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その他

年の瀬において

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 年の瀬というのは年を重ねるごとに忙しくなる。学生の時は勉強だけを考えていればよかったけど、社会人はそうもいかない。親戚の集まりや年賀、仕事のやり残しがないかどうか、大掃除は社会に出てからもやると知って、学生時代に真面目に取り組まなかったツケがきてるなぁ、という印象だ。
 だけどそれも、愛しい人に会えるためだと思って今日までやってきた。

「メリークリスマス!」
「には遅く」
「ハッピーニューイヤー!」
「には早い今日」
「仕事納めだったぞ!」
「わかる」

 まあすぐに仕事始めなんですがね。悲しいかな、それがシフト制の仕事の運命さだめだ。
 とりあえずご飯だー! というわけでお好み焼きを食べる。わざわざ食べに行かないからお好み焼きなんて。特に大阪なんて。観光でしか行かないから変わり種を食べる。……不味くはない、とだけ言おうか。
 良いんだよ、恋人が美味いって言って食ってるならそれで。うん。良いんだよ。というか、ご飯は食べられたらそれで良いんだよ。むしろこの後のプランにどうしようだよ。
 会っておしまいでも良いよ? でも寂しくない? 僕は寂しい。相手も同じだと嬉しいなあと思いながら店を出る。軽くお酒を入れたから、体は暖かい。とはいえ空気がこの頃一気に冷えて寒いのは変わりないから、帰りたいような帰りたくないような。

「帰るの寂しいー」
「わかる」
「泊まりたいー」
「わかる」
「泊まっていい?」
「……魔界だぞ?」

 なんせ大掃除の為に家をひっくり返してる状態だからな。と返せば実家の部屋とどちらがマシ? と聞かれた。なるほどそういえば、この人はあの樹海を知っているのだった。
 それは、うん、問題ない、いや問題はあるけど、まだまだ一緒にいたい気持ちに嘘はつけない。というわけで家へ来てもらった。

「相変わらずの魔境」
「面目ない」
「楽しいから良い」
「楽しいのか?」

 何をもって楽しいというのか、不思議で仕方ない。とりあえず何か飲む? と聞いて気づいた。今水道水しか出せないよ。やべえ。やっちまった。素直に謝ると氷はあるのか聞かれた。あると答えたら氷たっぷりの水を所望された。

「水は冷やせば水道水でも美味しく感じる」

 なるほど謎理論。しかし一口もらうと本当に水道水なのか? 蒸留もしてないのに? って感じだ。うん、悪くない。
 しかしやることもなく、ただただボーッとする恋人同士というのも不思議だろうなぁ。まあ、幸せだからいっか。
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