労が勝ってる。適当に進んだところにある、剥き出しの土の上で大の字になって寝っ転がった。
頰を撫でる風が心地良い。そろそろ夕方に差し掛かるからか、空がうっすらと青から変わり始めてる。ん? あの雲不思議な形してる、面白いなー。
「ラナ、大丈夫ですか?」
「こっちの台詞。マリこそ平気なの?」
隣に座ってくるマリに聞くと、眉間に皺が寄った。帰り道のこと考えてるのかな? 帰りの方が楽だと思うけど、同じ距離をまた歩くのは結構精神にくるもんね。
アランはどうしているか顔だけ動かすと、マリを挟むようにして私と同じように転がっていた。心なしか顔が赤い。痩せてるとはいえ、やっぱりマリをおんぶしてあの坂登るのはキツかったのかな。
「……これで、少しは皆さんも協力してくれるでしょうか」
ぽつり、と零すマリの言葉に返事しかねる。道中あった小川を渡る時に手を貸しあったり、獣道らしい道を歩く時は動物に注意しあったりしてきた。だからといって今までのことに対して事を改めるような性格の人達なら、剣舞祭の時に多少なりとも直すはずだ。
上っ面の態度で接してくる子が多かったからそれなりの態度でこっちも接してたのはまずかったかな、とは思うけどね。
マリの悩ましい顔を見て思案していると、アランが気にするほどでもないと呟いた。
「これだけのことを先生がしてくれた上に、クラスメートとの交流が出来たんだ。それで良くならないならその人はそれまでってことだよ」
それに、と言葉を続ける。
「あまり知られてないけどね、国人になれない事だってあるんだ。だから気にするだけ無駄だよ」
「……そんなこともあるの?」
「馬が合わない人とも連携を、少なくとも必要最低限の関わりあいにして仕事に支障が出ないようにする。そういった対人関係を学ぶのも学園としての役割だから」
つまりこの王学祭がそれにあたるとみて良いのかな。だとしたらうちのクラス、相当やばいんじゃないの?
あ、だから先生もこういうことをしたってこと? 一種の救済措置ってやつで。
「さあ皆、休憩時間はそろそろ終わりだ! 暗くなる前には山を下りるぞ!」
……やっぱりそうなるよね。あの道を暗闇で歩くなんて危険行為過ぎるもの。本当に魔法禁止縛り辛いんだけど。早く下山するならそっちの方が、当たり前だけど早いから。
私達三人とも、同じことを考えたらしい。顔を見合わせて顰めた、と思ったら苦笑いに変化した。
早く帰って休みたいな。そして出来ることなら、これで王学祭準備が何とかなりますように。
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