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4(終話)
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グズグズに泣いて泣いて、ようやく落ち着いたハルに絞ったタオルを渡す。ちょっとだけ瞼、赤くなってるから。腫れぼったくなると勉強に支障出るんじゃねえかって思って。
「……健、君さ。発症、したでしょ。僕ら……どうしようか……」
「あ」
間抜けな声が部屋に響いて、そっからお互い無言。
先送りには出来ないって分かってるからこその無言。
俺の気持ちはさっきハルに伝えた。だから後はハルがどう受け取るか。それだけだ。
そうつまり俺は待つしかない。ハルが受け入れてくれるか、そうでないか。緊張なのか、それとも特性なのか。分からないくらい手が冷え込み始めてきたと気づいたのは、ハルの温かい手が包んできたから。
ほんのり水を含んだ手で、俺の指先を温めるように触れてきた。
熱交換。その単語がぴったり当てはまるんじゃないかってほど、俺の手とハルの手は真逆で、触れ合うほど気持ち良く感じる。
──そう感じるということは、だ。ハルも俺と同じって考えちまうのは、流石に都合良すぎるだろうか。
「な、なあ、ハル。ハルは、どうしたい」
声が震えそうになるのを抑えるので必死だった。
ハルと一緒に居れないなら、俺は次の出逢いまでおじさんの延命を受ける。
でも、もし。もしハルが受け入れてくれたなら。
「……僕は……最初にも、話したけど……君が、初めて、だから……君が、良いなら」
「良いも何も、俺はハルがいい! ハルだからいいんだよ!」
「ふふ……そっか……うれし」
食い気味に答えた俺がよっぽど面白かったのか、小さく綺麗に笑うその顔は、何の陰もないものすんごく美しく見えて。あ、俺もう駄目だと思った。
俺一生、ハルに尻敷かれて過ごすわ。この笑顔が見れるなら誰に何と言われてもいい。
出会ってからの長さなんて関係ない。バカな俺とか頭が良いとか、悩んでた時の方がアホらしく感じるくらい。
人間、惚れた方が負けなんだなって思い知らされた。
「これ、からも……よろしくね。健君」
「お、おう。よろしくな、ハル!」
「……健、君さ。発症、したでしょ。僕ら……どうしようか……」
「あ」
間抜けな声が部屋に響いて、そっからお互い無言。
先送りには出来ないって分かってるからこその無言。
俺の気持ちはさっきハルに伝えた。だから後はハルがどう受け取るか。それだけだ。
そうつまり俺は待つしかない。ハルが受け入れてくれるか、そうでないか。緊張なのか、それとも特性なのか。分からないくらい手が冷え込み始めてきたと気づいたのは、ハルの温かい手が包んできたから。
ほんのり水を含んだ手で、俺の指先を温めるように触れてきた。
熱交換。その単語がぴったり当てはまるんじゃないかってほど、俺の手とハルの手は真逆で、触れ合うほど気持ち良く感じる。
──そう感じるということは、だ。ハルも俺と同じって考えちまうのは、流石に都合良すぎるだろうか。
「な、なあ、ハル。ハルは、どうしたい」
声が震えそうになるのを抑えるので必死だった。
ハルと一緒に居れないなら、俺は次の出逢いまでおじさんの延命を受ける。
でも、もし。もしハルが受け入れてくれたなら。
「……僕は……最初にも、話したけど……君が、初めて、だから……君が、良いなら」
「良いも何も、俺はハルがいい! ハルだからいいんだよ!」
「ふふ……そっか……うれし」
食い気味に答えた俺がよっぽど面白かったのか、小さく綺麗に笑うその顔は、何の陰もないものすんごく美しく見えて。あ、俺もう駄目だと思った。
俺一生、ハルに尻敷かれて過ごすわ。この笑顔が見れるなら誰に何と言われてもいい。
出会ってからの長さなんて関係ない。バカな俺とか頭が良いとか、悩んでた時の方がアホらしく感じるくらい。
人間、惚れた方が負けなんだなって思い知らされた。
「これ、からも……よろしくね。健君」
「お、おう。よろしくな、ハル!」
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ハッピーエンドで良かったです
少しハラハラしました
完結おめでとうございます!
待ちに待ったフローズンバースに、ドキドキしながら読んでました。
砌と透?! 上手くいったのね♪
健とハルのハッピーエンド!良かったです♪
こちらこそ、前作に引き続きお読みいただきありがとうございます!
楽しんでいただけましたら幸いです。
今回こそはきちんとハッピーエンドを感じられるような作品にしました(できてよかった、本当によかった!)