5 / 46
その他
独り身でお願いします
しおりを挟む
「リア充爆発しろ」
その言葉が一般的になってどれほどの時間が経ったか。私の心境はまさにそれだった。ただまあ、気まずさや不愉快といったマイナス感情というより微笑ましさ、幸せのおすそ分けをされるといった感情の方が勝ってるから良いんだけど。
でもね、最近こうもカップル成立の報告を受けるの何なの? 春? 春だから? 季節が関係するの? いや違うって分かってるけど!
なんて叫びたい衝動が出てくるほど、周りはいつの間にかカップルだらけになっていた。
こうなると普通、自身も恋人、というか好きな人? がいたら良いのにって思うんだろうけど、あいにく初恋すらまだな私には恋愛のれの字がいまいちピンときてない状態だ。だから焦りも一切なく、素直に祝福できるのかもしれない。
まもなく成人を迎える人間としてそれはどうなんだとは思うけど、こればかりは仕方ない。……付き合ったことは何度かあるけどね。違和感しかないから、いつも長続きしなかった。
さて、どうしていきなり私がこんなことを言い出したかというと、ただ今私はカラオケ合コンの真っ最中だからです。
周りが男女揃って何というか、盛り上がるのは良いんだけど、こう、うん、恋愛が充実じゃなくて対人関係イベントに慣れてかつ充実してる人のノリについていけない。
これならまだこの前友人達が付き合いました報告を受けたカラオケの方が楽しかったよ本当に。
しばらくは独り身で良いっていう人間に数合わせの合コンがそもそもきついのにその雰囲気すら慣れないなんて拷問よね。何度帰ろうかとバッグ持って部屋を出かけたことか……。
何度目かの溜息を吐きかけて飲み込む、という所業をした時、ふと視線を感じて顔を前に向けると、比較的顔が整った人がにこりと笑いかけてきた。失礼のない程度に笑い返すと、歌いますか? と聞かれた。どうやら歌ってないことを気にしているようだ。
「いえ、少し疲れてしまって。休憩しているところなんです」
「ああ、そうなんですね。普段どんな曲歌うんですか」
そんな会話をするうち、いい加減疲れてきたというのがバレてきたのか抜け出しますか? と聞かれた。それが何を意味するか分からないほど馬鹿でもない。
というか放置していてよお願いだから。私はこの後控えてる友人との飲み、というなのバカップル観察をしたいんだよ! 喉まで出かかったそれを口にしなかったのを誰か褒めて。
だけどそんな私の心の内など知る由もない目の前の男性はあれこれと話しかけてくる。そろそろ鬱陶しくなってきて隣の子も巻き込んで話すと、いつしかその子主導の会話に切り替わる。ちなみに私はそれに頷けば良いだけなのでかなり楽になった。
だというのにちょくちょく私へ質問というか、話振るのやめてくださいませんか?
あーもう。早くこの時間終われー。
その言葉が一般的になってどれほどの時間が経ったか。私の心境はまさにそれだった。ただまあ、気まずさや不愉快といったマイナス感情というより微笑ましさ、幸せのおすそ分けをされるといった感情の方が勝ってるから良いんだけど。
でもね、最近こうもカップル成立の報告を受けるの何なの? 春? 春だから? 季節が関係するの? いや違うって分かってるけど!
なんて叫びたい衝動が出てくるほど、周りはいつの間にかカップルだらけになっていた。
こうなると普通、自身も恋人、というか好きな人? がいたら良いのにって思うんだろうけど、あいにく初恋すらまだな私には恋愛のれの字がいまいちピンときてない状態だ。だから焦りも一切なく、素直に祝福できるのかもしれない。
まもなく成人を迎える人間としてそれはどうなんだとは思うけど、こればかりは仕方ない。……付き合ったことは何度かあるけどね。違和感しかないから、いつも長続きしなかった。
さて、どうしていきなり私がこんなことを言い出したかというと、ただ今私はカラオケ合コンの真っ最中だからです。
周りが男女揃って何というか、盛り上がるのは良いんだけど、こう、うん、恋愛が充実じゃなくて対人関係イベントに慣れてかつ充実してる人のノリについていけない。
これならまだこの前友人達が付き合いました報告を受けたカラオケの方が楽しかったよ本当に。
しばらくは独り身で良いっていう人間に数合わせの合コンがそもそもきついのにその雰囲気すら慣れないなんて拷問よね。何度帰ろうかとバッグ持って部屋を出かけたことか……。
何度目かの溜息を吐きかけて飲み込む、という所業をした時、ふと視線を感じて顔を前に向けると、比較的顔が整った人がにこりと笑いかけてきた。失礼のない程度に笑い返すと、歌いますか? と聞かれた。どうやら歌ってないことを気にしているようだ。
「いえ、少し疲れてしまって。休憩しているところなんです」
「ああ、そうなんですね。普段どんな曲歌うんですか」
そんな会話をするうち、いい加減疲れてきたというのがバレてきたのか抜け出しますか? と聞かれた。それが何を意味するか分からないほど馬鹿でもない。
というか放置していてよお願いだから。私はこの後控えてる友人との飲み、というなのバカップル観察をしたいんだよ! 喉まで出かかったそれを口にしなかったのを誰か褒めて。
だけどそんな私の心の内など知る由もない目の前の男性はあれこれと話しかけてくる。そろそろ鬱陶しくなってきて隣の子も巻き込んで話すと、いつしかその子主導の会話に切り替わる。ちなみに私はそれに頷けば良いだけなのでかなり楽になった。
だというのにちょくちょく私へ質問というか、話振るのやめてくださいませんか?
あーもう。早くこの時間終われー。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる