15 / 46
その他
類は友が集まる
しおりを挟む
こんな自分なんか。そう思ったことが何回あるだろう。数えるのも馬鹿らしくなるくらい沢山思った。感じた。考えた。
その度に嫌悪感に苛まれて、止めようとして、失敗して、その繰り返し。僕って本当に学習しない。
学習する気もなければ、それもそうなのかもしれないけど。
ぼんやり次の講義場所でお昼時間を過ごしていたら、隣に誰か座ってきた。と思ったら、手元に飲料ゼリーが置かれる。
それだけで誰が来たのか分かった。
「今日は演習も入るから、少しくらいは胃に入れときな」
「ああ、うん。ありがとう」
「別に、いつものことでしょ」
いつものこと。そう思うくらいには僕達は一緒にいて、同じことをしてるのか。
改めて知る事実に、口元が歪んで、歪な笑みが浮かぶ。何も言わず、何もせず、ただ隣にいてくれる彼には感謝するしかない。
たとえ僕と同じ穴のムジナだとしても、いないよりは遥かに良い。
「……今回は何したの、君は」
「身の上話をして甘えて、でも、結構それが苦痛だったらしくて」
「そりゃそうでしょ、何で話したの?」
呆れた声音。僕だって分からない。僕の話なんか、面白いどころか不快で、そのせいで色々壊れた思考回路が形成されたのだから。
だけど、あえて理由を話すなら。
「僕に、甘えてきてくれたから」
その一言で通じる対の存在は、今度は悲しげに言葉を発した。
「何とも、それはお互いさま、でもないか。相手には悪いけど、向こうは運が悪かったね」
「僕もそう思うよ」
初対面だから言えること、話せること、許せること、甘えることがあるんだろうけど、僕にはしちゃいけなかった。傷の舐め合いをするにしても、相手が悪すぎる。
普通の家に産まれたはずなのに、どうしてこうなったんだろう。
口の中にゼリーをほんの少しだけ流し入れて、必要以上に噛みながらゆっくり飲み込んでいく。それだけでもお腹が限界だと訴えてきて、一口で蓋をした。
そこでやっと隣を見れば、同じようにまだまだ中身がありそうな、色違いのそれに栓をしているところだった。
「君ももしかして、何かやったの?」
「……受けと攻めが逆転するとさ、精神的に苦痛だよね」
あぁ、そういうことか。身に覚えがある。
「何でそんな無茶したのさ」
「さあね。自分で自分を追いつめるのに、理由なんて分からないよ」
確かに、それもそうだ。いや、例え分かっていたとしても、止められるならとっくに止めてる。もし止められていたら、今こうしてお互いを慰めあってない。
慰めるというより、それこそ傷の舐め合いに近いけれど。
少しずつ喧騒が増え始めた教室で、僕達は揃って講義の準備をし始めた。
今日こそ平穏な1日にしたいと思いながら。
その度に嫌悪感に苛まれて、止めようとして、失敗して、その繰り返し。僕って本当に学習しない。
学習する気もなければ、それもそうなのかもしれないけど。
ぼんやり次の講義場所でお昼時間を過ごしていたら、隣に誰か座ってきた。と思ったら、手元に飲料ゼリーが置かれる。
それだけで誰が来たのか分かった。
「今日は演習も入るから、少しくらいは胃に入れときな」
「ああ、うん。ありがとう」
「別に、いつものことでしょ」
いつものこと。そう思うくらいには僕達は一緒にいて、同じことをしてるのか。
改めて知る事実に、口元が歪んで、歪な笑みが浮かぶ。何も言わず、何もせず、ただ隣にいてくれる彼には感謝するしかない。
たとえ僕と同じ穴のムジナだとしても、いないよりは遥かに良い。
「……今回は何したの、君は」
「身の上話をして甘えて、でも、結構それが苦痛だったらしくて」
「そりゃそうでしょ、何で話したの?」
呆れた声音。僕だって分からない。僕の話なんか、面白いどころか不快で、そのせいで色々壊れた思考回路が形成されたのだから。
だけど、あえて理由を話すなら。
「僕に、甘えてきてくれたから」
その一言で通じる対の存在は、今度は悲しげに言葉を発した。
「何とも、それはお互いさま、でもないか。相手には悪いけど、向こうは運が悪かったね」
「僕もそう思うよ」
初対面だから言えること、話せること、許せること、甘えることがあるんだろうけど、僕にはしちゃいけなかった。傷の舐め合いをするにしても、相手が悪すぎる。
普通の家に産まれたはずなのに、どうしてこうなったんだろう。
口の中にゼリーをほんの少しだけ流し入れて、必要以上に噛みながらゆっくり飲み込んでいく。それだけでもお腹が限界だと訴えてきて、一口で蓋をした。
そこでやっと隣を見れば、同じようにまだまだ中身がありそうな、色違いのそれに栓をしているところだった。
「君ももしかして、何かやったの?」
「……受けと攻めが逆転するとさ、精神的に苦痛だよね」
あぁ、そういうことか。身に覚えがある。
「何でそんな無茶したのさ」
「さあね。自分で自分を追いつめるのに、理由なんて分からないよ」
確かに、それもそうだ。いや、例え分かっていたとしても、止められるならとっくに止めてる。もし止められていたら、今こうしてお互いを慰めあってない。
慰めるというより、それこそ傷の舐め合いに近いけれど。
少しずつ喧騒が増え始めた教室で、僕達は揃って講義の準備をし始めた。
今日こそ平穏な1日にしたいと思いながら。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる